2017.09.24

ボッカチオ'70

観てみた、イタリア出身監督4名によるオムニバス映画。1962年公開。

解雇を恐れて、会社に秘密のまま結婚した夫婦は…(レンツォとルチアーナ)。公序良俗に厳格な博士を悩ませるものとは、巨大な看板の美女で…(アントニオ博士の誘惑)。スキャンダルに巻き込まれた若き伯爵に対し妻は…(仕事中)。射的の屋台で働く美女の秘密を知った若者は…(くじ引き)、という内容の4作。

「デカメロン」の作者の名前から採ったオムニバス、でも公開は別に1970年ではないという。順にモニチェリ、フェリーニ、ヴィスコンティ、デ・シーカが監督を担当しているけど、第1話はカットして公開される事が多かったらしい…まあ4話で3時間半という事もあって、知名度で一歩劣るモニチェリが割を食ったのかなあ。

内容としては所謂「艶笑コメディ」という感じなのだが、各々短編というよりは中編くらいの尺があって、軽めの内容の割にテンポが重くいつまでたっても終わらないのがつらかった。正直観始めた事を後悔したけれど…決して悪くはないよ。
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2017.09.23

ノーカントリー

観てみた、ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン監督映画。2007年公開。

ルウェリン・モスは、仲間割れの果てに壊滅した麻薬取引の現場を見つける。まんまと大金を手に入れるモスだったが、生き残りの男に水を与える為に戻った荒野で、組織の者に発見されてしまう。彼は妻を実家に戻し金を携えて逃走を図るのだが、アントン・シガーという殺し屋の執拗な追跡を受け…という内容。

コーマック・マッカーシーの小説を原作とする本作。アカデミー賞では作品賞を始め4部門を獲得、更に各国の映画賞でも高く評価された。監督自ら語る通り相当暴力的な作品で、割と直球な追跡劇として手に汗握る。一方で独特のユーモアも健在だが…無慈悲で荒涼とした雰囲気を漂わせるシガーの印象は強烈。

反面デコボコした展開や肩透かしの様な結末等、戸惑う人も多かったみたい。同監督の作品を予め知った上でなら、通常営業だなとしか思わないだろうけれど…「暴力」すら韜晦として用いる辺りこそ、彼らの持ち味なんじゃないかな。
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2017.09.21

メイド・イン・USA

観てみた。ジャン=リュック・ゴダール脚本、監督映画。1967年公開。

パリからアトランチック・シティにやって来た、ポーラ・ネルソン。彼女は元恋人のリシャール・ポリツェールから呼び出されたのだが、彼は既に謎の死を遂げていた。事件真相の調査を始めたポーラの周囲には、リチャード・ウィドマークやドナルド・シーゲルといった者達が接近し、その上更に死者が増えて…という内容。

モロッコの左翼政治家ベン・バルカの失踪事件を題材にしたという、リチャード・スタークの小説「悪党パーカー 死者の遺産」が原作。作品自体の体裁としては、ハードボイルド探偵物のスタイルを踏まえたものだが…劇中の端々でジェットや銃撃音のSEが鳴り響いたりする、ゴダールらしい脱臼的な演出による映画。

ただ突飛は突飛だけど、あまり印象に残らない作品だというのも確かじゃないかなあ。…でも個人的には本人役で登場するMarianne Faithfullが、Rolling Stonesの「As Tears Go By」を口ずさむシーンなんかは、成る程なと。
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2017.09.20

麦の穂をゆらす風

観てみた。キリアン・マーフィ主演、ケン・ローチ監督映画。2006年公開。

1920年のアイルランド。医者になるべくロンドンに発つ予定だったデミアンは、駐留英国兵の暴虐振りを目の当たりにし、抗英運動に身を投じる事に。その後は組織の中心人物である兄・テディと共に、破壊活動や内通者の粛正といった辛い任務をこなす。そして遂に、英国との休戦が果たされるのだが…という内容。

カンヌ映画祭でパルム・ドールを獲得した本作。アイルランド独立戦争を採り上げた映画ながら、ローチ監督自身はイングランド人だとの事。本作の物語の後も燻り続ける問題なので、デリケートな題材だが…元々貧困層や弱者の立場に立った作品制作を旨とする作家だけに、一本筋の通った内容なのは間違いない。

個人的にもこれまで歴史的事実だけを文章で読むのと違って、かの土地で生きる人それぞれの苦悩が(僅かながらでも)垣間見えたのは良かった。英国と愛国の関係を知らない人でも、本作から普遍的な哀惜の念を汲み取ってもいい。
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2017.09.18

メフィストの誘い

観てみた、マノエル・ド・オリヴェイラ監督映画。1995年公開。

山中の古い修道院を訪れた、マイケル教授と妻のヘレン。彼らの目的はシェイクスピアの出生を解き明かす事だが、同時に教授が没頭するのは不死の研究。しかもバルタールという男が管理する修道院は実は、黒魔術信仰という秘密を持っていた。その場に集った男女の関係は、混迷の中に誘われ…という内容。

ゲーテの「ファウスト」を下敷きにした、オリヴェイラ監督87歳の作。ファウストといえば最近ソクーロフ監督の映画を紹介したけど…本作では黒魔術崇拝の場でもある修道院を舞台に、男女間の「誘惑」が描かれる悪魔的なやりとりが見所。

オリヴェイラ監督の作品としては初めて、カトリーヌ・ドヌーヴやジョン・マルコヴィッチといった国際的に有名な俳優を起用したとの事だが…よく知ってる顔の人が、よくわからん会話をひたすらするという映画だったわ。とは言え結構飛び道具みたいなストラヴィンスキーや黛敏郎の音楽と共に、興味深い使われ方ではある。
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2017.09.17

裁かれるは善人のみ

観てみた。アンドレイ・ズビャギンツェフ脚本、監督映画。2014年公開。

妻子と共に海辺の家で暮らす、自動車修理工のコーリャ。再婚相手の現妻と、前妻ともうけた息子との難しい関係以上に彼を悩ませるのは、彼の土地を強制的に買収しようとする市長との対立だった。彼は問題を解決するべく間に友人の弁護士ディーマを立て、有利に交渉を運ぶ事に成功したのだが…という内容。

カンヌ映画祭では脚本賞を獲得した本作。内容は邦題がそのまま表す通り、善良な市民が徹底的に打ちのめされる話だが…原題の「Левиафан」とは聖書に登場する怪物リヴァイアサンの事で、強大で暴虐な力を象徴するものらしい。

何の救いもなく(奪われた土地のその後を見ると実に皮肉)観ていて楽しめる映画ではない。どうせなら悲劇として盛り上げてくれればまだカタルシスを得られるのに…と思ったものの、感触としては伊ネオレアリズモに近いのかもと。観念的表現でない直截的な権力批判からして、ソ連映画では出来なかった事だしな。
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2017.09.16

誘う女

観てみた、ガス・ヴァン・サント監督映画。1995年公開。

周囲の反対を押し切って結婚したマレット夫妻。裕福な家庭ではあったが、妻のスザーンは幼い頃から抱く「TVに出て有名になる」という夢を叶える為、地元の局で小さな仕事を始めた。野心的な彼女は更に上を目指すべく、地元の高校生3人のドキュメンタリー製作に取り掛かる。だがそんな彼女に夫は…という内容。

1990年にアメリカで実際に起きた事件を元にした、ジョイス・メイナードの小説「誘惑」を原作とする本作。ニコール・キッドマンの主演で注目されたが、あちらでは三面記事的な興味で大変に話題になった事件だそうで…登場人物にインタビューする形式の演出などは、まさにそうしたニュアンスを汲み取ったものだろう。

犯罪物としてはお粗末な上に、事件内容的に社会派的切り口で採り上げた訳でもなさそうと来たら…ワイドショー的に空疎な騒動を、醒めた眼で見詰めた作品とは言えるのかな。ならば女優の名前で客を釣る、その空疎さこそ相応しい。
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2017.09.13

パットン大戦車軍団

観てみた、フランクリン・J・シャフナー監督映画。1970年公開。

軍人一家の家系に生まれ、米陸軍で大将にまで上り詰めたジョージ・パットン。第二次大戦のイタリア戦線では英モントゴメリー将軍への対抗意識から功を焦り、更に野戦病院ではPTSDの兵士を殴り付けてしまう。批判を受け前線から遠ざけられ忸怩たる想いの彼は、連合軍の欧州本格侵攻に伴い…という内容。

実在の米軍人を描いた大作戦争映画。脚本にはフランシス・フォード・コッポラも参加し見応えのある内容だが、まあ当時物の映画らしく兵器の再現に関してはやっぱり当時なりの適当さ。ただ面白いのはドイツ軍の使うのがM48で、「パットン」自身の名を冠した戦車が敵役というのは…多分ただの偶然だろうな。

本作は邦題の勇ましさの割に、パットン個人の人格面にクローズアップした内容(それでもアルデンヌの戦いは、「バルジ大作戦」よりちゃんとしてる)。冒頭の演説内容からして面食らうが、あれでもソフトな表現に改めているらしい…
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2017.09.12

ザ・フューリー / 烈火の戦場

観てみた、ライアン・リトル監督によるビデオ映画。2014年発表。

第二次大戦末期。ドイツ国内を進軍する米陸軍の駆逐戦車は、落ちた橋を迂回した先で黒人兵士・オーエンスと、収容所から解放された英軍中尉・ゴスと出逢う。彼らの乗ったトラックが独軍戦車の攻撃を受け、部隊は壊滅したと言うのだ。駆逐戦車2輛は戦力に優ると判断し、敵の軍を攻撃するのだが…という内容。

ブラピの映画に便乗した邦題だが当然無関係で、それどころか本作は「Saints and Soldiers」というシリーズの第3作だとの事。…内容は確かに戦車戦がメインでM18駆逐戦車、通称ヘルキャットが活躍するという仲々渋好みな作品。

独人一家との交流など「パチッ」にでもありそうなシチュだし、人種差別問題を採り上げたストーリーも小技が効いていて楽しめる。よく言われる通りまさに拾い物の戦争映画だが…戦闘場面になると煙や炎がCG丸出しでアレレ。まあ逆に言えばそういう些細な部分が気になる程度には、よく出来た映画であったなと。
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2017.09.11

ラスト・サマーウォーズ

観てみた、アレクセイ・ビストリツキー監督映画。2016年公開。

第二次世界大戦末期。ドイツ降伏に喜ぶ間も無くザベーリン大尉の指揮する部隊は、ソ連が参戦する事を決めた日本との戦いの為に満州へ向かった。だが日本も終戦を決定した事で、関東軍の内部で大きな動揺が走る。いまだ反撃を止めない敵に対して、大尉は小部隊でのハルピン急襲作戦を立案し…という内容。

ロシア製戦争映画…というか、TVドラマのミニシリーズを再編集したものらしい。ポツダム宣言の受諾後も続いた戦闘をソ連側から描いた作品だが、日本人の役者も参加しており意外ときちんとしてる。おや?と思う所も無いでも無いけど、まともな日本語で会話されているだけでこの手の映画では結構驚いてしまうな。

それ程珍しくはないかもだが、T-34/85の実物車輛も大量に登場。戦闘場面はソ連対日本という、こちらは結構珍しい取り合わせという事もあって仲々見応えあった。…まあ内容はダイジェスト気味なので何だが、興味深い作品ではある。
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