2009.07.11

「Wolfman」ROBERT ASHLEY

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聴いてみた、アメリカの実験音楽家の初期作品集。07(?)年発表。

上のジャケットだけ見ると何だかまるでブルーノートのジャズアルバムの様だけれど、本作の「ロバート・アシュリー」は歴とした現代作曲家。30年にミシガン州のアナーバーで生まれ、ゴードン・ムンマらとの電子音楽実験ユニット「ソニック・アーツ・ユニオン」等での活躍を経て、今現在もなお精力的に活動中だという大家

近年はテレビ・オペラと呼ばれる作品で知られているというアシュリーだが、本作は初期の尖った音楽実験が収録されている。…特に有名なのが「Wolfman」(本人のニックネームとの事)をタイトルに冠した音源。口の中に押し込んだマイクで拾った絶叫をフィードバックさせた、まさに轟音トラック。後の「ハーシュノイズ」そのものである本作は、64年という録音年から鑑みても驚異としか言う他ない。

それ以外は、声やマイクで拾った音を用いた電子音楽作。こちらは隙間だらけの散発的な音が思い出した様に鳴るだけだったりする、逆の意味で強烈な内容。
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2009.07.10

「Livingston」ELI KESZLER

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聴いてみた、実験的ソロミュージシャンによる即興音楽。08年発表。

「エリ・ケスラー」は以前紹介したレッド・ホースの一員で、Rel Recordsの経営者でもある人物。この人自身の経歴は調べても今イチよく判らなかったのだが、過去には何かヤンデックとの共演経験もあるらしい。妙なところで妙な人脈が…

で本作はそのケスラーが、レッド・ホース以前にリリースしたソロ・デビューアルバム。こちらではギターやクラリネット、パーカッションやドラム(レッドホースのライブ映像を見たら、こっちも実は生ドラムだった)といった各種楽器を全てケスラー自身が1人で演奏し多重録音したという、本当の意味でのソロ作品となってる。

で実際の音の感じはというと…ほとんどレッドホースそのまま。人がやっても機械がやっても変わらんのかっ!、みたいな気が。でも器楽音というより現実音を思わせる無機的なイメージや、スピード感のある駆動音の様な具体的音響はやっぱりカッコいい。ハンドメイドによる、シルクスクリーン印刷のジャケットもいい感じ。
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2009.07.09

「Cholagogues」NESTOR FIGUERAS-DAVID TOOP-PAUL BURWELL

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聴いてみた、英国人ミュージシャンによる実験音楽作品。77年発表。

本作の中心人物「デイヴィッド・トゥープ」は、雑誌ライター、キュレーター、音楽評論家、そしてもちろんミュージシャンとして知られている(との事)。筆者個人的には、「L.A.F.M.S.」との関連で名前を知った筈(BOX収録の音源に参加してたって事になるのかな)。…まあ繋がりがあっても、全然不思議でない両者ではある。

で本作は英Bead Recordsよりリリースされたアルバムのリイシュー。内容は竹笛やフルート等の響きの上に、金属的なパーカッションが踊るインプロヴィゼーション作品。…感じとしてはやはり、AMM辺りを挙げなくてはならないだろうか。音楽におけるドラマ性を剥ぎ取ったかの様な、禁欲的な音の交錯が記録されている。

それでも音色が多彩で、緊張感が終始持続して飽きない。と言うか、本作は小さい音で聴いちゃ駄目ね。…L.A.F.M.S.みたいなユーモアは皆無だし、音の爆発によるカタルシスからもかけ離れた音楽性ではあるけれど、意想外に「楽しい」よ。
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2009.07.07

「Could you understand me」FIRE

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聴いてみた、ユーゴスラビアのヘヴィ・サイケデリック・バンド。73年発表。

本作がリリースされた1973年当時は、「ユーゴスラビア社会主義連邦共和国」という国だった。…と言うのも、この土地は東ヨーロッパの国らしく複雑な歴史を歩んできており、06年には「セルビア共和国」と「モンテネグロ共和国」の二国に分離独立を果たし、09年現在ユーゴスラビアという名前を持つ国家は存在していない。

ファイア」はそういう訳で当時の社会主義政権下に誕生したバンドのようだが、実際の活動はオランダで行われていた模様。当アルバムに関してもオランダのスタジオにて録音されている。…そう言われると成る程、レッド・ツェッペリンブラック・サバスといった当時の英米バンドからの影響が、割とストレートに垣間見える。

でもそんなのどうでもいいとでも言わんばかりに、歪みまくったファズギターの音色が凄まじい。ブルース/ハードロックベースの様なのに、印象に残るのはひたすらグシャグシャのギター演奏。故郷でのフラストレーションでも発散しとんのか。
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2009.07.06

「Midnight/Raga malkauns」PANDIT PRAN NATH

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聴いてみた。インド古典声楽の大家、2枚組アルバム。02年リリース。

「プラン・ナート」は、北インドの伝統的発声法・ラーガの師匠(パンディット)という人物。でもいわゆる「ラーガ」というのは、インド音楽の理論における「メロディーの法則」の事でもあるらしく正直紛らわしい。発声法としてのラーガに関して今いち調べが付かなかったのだが、何と言うか「唸り」みたいなダルい「浪曲」みたいな…

プラン・ナートにはテリー・ライリーやラ・モンテ・ヤングという、現代音楽の重要人物が師事した事で知られている。本作でも上記の2名が、演奏者として名を連ねており興味深い。…でも彼らがラーガから自らの音楽を構築する上で学んだのは発声法という訳ではなく、おそらくは「ドローン音楽」的な要素なのではなかろうか。

タブラの刻む一定のリズムの上をタンブーラによる通奏音が漂い、ラーガの唸りが終わる事無く続いていく…本当に終わらないかと思った。瞑想・呪術的というより、親戚のおじさんが得意になって聴かせる歌みたい。ある意味確かに凄え。
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2009.07.05

「Vol.1」ARIESTA BIRAWA GROUP

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聴いてみた、インドネシアのサイケデリック・ポップトリオ。73年発表。

「インドネシア共和国」は東南アジアの、大小の島より構成される国。日本との関わりとしては第二次大戦の日本軍侵攻を機に、植民地下にあったオランダよりその後解放されたという事がまず挙げられる。…そして「指導される民主主義」で知られるスカルノ大統領の夫人となった、デヴィ・スカルノの存在からも印象深い。

…個人的には学生の頃かの国よりの留学生がいて、少し話をしたのを思い出す。そういう感じで日本との音楽的な文化交流があったかどうかは判らないけれど、本作の「アリエスタ・ビラワ・グループ」はちょっと日本のGSを思わせる部分もある。

全体的な印象はビートルズ以後の英サイケポップの様な、レ・オルメやラッテ・エ・ミエーレ辺りのイタリアンロックの歌部分だけ抜き出したかの様な…純朴だが泥臭くは無い感じ(まあ伊バンドを普通に聴けるなら、って前提が要るか)。基本的にバンド編成による演奏で、いかにも「辺境」な取っつきにくさが無いのは確かかも。
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2009.07.04

「Akolouthia」NIKOS XILOURIS,DIMITRA GALANI AND CHRISANTHOS

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聴いてみた、ギリシャアコースティック民族サイケ。74年発表。

「ギリシャ共和国」は地中海沿岸の国で、古代ギリシャ文明が生み出した数々の文化的偉業は、人類の歴史上大きな役割を果たした事は今更言うまでも無いだろう。…ローマ帝国による併合後は歴史の陰に隠れてしまう印象があるが、第二次大戦後の一時期軍事政権下にあったというのは余り知られていない事実かも。

アルバムが制作された丁度1974年に軍事政権は崩壊し、その後共和制国家となる。…本作にはそういった政治事情が背景に存在したとはとても思えない、荘厳さとエネルギーに満ち溢れている。これはもはや、宗教的恍惚と言ってもいい。

本作は聖書をモチーフとした歌詞が歌われている様だが、楽曲の内容としても宗教曲と現地音楽が融合し、アコースティック楽器の重層的な倍音が深い陶酔感をもたらす。…XILOURISもGALANIも当地の有名な歌手らしいが一体如何なる神秘が働いて、本作の様な驚愕的天然サイケ作品が出来てしまったのだろうか。
posted by ぬきやまがいせい at 19:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽

2009.07.03

パニッシャー

観てみた、ジョナサン・ヘンズリー監督映画。04年公開。

FBI潜入捜査官・キャッスル、彼は捜査中に裏社会の大物・セイントの息子を死なせてしまった。怨みを買ったキャッスルは彼に妻や息子、一族を皆殺しにされてしまう。どうにか独り生き残ったキャッスルは、復讐ならぬ「制裁」を決意する。金の流れや側近への不信を利用し、徐々にセイントを追い詰めていく…という内容。

以前ドルフ・ラングレン主演でも映像化された本作、原作はマーベル刊行のアメコミらしい。…設定からして主人公が特殊能力を持たない一般人なだけに、あんまりヒーローものっぽくない。どちらかと言うと「マッドマックス」や「エクスタミネーター」等、80年代に色々と作られた「陰惨復讐系アクション」映画そのものって感じ。

でもその割に雰囲気が、全然重くもシリアスにもならないのは、原作通りなのか監督の腕に問題があるのか(編集畑出身の人のようだが)。…まあ実際のところ良くも悪くも、ジョン・トラヴォルタ演ずる敵役のお陰で保ってるような作品ではある。
posted by ぬきやまがいせい at 23:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画

2009.07.02

サラマンダー

観てみた。クリスチャン・ベール主演、ロブ・ボウマン監督映画。02年公開。

ロンドンの地下より、炎を吐き天を駈ける巨大な竜「サラマンダー」が甦る。暴虐の限りを尽くす竜に対し人類は最後の手段を使い、地上は核の炎に包まれる。20年後、文明の滅びた跡に砦を築き未だ竜の脅威に怯えながら細々と暮らす人類。そんなある日、戦車等の近代兵器を手にした集団が彼らを訪れる…という内容。

なんか「ヤンガリー」を思い出したな、空中突撃とか。久し振りにB級らしいB級映画を観た、そんな感じがするのう(悪い意味で)。予算の少なさを逆手にとって世界観で風呂敷を広げてみたら、結局やっぱりショボくなってしまったとでも言うか…

これ設定的にもうちょっといじって「ガンパレードマーチ」みたいな感覚で、組織的軍事行動によって竜と対決するようにした方が面白かったかもしれないな。でも最終的に竜が英雄的行為により倒されるというのは、西欧のファンタジーを正統に踏まえているのかも、と考えてちょっと見直したり。…しっかし、眠い映画だったよ。
posted by ぬきやまがいせい at 22:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画

2009.07.01

あなただけ今晩は

観てみた。ジャック・レモン主演、ビリー・ワイルダー監督映画。63年公開。

パリの娼街。新たに赴任した若い警官ネスターは真面目一辺倒。だがそれ故に騒動を起こし、警察を解雇されてしまう。行く当てに困る彼だったが、娼婦イルマの「ヒモ」に納まる。二人はぞっこんの関係になるが、イルマが客を取らない訳にはいかないのがネスターには面白くない。そこで一計を案じた手とは…という内容。

爆笑してしまった。コメディというよりコントな楽しい映画。…娼街の話という事で扱っているネタが少々際どく、暗くなりそうなのは確か。そういう本作が、ビビッドなカラーで色彩的な明るさを強調しているのは、「お熱いのがお好き」とは正反対な発想なんだろうな(女装が気持ち悪くならない様に、白黒撮影にしたとか)と感心。

架空の人物を仕立て上げる、という着想から派生するアイデアが豊富な笑いを見せてくれる(X卿復活のシーンは本作最大の笑いどころ)。ただ尺が長くて冗長という指摘には同感、もうちょっとコンパクトに纏めてもいい。…でも愛すべき作品。
posted by ぬきやまがいせい at 22:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画