2019.07.14

「神の目の凱歌」ラリー・ニーヴン、ジェリー・パーネル著、酒井昭伸訳

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読んでみた、アメリカ人作家の共著によるSF小説。1994年発表。

3017年、人類がファーストコンタクトした異星種属・モーティ−。だが彼らの潜在的危険性の為、恒星のジャンプポイントが長年封鎖されていた。そして26年後、モーティーは遂に新たな経路から人類宙域に侵入を果たし…という内容。

1975年に刊行された、両著者初めての合作長編「神の目の小さな塵」の続編である本書。自分もそちらは勿論既読だが、殆ど忘れてしまっていて「宇宙人 ヤバいやつゆえ 閉じ込めた」、なんて五七五程度の内容しか覚えていなかった。一応粗筋も載っていたので助かったけれど…結構印象の違う作品ではあった。

前回は省かれた戦闘シーンが見所という事もあって、ファーストコンタクト物として出色だった前作と違うのはまあ仕方ない。でもその戦闘に至るまでが何とも長くてなあ…(架空動物の架空料理の描写とかそんな重要か?)。いやおまけとして掲載されていた「塵制作ノート」が面白かったので、むしろこっちの方が必読。
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2019.07.13

「マカロニ・ウエスタン 銃器[熱中]講座」蔵臼金助著

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読んでみた、日本人著者による映画/銃器解説書。2010年発表。

米発祥の西部劇を模倣し1960年代に隆盛を極めた、イタリア製西部劇映画こと「マカロニ・ウエスタン」。本書ではそれらの作品に登場する拳銃やライフルといった「銃器」に焦点を当て、マカロニ西部劇の魅力を紐解く…という内容。

マカロニ・ウエスタンや西部開拓時代の銃器類は自分も割と好きなつもりでいたけど、どちらもディープ過ぎる世界なので本書の内容は知らない事ばかり。まだ見ぬ面白げな作品の数々と共に、伊の映画制作者が注いだ銃への熱意には驚かされた。…勿論それをマイナーな映画の少ない情報から探り出した著者にも。

まあ用語に関しては殆ど説明が無いので、ある程度の事前知識は要求されるものの、独特の軽妙な語り口のお陰で多分マカロニ初心者にも楽しく読めそう。…とは言え今や既に滅びてしまったジャンルだけに現状への切ない嘆きはあるけれど、著者のマカロニ愛が満ち溢れた本書にはそれだけで読む価値がある。
posted by ぬきやまがいせい at 21:09 | Comment(0) | 読書

2019.07.11

「グレート・ギャツビー」スコット・フィッツジェラルド著、村上春樹訳

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読んでみた、アメリカ人作家による長編小説。1925年発表。

NY近郊へと引っ越して来た主人公は、隣家の邸宅で毎夜豪華なパーティが開かれている事で興味を持つ。後日彼が招待された際に出逢った当主の名は、ジェイ・ギャツビー。彼らはやがて、親密な関係になるのだが…という内容。

アメリカ文学を代表する一作とも言われる小説。本書で翻訳を担当した村上春樹に関しても、最愛の一冊としてしばしば挙げている。それ故に本書の新訳は長年の念願だったそうだが…まあ評価としては賛否両論。いかにも村上っぽい文体は好みが分かれる所だろうけど、そうした熱意だけで価値のある気はする。

ただ実際本書を読んだ印象だと、その高評価には正直ピンと来なかった。「高貴」とか「格調高さ」とか言われても…「洒脱さ」なら判るけど。とは言え作者自身の(NTR)体験が反映した現代的な感覚と、古典劇の様にドラマティックな悲劇展開を併せ持つ二面性は、間違い無く名作としての実体を持ったものだろう。
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2019.07.10

海獣の霊を呼ぶ女

観てみた、エドワード・L・カーン監督映画。1956年公開。

近頃世間で話題なのが、催眠術師のロンバルディーという男。彼はアンドレアという女性に催眠術をかけてある実験をしていたのだが、彼の周辺では奇妙な殺人事件が連続で発生していた。その実験とは実は催眠術でアンドレアの前世の霊魂を喚び出すというもので、事件はその怪物の仕業だったのだ…という内容。

「金星ガニ」や「大頭人」の造形を手掛けたポール・ブレイズデルによる、雌のモンスター「シー・クリーチャー」で(極一部に)有名な作品。筆者も昔読んだ宇宙船誌で存在を知ったのだけれど、これまで仲々観る機会に恵まれなかった。

で実際観た印象はというと…うーん、かなり退屈。催眠術を用いる事で怪物が現れるというイメージ自体は悪くないが、肝心のモンスターの出番が少ないしなあ。まあそのシー・クリーチャー自体は上記2体ほどでは無いものの、仲々魅力的なだけに勿体ない。ブレイズデル本人が、中に入って力演したというのに。
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2019.07.09

「錬金術 / おおいなる神秘」アンドレーア・アロマティコ著、種村季弘監修

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読んでみた、イタリア人著者によるビジュアル解説書。1996年発表。

「賢者の石」を用いた「大いなる作業」を経て、卑金属を「黄金」へと変じるという神秘の御技「錬金術」。本書ではその成り立ちから現代までの歴史や、慎重に秘匿された技術の概要を、象徴に満ちた図版と共に解説していく…という内容。

錬金術に関しては高額で分厚い書籍が色々出ているのに較べると、本書は割と安価であくまでも簡素。でも内容的には充分じゃないかと思った(種村関係だし)。コンパクトにまとめられているものの、錬金術の難解な概念は割とそのままではあるんだけど…ぶっちゃけそれを正しく知ったところで、だから何だって話さ。

とは言え一般的な意味(漫画の元ネタ探しとか)で、みんな知りたがるだろう事が書かれているのは好印象。あと錬金術は秘伝書に描かれた神秘的でユニークな図版類が魅力的なので、それがふんだんに掲載されているのも良かった。ウンベルト・エーコ著「フーコーの振り子」日本版表紙の絵も収録されてたしな。
posted by ぬきやまがいせい at 21:19 | Comment(0) | 読書

2019.07.07

「ウェットウェア」ルーディ・ラッカー著、黒丸尚訳

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読んでみた、アメリカ人作家によるSF小説。1988年発表。

月で起きたロボット達による反乱から30年後。一時ロボットに占領されていた月面都市では、人体をドロドロに溶かして融合する事で快感を得る、新種のドラッグが出回っていた。しかもそれに目を付けたロボットによって…という内容。

「ソフトウェア」の続編である「ウェア」シリーズの第2作(4作目は本邦未訳)。正直前作の話は覚えていなかったけれど、それでもまあ大丈夫だったかな。というか本書では肝心なところを次巻に持ち越してしまっているし、ストーリーがそこまで重要な作品とも言えない気が。じゃあ何に注目して読めばいいかと言うと…

多分当時盛り上がりの頂点だったサイバーパンクとの同時代的表現や、バロウズ等のビートニク文体の借用。ポオやディック等の作家への目配せといった、「スタイル」面なんじゃないかって。ただ本書は「ポップ」という感じでもない気がするんだよな。だからイラストに横山えいじを起用するのには、してやられた感が。
posted by ぬきやまがいせい at 21:27 | Comment(0) | 読書

2019.07.06

戦狼 / ウルフ・オブ・ウォー

観てみた。ウー・ジン主演、監督映画。2017年公開。

元特殊部隊「戦狼」の兵士であるレイは、アフリカの某国でボディガードとなっていた。そんな時民間軍事会社ディランコープスが裏で手を引く内戦が勃発。レイはチェン博士を始めとする、中国医師団救出に向かうのだが…という内容。

大ヒットを記録したという中国製の戦争アクション映画。実は「ウルフ・オブ・ウォー ネイビー・シールズ傭兵部隊 vs PLA特殊部隊」の続編…知らずに観たけどさ。内容は中国版ランボーと言われる通り、痛快肉弾アクションの釣瓶打ち。ただ馬鹿馬鹿しい反面中国の国策映画臭プンプンで、そこが気になると辛いかも。

個人的には戦車同士がケツの取り合いをしながら砲戦を交わす、まるでガルパンみたいな戦闘は結構楽しめた。爆発反応装甲を付けたT-55の近代化車輌か…と思ったら違うらしい。どうやらT-55の中国製コピーモデル「59式」の派生の様だが、撮影地南アフリカの軍では導入していないので、持ち込んだのかな?
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2019.07.04

DARK STAR / H・R・ギーガーの世界

観てみた、ベリンダ・サリン監督によるドキュメンタリー映画。2014年公開。

映画「エイリアン」のモンスターデザインで、世界的に知られる様になった異端の画家H・R・ギーガー。本作は2014年にこの世を去った彼の生前の姿と共に、制作風景や関係者インタビューで構成されたドキュメンタリー…という内容。

よくぞ残しておいてくれたという作品。ギーガーの画業に関しては今更説明する必要は無いだろうけど、本人となると謎に包まれたままだったのも確か。若き日の写真で見た時と同様、本作中でも老いた姿に鋭い眼光を湛えていた。…まあ義母のコメントでは普通の人らしいから、撮影してる時には演じていたのかも?

個人的にはCeltic Frostのメンバーが、マネージャーみたいな事をやっているというのに驚いた。しかも音楽を担当したのが、IslandのPeter Schererですよ(!)。どちらもギーガーがアルバムジャケットを手掛けた縁があるので、MagmaのChristian Vanderも登場するかと思ったら…出て来なかったのだわ。
posted by ぬきやまがいせい at 05:00 | Comment(0) | 映画

2019.07.03

「地獄への門」ポール・プロイス著、小隅黎、久志本克己訳

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読んでみた、アメリカ人作家によるSF小説。1981年発表。

二重ブラックホールを利用した超空間ゲートに突入した宇宙船。だがホールダーは脱出艇を強奪して、独自のルートに進んで行く。彼が到着したのは、幼い日を過ごした惑星ダーウィン。果たしてホールダーの目的とは…という内容。

著者のデビュー長編、「天国への門」の続編である本作。ぶっちゃけるとそちらが少々アレだったので、ずっと積んでいた。で実際読んだ感想は…うーん。内容的にはハードSFなんだけど、冒頭で舞台や状況設定を整えた後は秘境冒険ものになってしまうのは前作と一緒。そのせいでコレジャナイという印象がなあ。

本作はクライマックスで宇宙船事故とタイムパラドクスを用いた展開になるだけ前作よりマシだが、状況が複雑すぎて誰が誰やら何が何やらな感じで参った。…まあお薦めはしないけれど、小隅訳にアナログ画材による加藤直之画のハードSFというだけで、今や失われた貴重さにひたれるから個人的には問題なし。
posted by ぬきやまがいせい at 20:58 | Comment(0) | 読書

2019.07.02

「逢魔物語」津島佑子著

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読んでみた、日本人作家による連作短編集。1984年発表。

八犬伝の「伏姫」、「三ッ目小僧」、番町皿屋敷の「お菊」、「おろち(大蛇)」、山椒大夫の「厨子王」という、物語や伝説をモチーフとする連作。現代に生きる女性が向き合うそれぞれの人生模様に、さりげなく寄り添う幻想譚…という内容。

太宰治の次女として知られる作者が、以前より書きたかったという怪談/幻想作品集。本書がその実現したものだそうだが…そのまま読む限りでは、現代女性が関わる不倫や三角関係に未婚の母といった、あくまで現実的・地上的な問題を描いた感じ。純文学ってこういう辺りがキツイんだよ、という題材そのものだし。

まあそれは勿論作者が意図したもので(シングルマザーの件などは作家自身の経験から来る、オブセッショナルなものだろうけど)、直截的にお化けが出るより人と人の関わりの方が怖かろうという事らしい。…むしろ個人的には、女性心理の一端に触れてしまった、その「異境感」の方が怖かったかもしれんなって。
posted by ぬきやまがいせい at 20:58 | Comment(0) | 読書