2017.11.22

宮本武蔵 / 巌流島の決斗

観てみた。中村錦之助主演、内田吐夢監督映画。1965年公開。

吉岡一門との決闘で、少年までも手に掛けた武蔵。周囲から非道の者と責め苛まれる中、彼は伊織という父無し子と共に江戸へと出る。柳生但馬守から将軍家指南役を薦められたものの、子供を殺めた事で却下されてしまう武蔵。そんな時彼は予てよりの宿敵、佐々木小次郎からの果たし状を受け取り…という内容。

内田監督・中村主演による東映版武蔵の第5作。本作では有名すぎる巌流島(船島)での決闘が描かれるのだがシーンとしては僅か数分、立ち合いとしては一瞬という内容。でもその短い中に(前作から一点)青空を背負った海辺の情景に、名台詞や緊張感あるカット…という、名作に相応しい全てが込められている。

物語としては婆関連のサイドプロットが漸く片付いてホッとする反面、武蔵の内面的葛藤は晴らされぬまま終幕を迎える。これは武蔵自身が今後も背負う課題なのだろうし…そういう訳で錦之助武蔵の生涯は、「それからの武蔵」へと続く。

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2017.11.21

宮本武蔵 / 一乗寺の決斗

観てみた。中村錦之助主演、内田吐夢監督映画。1964年公開。

吉岡清十郎との立ち会いで、彼を一撃の下に倒した武蔵。だがそれが遺恨を呼び、彼の弟である伝七郎から命を狙われる。武蔵は三十三間堂での果たし合いで伝七郎も斬って捨てたのだが、吉岡一門の更なる怒りを買う事に。彼は小次郎の仲介で、73名もの敵との決闘に一乗寺へと向かうのだが…という内容。

内田監督・中村主演による東映版武蔵の第4作。シリーズ中最高傑作という呼び声も高いだけあって、クライマックスの決闘には驚嘆してしまう。…夜の暗がりから明け方へと徐々に移ろう情景の中、行われる壮絶な戦いをモノクロの映像で撮影し、ぬかるんだ田圃で泥まみれになってもがく圧倒的な場面に収めている。

一対多のチャンバラは本作で極まったと言えるものの、同じ錦之助主演のTVドラマ「子連れ狼」では、毎週の様に拝一刀が同じ位の人数斬ってるんだからある意味凄いわな(比較すんなよ)。…そういや武蔵も一刀も灰色顔のメイクだな。
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2017.11.19

宮本武蔵 / 二刀流開眼

観てみた。中村錦之助主演、内田吐夢監督映画。1963年公開。

武者修行の旅を続ける武蔵。だが次に手合わせの目標とする柳生石舟斎は、目通りすらも叶わない有様。何とか高弟四名と逢う事が出来たものの、弟子として連れていた小童・城太郎の起こした騒動で逃走する羽目に。一方ある船上では巌流・佐々木小次郎という剣豪もまた、吉岡一門と悶着を起こし…という内容。

内田監督・中村主演による東映版武蔵の第3作。二刀流開眼と銘打っているものの、劇的な展開がある訳でもないという。武蔵は脇に退き、代わりに周囲の人々の動向を追った繋ぎという感じ。…でも今回遂に登場するのがライバル剣士・佐々木小次郎で、若き日の高倉健さんが不敵・不遜に演じている辺りが見物。

彼は1956年のデビュー以来年10本程の映画に出演していたので、既に新人という事は無かっただろうけど…同年発表の「人生劇場 飛車角」が後の任侠作品の端緒だった事もあり、本作は端境期の作品として興味深く観られるのでは。
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2017.11.18

宮本武蔵 / 般若坂の決斗

観てみた。中村錦之助主演、内田吐夢監督映画。1962年公開。

3年間にも渡る自らとの戦いを経て武芸者として成長した武蔵は、新たに「みやもとむさし」という名前を得る。お通の懇願を振り切って単身武者修行の旅に出た武蔵は、槍術の名門寺・宝蔵院での手合わせに臨む。そこで相手を一撃の下に倒した彼だが、老僧日観師からの戒めに際して「敗北」を痛感し…という内容。

内田監督・中村主演による東映版武蔵の第2作。本作から漸く「むさし」を名乗り、ストイックに自らの剣を追い求める武蔵像が描かれる。なんか牢屋から出て来た時点で、いきなり強過ぎるんだけど…精神の成長=武道の成長って事か。

本作最大の見せ場は勿論「般若坂」での決闘だが…一対多の剣戟描写に関しては、後の一乗寺まで待たねばならない感じか。それでもずらりと居並んだ多勢を前に微動だにせぬ姿は、流石の錦之助武蔵。横長画面の構図の美しさは東映スコープの威力だが、お通の横移動を追った場面などはまるで絵巻物の様。
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2017.11.17

宮本武蔵

観てみた。中村錦之助主演、内田吐夢監督映画。1961年公開。

関ヶ原の合戦に豊臣側として参加し大敗を喫した、宮本村生まれの武蔵(たけぞう)。共に戦場より逃げ延びた同郷の又八は、世話になった母娘と共に去った。武蔵はその事を彼の祖母と、許嫁のお通に伝えるべく村へと戻る。だが多くの者の怨みを買ってしまった彼の前に現れたのが、和尚の沢庵で…という内容。

原作は宮本武蔵を題材にした小説としては最も有名な、吉川英治による長編。そして本作、内田監督・中村主演による東映版5部作(+1)は、武蔵映像作品の決定版とも言える存在。…本作は序盤の武蔵がまだ「むさし」じゃなかった頃の話なので華麗な二刀流は望むべくもないが、錦之助による暴れっぷりは凄い。

それより印象として強烈だったのは、伊福部昭の音楽。乱闘から馬での速駆けへと推移する場面での音楽の連動なんか実に鮮やか。でも2作目から最後の「巌流島」まで小杉太一郎にバトンタッチされてしまうんだけど…ちょっと残念ね。
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2017.11.15

湯を沸かすほどの熱い愛

観てみた。宮沢りえ主演、中野量太監督映画。2016年公開。

夫・一浩の失踪で、休業中の銭湯に暮らす幸野双葉。ある日体調を崩した彼女が医者に告げられた病名は、あと余命数ヶ月の末期癌。その日から彼女は夫を連れ戻し、学校でいじめ問題を抱える娘・安澄を立ち直らせる。更に一浩が愛人に押し付けられた少女・鮎子を加えて、銭湯を再開するのだが…という内容。

本作は中野監督の商業デビュー作だが、日本アカデミー賞で宮沢と娘役の杉咲花に与えられた最優秀主演・助演女優賞を始め、各映画賞で高く評価された。病気にいじめ、失踪や聾唖等とまるで不幸のカタログみたいな内容なんだけど…個々の問題には深入りしないので、成程「コメディ」として観る事が出来る。

だからお涙頂戴的に闘病物として観てしまうと、よくある話でしかないが…良くも悪くも軽さが持ち味の作品なので、リアリティの面からだと?となる様な描写も、本作ならではの距離感の顕れだろう。…煙突の上から眺望する様な「距離」だね。
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2017.11.14

日本侠花伝

観てみた。真木洋子主演、加藤泰監督映画。1973年公開。

大正時代。近藤ミネは駆け落ち相手の大浜実と違法販売を行った列車内で、代議士を殺害した田中清次郎に遭遇する。その後警察の取り調べや実家へと連れ戻された大浜との別れを経て、ミネは恩人である長田金造と祝言を挙げる。長田組の姐さんとなった彼女の前に、再び現れたのは清次郎で…という内容。

60年代の東映で時代劇や任侠物の名作を手掛けた加藤監督が、東宝に場所を変え撮影した作品。当時やくざ映画は既に実録路線へと舵を切った後だが、本作も変わらず叙情味に溢れる任侠映画となっている。変わらずと言うか…渡哲也による斬り合いは生々しいし、真木の受ける拷問シーンは真に迫った描写。

どちらかと言うと本作も「女の一代記」物みたいな話だけれど、後の「極道の妻たち」シリーズ等に先鞭を付けた内容と言えるのかも。…ただもうとにかく画面の構図が全編日本画の様に美しく、後続がどれ程真似ようと追随を許さない。
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2017.11.12

家族はつらいよ

観てみた。橋爪功主演、山田洋次監督映画。2016年公開。

東京の一軒家で三世代が同居する平田家の長・周造。少々無神経で口の悪い彼はある日、長年連れ添った妻の富子から離婚の意志を告げられる。大いに動揺する周造と平田一家。そこで家族を集め会議をする事になったのだが、その場に事情も知らないまま現れたのが、孫の庄太と恋人の憲子で…という内容。

山田監督による21年振りとなる喜劇映画。2013年の「東京家族」と同じキャスト陣を起用し(劇中では同作のポスターも映る)、タイトルは同監督の代表的シリーズ「男はつらいよ」からの借用と、セルフパロディ的な内容ともなっている。

そういう作品なので、割合軽い気持ちで観ればいいのだろうけれど…正直あまり笑えなかったな。そりゃまあ渥美清みたいな、いるだけで面白い空間が出来てしまうレベルの役者が不在なのだから仕方ないが(その不在故に21年もの空白があったのだろうし)。とは言えこのまま「軽く」続けるのはいいかもしれない。
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2017.11.10

4デイズ・イン・イラク

観てみた、クシシュトフ・ウカシェヴィッチ監督映画。2015年公開。

2004年、多国籍軍による平和維持を目的としてイラクに派遣されたポーランド部隊。だが到着間もなくの戦闘での命令違反の廉により、衛生兵グラドはカルバラ市庁舎に拘留される事に。そんな時同市はシーア派民兵による猛攻撃を受け、守備をしていたポーランド軍とブルガリア軍は孤立してしまい…という内容。

4日間に渡って繰り広げられたという、「カルバラ・シティホールの戦い」の実話を題材にしたポーランド製戦争映画。…同国と言えばワイダ監督を始めとする抗独戦争映画のイメージだけど、近年でも激しい戦闘に関わっていたんだな。

本作ではポーランド軍や民兵の使う兵器をその当時のまま再現し、手持ちカメラや立ち籠める土埃等による臨場感ある描写に見応えが。まあ少々地味と言えば地味だし、衛生兵の活躍が安直と言われれば安直かもしれないけれど…それでも知られざる戦闘を、意外な国からの視点で知る事が出来るのは興味深い。
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2017.11.09

イヴ・サンローラン

観てみた、ジャレル・レスペール監督映画。2014年公開。

ディオールの死後を引き継ぎ、一躍トップデザイナーとなったイヴ・サンローラン。ところが彼は徴兵の際軍内で受けたストレスから心神耗弱状態に。そんな彼も支援者で同性愛のパートナーでもある、ピエール・ベルジェの協力で自身のブランドを立ち上げる。しかし一見順風満帆に思われた彼の活動も…という内容。

筆者ですら名前くらいは聞いた事がある、実在のファッションデザイナーを題材にした伝記映画。彼は40年に渡りモードの最前線で君臨したが、本作はデビューしてからの比較的短い期間を採り上げている。まあそれもサンローラン役ピエール・ニネの演技が出色で、彼が担当できる範囲に絞ったのは好判断だろう。

また60年代からのファッションや文化の流れが素敵で、そういう辺りこそ主に見せたかったのかも(個人的にはジャン・コクトーの登場なんかおおと)。同性愛描写にもかなり踏み込んでいて驚くけど…色々な意味で興味深い作品ではある。
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