2016.07.30

魔術師

観てみた。イングマール・ベルイマン脚本、監督映画。1958年公開。

深い森を抜け旅をする「魔術師フォーグラー」一座の馬車。道中拾った瀕死の男が息絶え、その死体を処理せぬままに次の町に入る。そこでは顔を揃えた町の有力者が一座に嘲りを向けながら、後刻彼らの超能力芸を披露する様に通告してきた。その夜、屋敷に泊まる事を許された一座に対して人々は…という内容。

本作はベルイマン監督のフィルモグラフィでは中期の作品で、アカデミー外国語映画賞を獲得した代表作「処女の泉」の前作に当たる。…自作の中では常に宗教や信仰といった題材を採り上げて来た彼だが、本作でもメスメルの「動物磁気」を用いると標榜する魔術師と、保守・懐疑的な有識者との対立が描かれる。

ただ本作はそうした難解な思想を語るばかりでなく、やけに明快なオチが用意されているという(ベルイマン的に)異色の作品となっている。まあ「処女の泉」だって判りやすくはあったけれど、本作みたいに戸惑わされはしなかったしな…
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2016.07.29

シン・ゴジラ

観てみた。長谷川博己主演、庵野秀明総監督映画。2016年公開。

東京湾で無人のプレジャーボートが発見された直後、海面で爆発が起き水柱が上がる。原因は海底火山の噴火と思われ、時の総理・大河内による記者発表が検討される中、何と巨大な生物が姿を現す。その後「ゴジラ」と呼称されるその生物に対し、矢口内閣官房副長官は対応に追われる事になり…という内容。

「冷凍凶獣の惨殺」を思い出した。…まあそれはいいんだけど、本作は庵野総監督を迎え日本で12年振りに製作された「ゴジラ」シリーズ第29作。怪獣出現という状況をシミュレーション的に構築し、歴史的事件の再現映画(「日本のいちばん長い日」が念頭にありそう)風の手法で描かれた、斬新な怪獣映画となった。

ただ反面大分割り切った作りで、状況の推移はあっても情緒的なドラマに乏しいという通常の劇映画としては難点がある。…でもそんなのは些細な問題、一言見事と申し上げよう。日本のゴジラが、いや日本映画が遂にやってくれました。
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2016.07.27

妖怪百物語

観てみた。藤巻潤主演、安田公義監督映画。1968年公開。

悪徳商人・但馬屋利右衛門は、貧しい人々が暮らす長屋を取り潰して岡場所を作る事を目論む。その為に寺社奉行・堀田豊前守らに取り入るべく、賄賂授受の場として「百物語」の会を開く。だが怪異譚を語り終える毎に蝋燭を消し、最後の1本を消し終えた後に行うべき「まじない」を、蔑ろにしたせいで…という内容。

第一次怪獣ブームが沈静化し、それに入れ替わる様に発生した怪奇・妖怪ブームを受けて製作された作品。白黒アニメ版「ゲゲゲの鬼太郎」がその発端の様だが、円谷は「怪奇大作戦」で受けて立ったのだから面白い。大映でも「ガメラ対バイラス」の併映として本作を上映したが、その後シリーズ化する事となる。

本作は案外ちゃんとした時代劇というか…悪党のやる事が殆ど「必殺シリーズ」。ただ仕置をするのは寅の会じゃなくオバケの仕業なんだけど。水木妖怪ほどの愛嬌はなく、結構怖いのが特徴か。ラストの百鬼夜行なんか雰囲気出てる。
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2016.07.25

色即ぜねれいしょん

観てみた。渡辺大知主演、田口トモロヲ監督映画。2009年公開。

1974年。ヤンキーが幅を利かせる仏教系男子校の高校生・乾純は、幼馴染み・恭子に告白する事も出来ず自作の歌に想いをぶつける日々を送っていた。そんな夏休み、同級生の伊部と池山からフリーセックスが行われているという隠岐島へ誘われる。その道中、オリーブという女の子と出逢って…という内容。

原作はみうらじゅん。田口監督の前作「アイデン&ティティ」も同じくみうらの原作だが、そちらは漫画で本作に関しては小説だとの事。彼の自伝的内容というだけあって結構ストレートな青春映画だが、前作の様に荒唐無稽な要素が抑えめな分(妄想のBob Dyranが登場したり)観ていて少々物足りないのも確か。

個人的には(トモロヲ監督らしく)村八分の「どうしようかな」のカバー曲が、主題歌に使われているというだけでおっと思ったのだが…オリジナル版も挿入歌として劇中流れており、だったら別にカバーじゃなくてもよかったじゃんという気が。
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2016.07.24

五重塔

観てみた。花柳章太郎主演、五所平之助監督映画。1944年公開。

谷中感応寺に五重塔が建立される事となった。棟梁は寺の御用を務める川越の源太となる筈だったが、彼の下で働く大工の片岡十兵衛が俄然意欲を見せる。塔の雛形を見せ、朗円上人に嘆願する十兵衛。住職はその一徹さに打たれ、十兵衛と源太どちらが務めるか話合いで決める様諭したところ…という内容。

原作は岸辺…じゃなく幸田露伴ちゃん(ちゃん言うな)の小説。本作のモデルになったのは東京都台東区谷中の天王寺で、かつては五重塔も存在していた。原作執筆時の明治25年には健在だったのだが、昭和32年に起きた心中放火事件により焼失してしまったとの事。こうして調べると歴史を感じさせる話だ。

本作もまた戦争まっただ中の昭和19年に撮影が行われながらも、そうした窮状を感じさせない気品や風格のある名作となっている。特に五重塔のミニチュア特撮なんか驚かされるが、劇中の様な執念あっての出来映えに違いない。
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2016.07.22

リディック : ギャラクシー・バトル

観てみた、デヴィッド・トゥーヒー監督映画。2013年公開。

一旦はネクロモンガーの王になったものの部下の裏切りに遭い、砂漠の無人惑星で置き去りにされてしまった凶悪な犯罪者・リディック。彼は自らの野生を再び取り戻す為に、その地の凶暴生物達と戦いを繰り広げる。そんな時リディックに懸けられた賞金を目当てに、2つのハンターチームがやって来て…という内容。

ヴィン・ディーゼル主演による「リディック」シリーズ、9年振りの第3作。…前作が主人公こそ同じものの、やけに壮大でおかしな方向に行ってしまったので、本作はその逆に第1作「ピッチブラック」へと回帰したかの様な内容になっている。

辺境惑星で行われるエイリアンとの戦いを中心に、賞金稼ぎが絡んで来るという感じ。ただここで根本的な問題に突き当たるのだけれど、ひょっとしてリディックってキャラはそれ程魅力的じゃない?、と。「ピッチブラック」は確かに面白かったとは思うものの、それも他の要素が上手に組み合ってたからなんだなあ。
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2016.07.21

ピクニック at ハンギング・ロック

観てみた、ピーター・ウィアー監督映画。1975年公開。

1900年、聖バレンタインデーのオーストラリア。その日全寮制アップルヤード女学院の生徒3名と女性教師1名が、ピクニックで訪れた岩山で忽然と姿を消した。必死の捜索が行われ後日1名が発見されたものの、その際の記憶は失われていた。事件の影響は残された者の間にも大きな波紋を呼んで…という内容。

原作はジョーン・リンジーの同名小説だが、実際の事件を元にしたのか或いは完全なフィクションなのか、現在でも論議が絶えない作品。ただ「実話を元にした」という体裁を取っている事自体は間違いないので、本作の観終わった後でも何か釈然としない、狐につままれたかの様な感覚自体はそれで筋が通っている。

豪州の自然を背景にビクトリア時代の衣装や風物を再現し、まるで印象派絵画から出て来た様な女生徒を捉えた映像は美しく、それだけで人を惹き付けて止まない作品だろう。…まあ個人的には皆、十二国送りになったって事でいいや。
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2016.07.18

きっと、うまくいく

観てみた、ラジクマール・ヒラーニ監督映画。2009年公開。

ファランとラージューは、大学時代に親友だったランチョーの消息が掴めたと知って浮き足立つ。ランチョーはインドのエリート工科大学の中でも優秀な成績を収めた学生だったが、学長とは教育に関する考えで対立した風変わりな男だった。彼の行方を追う中で2人は、ランチョーの隠された秘密を知り…という内容。

公開当時インドで大ヒットを記録し、同国における映画賞を総ナメにした作品(日本アカデミー賞でも優秀外国作品賞を獲得)。…インド映画らしく歌や笑いを3時間に詰め込んだ作品だが、描かれているのはごく普通の(?)大学生活で、教育や自殺の問題等も自然に採り入れられているのが逆に新しかったらしい。

ただ個人的にはその普通過ぎるのがどうも、印映画に求めているものと違うなと。勿論普遍的な感動はあるのだが、なら別にインドじゃなくてもいいんだし。…インド映画にはやっぱり、呆れる程の突飛さと呆れる程の過剰さが欲しい訳で。
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2016.07.17

コード・アンノウン

観てみた。ミヒャエル・ハネケ脚本、監督映画。2000年公開。

映画撮影中の女優・アンヌの前に現れたのは、カメラマンの恋人・ジョルジュの弟であるジャン。父親と反りが合わずに家出して来たという彼は、物乞いの女を侮辱した事で黒人青年・アマドゥとトラブルになってしまう。この小さな出来事に関わった人々が抱える諸問題を、それぞれの視点から追っていく…という内容。

ワンシーン・ワンカットの長回し撮影でオムニバス風に描かれる作品で(劇中劇である映画の場面では、例外的にカット割りがされている)、カンヌ国際映画祭では「人道賞」を獲得した。何だかハネケっぽくない賞だけれど、難民や人種といった現実の欧州が抱えている、様々な問題を採り上げている辺りからだろうか。

ただ個人的にはそうした問題提議より、人々の「関係性」が描かれた作品だと思う。…喧嘩するにも楽しげにするにもどうもいたたまれなくなる空気感があって、触れて欲しくない部分にズカズカと踏み行って来る無遠慮さは成程ハネケ。
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2016.07.15

ザ・ウォーカー

観てみた。アレン&アルバート・ヒューズ監督映画。2010年公開。

大きな戦争で文明が崩壊した世界。そこで「ウォーカー(旅人)」と呼ばれる男が30年もの間、一冊の本を携えアメリカ大陸を西に向かっていた。その本に目を付けたのがある街の支配者カーネギー。かつて人々から焼き捨てられ唯一残ったその本の持つ、絶対的な力を手に入れんとするカーネギーは…という内容。

設定的にはよくある亜流「マッドマックス」みたいだし、主人公のべらぼうな強さからはデンゼル・ワシントン版「北斗の拳」という雰囲気のある作品。…ではあるのだけれど本作の肝自体は少々違った所にあって、濃厚な宗教的モチーフを採り入れて、「華氏451」のその後を描いたという感じのアイデアは結構ユニーク。

ただ映画自体はえらくローテンションで、盛り上がりに乏しいのは観ていてつらいところ。…関係ないけどこの世界では紫外線による乾燥の為にリップクリームが珍重される様だが、そういや「おそ松さん」ではそれがローションだったなと。
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2016.07.14

ダイダロス 希望の大地

観てみた、アハン・サタエフ監督映画。2012年公開。

18世紀。カザフスタンの草原で暮らす人々は、隣国ジュンガルからの脅威に怯えていた。サルタイの村もまた騎馬部隊に皆殺しにされ、今は武芸を鍛えつつ身を潜めて暮らしていた。そんな彼もジュンガルの横暴に遂に耐えかねゲリラ戦を開始する。やがて名前を徐々に広めるサルタイだったのだが…という内容。

カザフスタンが独立20周年を記念して製作した歴史大作。アカデミー賞の外国語映画部門にもエントリーされたとの事で、相当に力の入った内容になっている。…雄大な草原を背景に駆け抜ける騎馬集団の姿を捉えた映像が美しく、当時の武具や装備の再現に血腥い戦闘シーン等見所の多い作品となっている。

個人的には同じくモンゴル族の出る「アジアの嵐」を思い出したけれど、本作に登場するのは皆シュッとしたイケメンばかりで、近年の日本時代劇や韓国の歴史劇でも見ている気分になる。…まあこういうのも世界的な傾向なのかなあ。
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2016.07.12

永遠の0(えいえんのぜろ)

観てみた、岡田准一主演、山崎貴監督映画。2013年公開。

佐伯健太郎は祖母の葬儀に際し、祖父・賢一郎とは血縁がない事を知る。実の祖父・宮部久蔵は戦時中、特攻で命を散らせた戦闘機操縦士だった。久蔵の事を調べるべく戦友達の元を訪ねた健太郎だが、彼の評判は「臆病者」という芳しくないもの。果たして戦争の最中に、久蔵が抱いていた真意とは…という内容。

原作は百田尚樹のベストセラー小説。本作映画版も日本アカデミー賞での11部門制覇をはじめ、高く評価された。…のは間違いないものの、その一方で批判が多かったのも確か。特攻賛美から原作者の人物像の問題まで、正直余り触れたくないからこの場では触れないけど、まあ一応観ておくかとは思ったので。

ただ事前にTVドラマを見ていたもんで、まあ同じ話だなと(尺が長い分、内容自体はそちらに軍配が上がった気が)。…実在船の上に合成したCGの空母・赤城なんか興味深かったけど、映像面はあれこんなもんかと思ったのも正直な所。
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2016.07.11

イングリッシュ・ペイシェント

観てみた、アンソニー・ミンゲラ監督映画。1996年公開。

第二次大戦中、飛行機を撃墜され全身に大火傷を負いながら奇跡的に生還した男。記憶を失い自分の名前すら思い出せない彼は、単に「イギリス人の患者」と呼ばれていた。患者に付きそう看護師のハナは、廃墟の修道院で彼を密かに匿う事にする。どうやら患者には秘められた過去の恋愛があって…という内容。

マイケル・オンダーチェの小説を原作とする本作、米アカデミー賞では作品賞を始めとする9部門を獲得した。内容の方はと言うと要するに不倫の話で、その事に批判的な意見を多く目にしたのには笑った。芸能人に関する週刊誌記事じゃなくて映画なんだから、別にそんなところで怒らんでも…とは思ったのだけれど。

ただ筆者的にも不倫話自体は結構退屈で、3時間近い尺もあって参った。とは言え謎めいた患者の過去をミステリアスに紐解いていく構成や、悲劇に終わる結末等は良いので(オスカーは貰いすぎという気もするけど)結構楽しめたよ。
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2016.07.09

ロンゲスト・ヤード

観てみた、ロバート・アルドリッチ監督映画。1974年公開。

八百長でプロでの活動から追われたかつての花形アメフト選手、ポール・クルー。警官相手に大立ち回りを演じた末に、とうとう刑務所送りとなってしまう。そこの所長は看守によるアメフトチームの運営に熱心な男。彼の指示でクルーは看守の練習試合の相手として、囚人達でチームを結成する事になり…という内容。

「塀の中のプレイ・ボール」等を始めとする、刑務所スポーツ物の古典。主演のバート・レイノルズは、本作ではトレードマークの髭も剃って比較的サッパリした出で立ちだが、全編男臭さ全開のアルドリッチ監督らしい作品となっている。

個人的にアメフトはルールからしてよく判らんのだが、ゴールデングローブ賞をコメディ部門で受賞しただけあって、練習試合での無茶苦茶な暴れ振りを観てるだけで笑える。…でも数秒を争う試合最終盤やその後の緊張高まるラスト等、おおらかな作風ながら主人公の人間的再起までを描いた骨太の作品でもある。
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2016.07.08

散歩する惑星

観てみた。ロイ・アンダーソン脚本、監督映画。2000年公開。

いつまでも解消しない交通渋滞が続き、群衆が奇妙な紐を振り回しつつデモ行進するとある街。自身が経営する家具店に放火したカールや、精神を病んだ元詩人の息子。30年勤め上げた会社を首になった老人や、列車のドアに指を挟まれた男等。奇妙ではあるけれどその街にも人々の営みがあって…という内容。

ウルトラセブンのリッガーが登場する回…ではなくて、スウェーデンCM業界の大御所が25年振りに手掛けたという長編映画。撮影や演出面でアナログ的技法を用いて、カンヌ映画祭では審査員賞を獲得した。で内容の方はと言うとショートコント的シークエンスを積み重ねた、不思議なオムニバス風作品という感じ。

端的に言うとすごくブニュエルっぽい(ゴダールっぽくもある)。そういう映画だからストーリーが無いのを批判しても仕方ないと思うけど…幽霊が普通の顔をして現れる上にやたら暴力的な世界観は、シュールと言うより不気味ではある。
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2016.07.06

豹 / ジャガー

観てみた、セルジオ・コルブッチ監督映画。1968年公開。

見合った金を受け取らなければ動かない凄腕のガンマン、コワルスキ。彼が富豪ガルシアから請け負った、銀護送の仕事先で出会ったのが、革命軍を率いるパコという男。不思議な縁で意気投合し、コワルスキは彼の革命軍を支援する事になる。だが彼に怨みを持つブリッグスを始め、敵が次々現れ…という内容。

観ていておやと思ったのだが、先日紹介した同じくフランコ・ネロ主演の「ガンマン大連合」と、本作はかなり内容が似ている。どちらも金本意の主人公がメキシコ革命指導者を支援する話で、ガンマン〜はセルフリメイクと言われている。

まあどちらも甲乙付けがたい出来だが、個人的な好みだと本作の方が上かな。野砲の砲撃や(コルブッチ監督作らしく)機関銃の乱射でなぎ倒される騎馬隊等…派手な映像が続いて楽しめるけれど、闘牛場の決闘シーンでの緊張感も良い。ヴェラクルス的なお約束展開ながら、血に塗れる胸の花という描写が美しい。
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2016.07.05

ストレイヤーズ・クロニクル

観てみた。岡田将生主演、瀬々敬久監督映画。2015年公開。

1990年代、極秘実験により超常の能力を持った者達が誕生した。両親に過負荷を与える事で生まれた子供である昴達は、外務副大臣・渡瀬の依頼を受ける事で彼らを待つ「破綻」と呼ばれる破滅を回避する術を探っていた。そんな時遺伝子操作で改造されたもう1つの超人集団が現れ、昴達と対立し…という内容。

原作は本多孝好の小説。超能力者集団と言われるとスタージョンの「人間以上」を思い出すけれど、2つのグループの対決という辺りから「Xメン」が引き合いに出される事が多い本作。被差別集団である筈のミュータントがアメコミらしくアクティブなそっちと較べると、本作はダウナーな青春映画そのものって内容。

この煮え切らなさが実に邦画っぽいけど「ナイトヘッド」辺りと比較してもキャラの弱さ故か、そういう方面でも少々物足りない。…まあ本作はちょっと前まで渦中の人だった、ゲスの極み乙女。の曲が大々的に使われてる辺りに注目か。
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2016.07.03

チャンプ

観てみた、フランコ・ゼフィレッリ監督映画。1979年公開。

酒と賭け事に溺れる元ボクシング世界チャンピオンのビリー。でも一人息子のTJは彼を「チャンプ」と呼んで慕っていた。ある日別れた妻アニーが彼の前に現れる。息子には彼女は死んだものと伝えており、母と子そして自分自身との関係に揺れるビリー。そんな彼にボクシング復帰の声が掛かり…という内容。

1931年製作の同名映画のリメイクである本作。泣ける映画として当時は散々持て囃された作品だが、最近はすっかり忘れられている気も。…というかボクシング映画なのに、同年公開された「クレイマー、クレイマー」と同じジャンル扱いされるのは何故かと思ったら、本作は子供を巡る別れた両親の話でもあった。

まあボクシングがメインだと思い込んでたせいで、どちらかと言うと家庭争議や競馬メインだったのは結構意外だったけど…監督がゼフィレッリだというのも意外だな。いやシェイクスピアが代表作なだけあって、悲劇はお手の物なのか。
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2016.07.02

特急にっぽん

観てみた。フランキー堺主演、川島雄三監督映画。1961年公開。

列車の食堂車に勤務するコック助手・喜一と、ウェイトレスのサヨ子は現在交際中。2人は午後12時半に東京を発つ、大阪行きの特急「こだま」に今日も乗り込む。だが待っていたのは喜一に何やら囁くスチュワーデスや曰くありげな乗客達。更に車内には、こだまが爆破されるという噂までが流れて…という内容。

原作は獅子文六の小説「七時間半」。特急こだま号と言っても東海道新幹線の開通は1964年なので、本作はまだのんびりした列車旅の時代。車内に様々な人物が現れそれぞれのドラマが描かれる、所謂グランドホテル形式の作品だが…オリエント急行辺りと違ってあくまでも川島作品らしく小市民的なのが特徴。

今観ると(時代劇の幕末太陽傳よりも?)喜劇としてはピンと来なかったりするのだが、上記の様に時代証言的な要素の方を興味深く観たかもしれない。…その後作られる「新幹線大爆破」に先駆ける作品でもあるしな。先駆けてないか。
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