2017.05.28

ピエロがお前を嘲笑う

観てみた、バラン・ボー・オダー監督映画。2014年公開。

ハッカー少年・ベンヤミンが警察に出頭し、リンドベルク捜査官が聴取に当たる。孤独の中ハッキングの腕を磨いた彼は、3人の仲間の誘いでピエロの面を着け「CLAY」の名で次々にサイバー犯罪を行う。だが憧れのハッカー・MRXの注目を引くために行った行為が、大変な危険を呼び寄せてしまい…という内容。

ドイツ製の犯罪サスペンス映画で、日本公開の宣伝では盛んに結末の意外性を謳っていた。実際「ユージュアル・サスペクツ」等を連想させるどんでん返し展開だけど、そういう辺りでハードルを上げ過ぎると驚けなくなる典型だよなと。

個人的には(劇中でも名前が挙がっている)「アノニマス」に代表されるハッカー集団の活動は、こんな感じなのかなあ…という辺り興味深く観られた。自宅PCの前に座りっぱなしかと思ったら、下水道に潜ったり走り回ったりと結構行動派だったわ。またサイバースペースを地下鉄車内に象徴させる描写もユニーク。
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2017.05.26

ツレがうつになりまして。

観てみた。宮崎あおい主演、佐々部清監督映画。2011年公開。

漫画家・崎晴子の「ツレ」こと夫の幹夫は、会社のクレーム対応係。ある日連載の打ち切りと時を同じくして、調子を崩したツレが医者で鬱病と診断された。ストレス過多の環境から離れるべくツレは会社を退職するも、彼の症状は一進一退を繰り返す。晴子も夫を支える為、漫画執筆に精を出すのだが…という内容。

原作は細川貂々のエッセイ漫画。実体験を基にした本作の企画は数社から断られたが、最終的に幻冬舎から刊行され大きな反響を呼んだ(だから作者は連載を持った事が無いのに、実家の床屋にコミックバーズが並んでたんだな)。

鬱病の深刻さは控えめに(良くも悪くも)軽いタッチで描いているのが特徴。だから映画として腰の据わりは期待するべくもないけれど、代わりに病気への理解をそっと促す優しさがある。主演の宮崎と夫役の堺雅人は「篤姫」コンビだそうで…そういう辺りで注目されるのも、病気の啓蒙的にはいいんじゃないかな。
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2017.05.25

ラブ&ピース

観てみた。長谷川博己主演、園子温監督映画。2015年公開。

会社では皆から馬鹿にされ、いつも胃を痛めている鈴木良一。唯一の例外である同僚の寺島裕子に想いを告げる事も出来ず、「ピカドン」と名付けたペットの亀にビッグになる夢を語るのがせいぜいだった。だがある日会社に持ち込んだ亀が上司に見付かり、慌てた良一はピカドンをトイレに流してしまい…という内容。

無名時代の園監督が執筆した脚本を映像化したという本作。大雑把には青春物だが、若者の妄念そのままに雑多な要素が渦巻いている。個人的にはフォークからパンク、スタジアムロックへと変化する音楽映画的な部分を面白く観たけれど、正面切ったファンタジー/メルヘン描写や怪獣映画としても注目するべき。

日本が誇るアナログ特撮にこだわったという映像は仲々で、特撮ファンはもっと意識してもいいんじゃないかな。…因みに本作で主演した長谷川は「進撃の巨人」や翌年の「シン・ゴジラ」にも出演しており、新たな怪獣映画の顔なのかも?
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2017.05.24

誰も知らない

観てみた。柳楽優弥主演、是枝裕和監督映画。2004年公開。

あるアパートに引っ越して来た母と息子の明。だが実際には子供は明以外に3人おり、一家はその存在を周囲から隠して生活して来たのだ。仕事で外出する母を支え、明を中心に家事一切は子供達がこなしていた。その上いつしか母の不在は長期に渡る様になり、彼らは金の工面に困る事態に陥って…という内容。

主演の柳楽がカンヌ映画祭にて、日本人初/最年少で主演男優賞を獲得した本作。1988年に発覚した「巣鴨子供置き去り事件」を題材にしているが、印象としては実写版「火垂るの墓」という感じも。となると一見現代的な問題の様で、家族の危機や社会からの孤立という普遍的題材を描いているとも言えるだろう。

それでも本作は(止むに止まれぬ事情とは言え)子供が自らの力だけで生き抜こうとする、シティサバイバル物でもある訳で。…終幕に至っても周囲から救済が訪れないのは(社会批判以外にも)、子供達に向けた信頼の眼差しを感じる。
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2017.05.22

龍三と七人の子分たち

観てみた。藤竜也主演、北野武監督映画。2015年公開。

元組長「鬼の龍三」。今や息子一家に世話になる身だが、ヤクザ気分の抜けないまま隠居の日々を送っていた。そんな時詐欺や悪どい商売で荒稼ぎする、京浜連合なる新興ヤクザの存在を知る。龍三はそんな奴らをのさばらせる事は出来ないと、今や皆老人になった嘗てのヤクザ仲間を集めるのだが…という内容。

北野監督お得意のヤクザ物だが、本作では平均年齢72歳という老齢の俳優陣を揃え、コメディタッチで描く異色作となっている。そうした趣旨を基にした場合は大抵、過去の同ジャンルへの郷愁などを忍ばせたりするものだが…本作はどちらかと言うと「老人ギャグ」を全編で披露する為に設えた舞台って感じがする。

そうした辺りは監督自身の加齢に応じた内容なんだろうけど…オフビートな語り口にナンセンスな笑いの連続は、ちっともしんみりした気分にさせてくれなくて逆に良かった。年寄り達の冷や水に苦笑しつつ、全身脱力して観るのがいいよ。
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2017.05.21

あん

観てみた。樹木希林主演、河瀬直美監督映画。2015年公開。

ワカナを始めとした中学生が常連の、小さなどら焼き屋の雇われ店長として日々を暮らす千太郎。そんなある日徳江という老女が訪ねて来て、自分を雇ってくれと言う。千太郎は最初こそ断ったものの、彼女が持参した手製の「餡」の味に舌を巻く。以来彼女の作る餡子のお陰で、店は大繁盛したのだが…という内容。

原作はドリアン助川の小説…って「叫ぶ詩人の会」の人かあ。映画版である本作は(かつて河瀬監督が「萌の朱雀」で新人賞を最年少受賞した)カンヌ映画祭でオープニング上映された。内容はハンセン病患者の女性を中心に、どら焼き作りを通じて人々の関わりを淡々と描いた、ヒューマンストーリーとなっている。

大変重い作品ながら、人から人に受け継がれる想いというテーマを親しみやすい題材である菓子作りに落とし込む着想と共に、出演陣の過度に感傷的にならない抑制した演技によって救われる(特に映画各賞での樹木の高評価に納得)。
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2017.05.20

劇場霊

観てみた。島崎遥香主演、中田秀夫監督映画。2015年公開。

伸び悩んでいた女優・水樹沙羅は、「鮮血の呼び声」という舞台で脇役の仕事を得る。その日より稽古に打ち込むものの、スタッフや主演女優が次々と不幸に見舞われる。そんな最中に沙羅はヒロインへ抜擢されたのだが、舞台上に小道具として持ち込まれた実物大の「人形」に不吉なものを感じ取り…という内容。

中田監督がかつて手掛け、一大ブームとなったJホラーの嚆矢とも言われる「女優霊」。公開より20年を経て同監督により再び作られたのが本作、という触れ込みだが…AKB女優によるアイドル汚染や、同監督自身の恐怖演出に対する衰えも見え、ジャンルの終焉を印象付ける出来となったのは何とも皮肉な話で。

ただ本作は(小中理論に代表される)現代的なJホラーと言うよりも「血を吸う」シリーズみたいな、懐かしのゴシックホラーに近い内容なのは興味深い。考えてみたら「女優霊」だって個人的には、因縁渦巻く怪談話という印象だったしな。
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2017.05.18

映画 ビリギャル

観てみた。有村架純主演、土井裕泰監督映画。2015年公開。

常識的な知識すら危うい女子高生・さやか。校内で最下位(ビリ)の成績になった彼女が塾に通う事になった。そこの講師・坪田の熱心な指導や母の支えで受験勉強への意欲を得たさやかは、弟への野球指導にかまける父や、担任教師への対抗意識もあって、何と慶応大学合格を目指す事になるのだが…という内容。

原作は坪田信貴によるノンフィクション。本作映画版は大ヒットを記録すると共に、各映画賞を広く獲得した。…観る前のイメージだと植木等主演の「日本一シリーズ」みたいに、C調で難なく合格するサクセスストーリーって感じだが、実際は日本的にウェットな家庭問題や苦労談が描かれる、立身伝みたいな話だった。

だから先入観だけで貶すべき作品ではない、というのも本当だけれど…個人的には真面目な内容の分、説教が耳に痛くてなあ。まあ自分みたいなNo Futureじゃなく、未来ある若者が元気や希望を得る為に観るべき映画なんだろうしな。
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2017.05.17

MONDAY

観てみた。堤真一主演、SABU監督映画。2000年公開。

見知らぬホテルの一室で目覚めた高木光一。新聞を見ると月曜日だがどうやらしたたかに呑んだらしく、彼にはここまでやって来た覚えが無い。だが徐々に記憶を取り戻し、自分がとんでもない事をやらかしたのに思い至る。通夜での出来事に恋人との会話、更に酒場でヤクザと遭遇してからの暴発で…という内容。

ベルリン映画祭で国際批評家連盟賞を獲得した、SABU監督の第4作。ダラダラと続く会話や思い付きを繋ぎ合わせたかの様な感性全振りの作風から、タランティーノを引き合いに出される事も多いけど…暴走するサラリーマンというプロットからは、マイケル・ダグラス主演の「フォーリング・ダウン」を連想したかな。

その為ストーリーだけを追ってしまうと不満も出るのだが…コメディともおふざけともつかない作風も、フィーリング自体が合えば楽しめるんじゃないかな。個人的には主演の堤を始め、今や一線級となった俳優ばかり集まっていてへえと。
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2017.05.16

少女は異世界で戦った

観てみた。金子修介原案、監督映画。2014年公開。

核兵器や銃砲を完全に廃絶した世界の日本。そこで用いられる最強の武器は刀剣で、アリサ、レイ、マリ、ミキという4人の少女戦士は「インベーダー」と呼ばれる敵と日夜戦っていた。彼らは実は核や銃が存在する並行世界からやって来た者で、そちら側で少女達はアイドルとして平和に暮らしており…という内容。

金子の原案を元にアスリート出身の動ける女優を揃えて、吹替無しのバトルシーンを見せ場にしたアクション作。同時に彼女達の歌もふんだんに織り込んだ、要するにアイドル映画…なんだけど、低予算丸出しの内容は映画と言うより(ヴァニーナイツとかヴェッカーとか?の)むしろ深夜特撮TVドラマとでもいった趣き。

非核非銃ってのは要するに現実の現代日本のアナロジーだし、正面切った震災への言及もあって意外と真面目なテーマ性も窺えるのだが…まともに観る気にならんな。まあ時間の無駄と知りつつ、同監督の珍品として楽しめる人なら。
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