2016.09.30

トッツィー

観てみた、シドニー・ポラック監督映画。1982年公開。

実力派ながらトラブルも多い俳優のマイケルは、自分に仕事が無いという事実に直面する。そこで彼は何と女装をして、TVドラマのオーディションに受かってしまう。彼が演じるドロシーの媚びない生き方が大受けして一躍スターの座に。だがマイケルは共演する女優、ジュリーに惹かれるものを感じて…という内容。

ダスティン・ホフマンの見事な女装で話題になった映画。内容的には勿論ホフマンの軽妙なコメディ演技が見所だが、俳優としての苦悩や女性の自立という問題を男性視点から屈折させて描いている辺り、忘れがたい一作になっている。

また女装する前のホフマンがまるでニューシネマからそのままやって来た様な存在感なので、余計に女らしさを振りまくドロシーとの落差に笑える。とは言うものの実際にこんなのいても騙される訳ねえだろ、という意見には同意しないでもないが…実際世間は「耳の聴こえない作曲家」って大嘘に騙されてた訳だしな。
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2016.09.29

カフカの「城」

見てみた、ミヒャエル・ハネケ監督によるTV映画。1997年放映。

ある夜雪の降る村に、Kという測量技師が訪れる。城に居住する領主より仕事の依頼を受けた筈のKだが、先方と連絡を取り仕事に取り掛かろうとするもまるで要領を得ない。何とか城に辿り着こうとする傍らKは助手と名乗る奇妙な2人組に困惑し、酒場で働いていた女性フリーダとはねんごろになって…という内容。

原作はタイトル通りカフカによる未完の小説。カフカの長編では最長ながら単調で堂々巡りする内容の原作を、ハネケ監督はかなり忠実に映像化している(特に結末の身も蓋も無さは、是非ともご確認頂きたい)。忠実な分見ていてしんどい辺りも原作そのままなのだが、それはそれで意義はあると思う。個人的には。

まあ筆者も見ながら、作中眠気に抗えないKと同じ気分を味わったけれど…案外一大事の起こる、前振り時点のハネケ作品まんまだなと感心したり。ハネケに独自の結末を付け足させたら、多分暴力の嵐が吹き荒れてENDだなこれ。
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2016.09.28

オブリビオン

観てみた、ジョセフ・コシンスキー監督映画。2013年公開。

侵略者スカヴとの戦闘の果て、放射能で汚染された地球。人類は宇宙へ生活の場を移し、ジャックとヴィクトリアのたった2名が地上でドローンの保守点検任務に就いていた。ある日彼らは墜落した宇宙船から、ジュリアという飛行士を救い出す。その姿はジャックが夢の中で見続けた女性にそっくりで…という内容。

ハリウッドで最もSFの似合う男、トム・クルーズの主演による作品。…SF映画的な見地からだと荒廃した無人の地球を遠景で捉えたショットや、アップル製品みたいなデザインの機械類が目を引く。でも個人的にはそういう絶景の中にいるトム君が、過去の地球に望郷の念を馳せるという描写に惹かれるものを感じた。

そうした辺りを端的に表現しているのが音楽で、Led Zeppelinの曲をああいう形で流されたらそれだけで個人的に全部許せるわ(…もう一方がProcol Harumというのも、近いけど違うんだよ!というニュアンスが感じられて面白い)。
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2016.09.26

ライ王のテラス

TV放映を見た。三島由紀夫作、宮本亜門演出による舞台劇。

戦より凱旋帰国したカンボジアの王・ジャヤーヴァルマン7世は、バイヨン寺院の建立を若き石工ケオ・ファに指示する。ところが王の肉体は「ライ」の病魔に冒されており、周囲の者達も彼に近付くことを恐れていた。第2王妃ラージェンドラデーヴだけは変わらず王に付き沿うものの、彼の不信は治まらず…という内容。

三島由紀夫最後の戯曲だという当公演、今回王を演じるのは変態仮面こと鈴木亮平。輝く様な肉体を見せ付ける前半から、病で憔悴した後半へと変化する難しい役に当たっている。数十kgの体重を増減させたりと、日本における「デニーロ・アプローチ」の若き代表みたいな人なので、仲々に面白い配役だと思う。

内容面でも三島が晩年関心を抱いていた「精神と肉体の相克」を採り上げているのが興味深い。まあ今現在「癩病」を扱う際、差別問題を意識しない訳にはいかないが…そういう辺りを主題に置かなかったのは、三島っぽい感じだな。
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2016.09.24

HK 変態仮面

観てみた。鈴木亮平主演、福田雄一監督映画。2013年公開。

拳法部に所属しながらも腕前はからきしの少年・色丞狂介。だが彼は一旦女性のパンティを顔面にかぶると、両親から受け継いだ変態の血が活性化する事で、無敵の「変態仮面」になるのだ。狂介は日夜悪人共を懲らしめるヒーロー、そしてクラスメートの姫野愛子との関係に悩む一高校生でもあって…という内容。

原作はあんど慶周の漫画「究極!!変態仮面」。本作はその実写映画版で、今年2016年には続編である「〜アブノーマル・クライシス」も公開された。…原作の連載は90年代だが、本作はその後に製作されたアメコミ映画等のパロディ要素も採り入れつつ、下品かつくだらないギャグを大真面目に映像化している。

特に本作の直後にNHK朝ドラでブレイクした鈴木が徹底した身体作りの元に、共演の安田顕らと共に恥も外聞もかなぐり捨てた演技を披露している。内容自体は学芸会以外の何物でもないが、これはもう「本気の学芸会」映画だと思う。
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2016.09.23

ROOTS ルーツ

見てみた、アレックス・ヘイリー原作によるTVドラマ。1977年放映。

ガンビアで暮らすマンディンカ族の少年クンタ・キンテは、白人の商人に捕らえられ奴隷として米国の農場に送られる。彼はトビーという名を押し付けられ右足を切断されても、決して誇りと自由への希望を捨てなかった。その後娘のキジーや孫のジョージが生まれるも、彼ら黒人の一族に受難は続いて…という内容。

原作者ヘイリーの祖先を題材にしたピューリッツァ賞小説のドラマ版、アメリカ本国で放送されるやセンセーションを巻き起こしたらしい。日本でも勿論大きな話題になったが、実際に全編を通して見た人そんないたのかなあ?…筆者も「クンタ・キンテ」って名前はよく知ってたのに、内容は殆ど見た記憶が無かった。

とは言え最近アカデミー賞を獲得した映画「それでも夜は明ける」と比較しても、全く古くなっていないどころか遜色ない出来で驚いた。…クンタ・キンテの名はガンビアの島にも付けられたとの事で、まさに自由の象徴として永遠なのだろう。
posted by ぬきやまがいせい at 21:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2016.09.21

観てみた、イングマール・ベルイマン監督映画。1968年公開。

ある島で農業を営む元楽団員の夫婦、ヤーンとエーヴァ。市長とも懇意にしている2人だが、戦争が激しさを増し他国の解放軍が彼らの農園にまで攻めて来た。更にエーヴァは敵国のスパイ容疑までかけられてしまう。市長の計らいで解放された夫婦、だが再びやって来た解放軍の指示でヤーンは…という内容。

ベルイマン監督による戦争映画。観念的な内容かと思いきや、軍用車や戦闘機(多分ホーカーハンター)が登場して激しい爆発が起きる、同監督としては見た目のスケールも大きい作品となっている。…と言っても流石にアクション物という事はなくて、本作では戦争という極限状態で破壊されていく精神が描かれる。

水面に浮かぶ大量の死体や処刑シーン等の直接的な描写もショッキングだが、戦争そのものからではなく妻に関わる者への嫉妬から徐々に狂っていく旦那が怖いね。…黙示録的・終末的な感覚もあるのは、成程ベルイマンぽいかも。
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2016.09.20

宇宙からの脱出

観てみた、ジョン・スタージェス監督映画。1969年公開。

3名の宇宙飛行士を乗せ、軌道上のステーションとドッキングした宇宙船アイアンマン1号。ところが滞在任務を終え地球への帰還シークエンスに入った際、重大なトラブルに見舞われ宇宙で孤立してしまう。酸素の残量が刻々と減っていく中、地上では救助の為にロケットの打上準備が進められるのだが…という内容。

原作は月着陸前の1964年、マーティン・ケイディンにより書かれた小説。本作はアポロ計画に合わせて多少内容を改めた映画版だが、公開翌年には同13号の事故が発生するという予言めいた作品になっている。…実際アポロ13号事故を題材にした映画やドキュメンタリーと比較して、共通点の多さに驚いてしまう。

まあ映画だから(前身版ゼログラビティとでも言うか)盛り上げる為の要素も加わっているが、酸素残量を巡る「冷たい方程式」ばりの非情な展開に目を見張る。映像的には古いけど、知られざる傑作として評価されてもいいのでは。
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2016.09.19

女の顔

観てみた、グスタフ・モランデル監督映画。1938年公開。

顔に大きな火傷跡のある女・アンナ。彼女はその事で幼少期より辛い目に遭い、現在は犯罪者集団のリーダー格にまで堕ちていた。ある時、彼女が不倫を脅迫していた被害女性宅に押し掛けた際、その女性の夫が腕の立つ整形外科医師だと知る。医師の施術により生来の美貌を取り戻したアンナは…という内容。

そのバラライカみたいな女を見て、イングリッド・バーグマンに似てるなと思ったら本人だった。本作は彼女の母国スウェーデン時代の作品で、火傷顔のやさぐれた演技から改心するという、北島マヤが挑戦しそうな難役に当たっている。

んだけど肝心のお話の方が面白くなく、顔が綺麗になったから悪い事やめるわみたいに何か調子がいい。女って現金だなあと思う事しきり。前半は割とヒッチコック風のサスペンスとして転がっていきそうだったんだけど。…とは言え火傷メイクのバーグマンが見られるというだけで、珍品として価値があるかもしれん。
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2016.09.16

エッセンシャル・キリング

観てみた。イエジー・スコリモフスキ脚本、監督映画。2010年公開。

アフガニスタンの峡谷で米兵を殺害し捕らえられた男。彼はその際爆音で聴力を無くし、収容所では激しい尋問を受ける事に。だがある夜横転した護送車から逃走した彼は、米兵の追跡から雪の積もる森林地帯をひたすらに走る。男は生き延びる為に食い、そして殺す。果たして彼の逃亡の果てには…という内容。

ヴィンセント・ギャロの主演により、ヴェネチア映画祭では特例的に審査員特別賞と男優賞を獲得したという作品。デルス・ウザーラ meets 網走番外地という感じだが主演のギャロには一切台詞が無く、土を掘って蟻を食い鹿の為の飼い葉桶で眠るという、極限状態における生への執着をシンプルに描いている。

ただ正直個人的には登場人物や舞台が中東系という所からどうしてもノイズが思考に混じるので…そうしたプリミティブな主題を素直に飲み込めない辺り、自分自身に対しても複雑な気分になる(公開当時とは情勢もまた違うしなあ)。
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2016.09.15

スーパーサイズ・ミー

観てみた、M・スパーロック監督によるドキュメンタリー映画。2004年公開。

肥満大国と言われるアメリカ。ファストフード業界の代表格・マクドナルドはかつて、同社の商品が肥満の原因になったと訴訟を起こされた。果たして本当だろうか? そこでスパーロック監督自身が1日3食マックのメニューを1ヶ月の間食べ続け、いかなる結果が出るかという実験を始めたのだが…という内容。

公開当時大変な話題になり、ドキュメンタリーとしては破格の集客があったという作品。マイケル・ムーアのブラックユーモアを用いる手法に触発されたものとは思うけれど、日本人なら連想するのは多分TV番組の「黄金伝説」。ココリコ時代の放映から数えるなら、こちらの方が数年早いのは結構誇っていいのかも?

本作公開後米国ではスーパーサイズが廃止されたとの事だが、日本でもマックが大きく売り上げを落としている。まあそれは異物混入問題等のせいで本作は関係無いが、現実でその後の推移を追えるのもドキュメンタリーの面白さだな。
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2016.09.14

マレフィセント

観てみた、ロバート・ストロンバーグ監督映画。2014年公開。

古くから対立する妖精の国と人間の国。妖精の女王・マレフィセントは、幼い頃より交流のあった青年・ステファンの裏切りに遭い、翼を奪われてしまう。その後国王になった彼の愛娘の洗礼式に現れたマレフィセントは、幼い王女・オーロラが16歳になった時に目覚めぬ眠りに就くという呪いをかけ…という内容。

アンジェリーナ・ジョリーを主演に迎え、「眠れる森の美女」の物語を悪い魔女側の視点から描くという趣向の実写ディズニー作品。要するに「本当は魔女がいい人だったグリム童話」という内容なのだけれど…逆に出て来る男側登場人物が、軒並み小悪党だったり役立たずだったりで、どうにもフェミ臭えのなんの。

そのお陰もあってか当時「アナ雪」で大騒ぎしてた女性客に受けた様で、まあよかったんじゃない。原典の童話からして色々と類話・変形があるんだから、現代の作り手だって自由でいい筈だし。まあ個人的にはアニメの方でいいかな…
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2016.09.12

エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE

観てみた。ジョゼ・パジーリャ脚本、監督映画。2010年公開。

特殊部隊BOPEを指揮するナシメント少佐は離婚し、妻は息子と共に州議会議員フラガの元で暮らしていた。そのフラガが人質に取られた暴動での行き過ぎた対応から、少佐はBOPE指揮官の地位を追われる。だが彼は警察内部にはびこる腐敗の「システム」に、直接にメスを入れる手段を獲得して…という内容。

「エリート・スクワッド」の続編である本作。現在ブラジルのリオでは五輪に続きパラリンピックが開催中だが、本作の様な問題が潜んでいると考えると仲々に恐ろしい。…本作ではより社会派要素を強めた反面アクションは控えめだが(タイトルにもなってるのにBOPEは影が薄い)、個人的にはこちらの方が好みだな。

今回はブラジル版「セルピコ」とか「カンバセーション 盗聴」とでもいった感じだが、ギャングを何の躊躇いも無く射殺する腐敗警官が無茶苦茶過ぎて、サスペンスとしても終始張り詰めている。観ながらほんと日本は平和でよかったわと。
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2016.09.11

ガンジー

観てみた、リチャード・アッテンボロー監督映画。1982年公開。

インドの独立に貢献した偉大な指導者、マハトマ・ガンジーが凶弾に倒れこの世を去った。彼はまず若き日に弁護士として訪れた南アフリカで、差別や圧政に対する不服従の活動を始める。その後に戻った故郷のインドでも、イギリスの支配に対して完全非暴力を人々に説き、抵抗運動を行ったのだが…という内容。

インド独立の父と呼ばれるガンジーの半生を描いた伝記映画である本作、米アカデミー賞では作品賞を始めとする8部門を獲得した。…インドの雄大な風景や多くのエキストラを動員した映像にまず圧倒されるが、当のガンジーの信念が最初から一貫して全く揺るぎないので、お話としては至極淡々としているという。

だから本作に「非暴力主義でインドを独立に導いた偉人」という要約以上の余分な成分が無いという辺り、本当に規格外な人物だったんだな。それでも本作が映画として面白く観られてしまったというのも、意外だし凄い事だよなあと。
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2016.09.10

血斗のジャンゴ

観てみた、セルジオ・ソリーマ監督映画。1967年公開。

東部より病気療養の為、テキサスにやって来たフレッチャー教授。ある日お尋ね者のボーという男の逃走劇に巻き込まれたのをきっかけに、彼と行動を共にする様になる。ボーの生き様に感化された教授は、やがて自らも無法者へと変わっていく。そして教授が立案した銀行の襲撃計画が実行されて…という内容。

因みに本作には「ジャンゴ」という人は登場しない。じゃ誰だよ?とは思うものの、多分コルブッチの映画を起点にして(後に三池やタランティーノの作品にも借用された位で)マカロニ西部劇における象徴の様な名前になったんだろうな。

本作は対照的な男が行動を共にするという定番な内容ながら、善人側が徐々に悪に染まっていくという着想が良いのだが…どうも展開自体は思った程突き抜けて行かないのが惜しい。折角敵の騎馬集団が襲って来るというのに、クライマックスが盛り上がらない方盛り上がらない方に転がってくのは如何なもんか。
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2016.09.08

グッバイ、レーニン!

観てみた、ヴォルフガング・ベッカー監督映画。2003年公開。

1989年激動の東ドイツ。ベルリンの壁崩壊を人々が目撃する中で、アレックスの母クリスティアーネだけが昏睡状態のまま知らずにいた。その後漸く意識を取り戻したクリスティアーネ。だが母親に精神的ショックを与える事を避ける為、アレックスは東独で社会主義体制がまだ続いているかの様に装い…という内容。

ドイツ国内で大ヒットを記録した映画。「やさしい嘘」という言葉があるが、本作はまさにそういう嘘を描いている。…まあ題材自体は割とある感じだろうけれど、嘘を成立させる為に執られる数々のディテールが楽しく、既に失われた国である東ドイツに対する、悲喜こもごもの感情を込めたプロットが実によく出来ている。

単なる孝行息子の話として観るには色々と屈折しているものの、現実とは逆転した形で進んでいく架空の東独史なんか実にエスプリが効いている。…様々な要素から当時の、そして現在のドイツに想いを馳せる事が出来る見事な映画。
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2016.09.07

ヒミズ

観てみた。染谷将太主演、園子温監督映画。2011年公開。

震災後の荒れ果てた頃の東北。貸しボート屋の少年・住田祐一は母親と、そして近所でテントを張る避難民達と共に暮らしていた。だがある日母が失踪し、しかも父親が作った借金の為に取り立てのヤクザから暴力を受ける。次第に追い詰められる祐一だが、彼を見守る茶沢景子というクラスメートがいて…という内容。

原作は古谷実の漫画(筆者未読)だが、本作では舞台を震災直後の東北に変更している。これに関しては賛否両論あるも、本作の明日をも知れぬ自暴自棄な感覚が、東北の人々が抱く将来への不安と共振しているのは間違いない。

デリケートな問題だけに褒め過ぎる気もないけど、やり方の一つとしてはアリじゃないかな。…デフォルメされた暴力や不幸描写が園監督らしく仲々にヘビーだが、主役カップルの生き生きとした演技には救われる。茶沢こと二階堂ふみのエールはストレート過ぎる気はするものの、ストレートに伝わるからいいんだね。
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2016.09.06

ザ・レイド GOKUDO

観てみた。ギャレス・エヴァンス脚本、監督映画。2013年公開。

ラマは秘密捜査官として、大物マフィア・バングンの組織に潜入するべく、投獄中の彼の息子・ウチョに接近を試みる。バングンに対抗する様に勢力を伸ばしているのがベジョのギャング団で、ラマの兄は彼に殺されていたのだ。バングンが日本のヤクザと協力する一方で、ベジョがウチョと手を結び…という内容。

インドネシアのアクション映画「ザ・レイド」の続編である本作。シラットを用いたスピーディで痛そうな格闘シーンは本作でも健在だが、アクションで一点突破して見せた前作と較べると割と普通のアジアン・ノワール作品になってしまった感じ。普通と言うか2時間半もかけて、ダラダラなにやってんだという気がしてな…

邦題に「GOKUDO」とあるだけに、松田龍平を始め日本人俳優が出演しているのが目を引くが、殆ど見せ場らしい見せ場も無いのもなあ。…とは言えまさに乱戦というアクションはいいし、惜しい出来だがレベル自体は変わらずに高い。
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2016.09.04

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(じつろく れんごうせきぐん あさまさんそうへのみち)

観てみた。若松孝二脚本、監督映画。2007年公開。

1960年代に盛り上がりを見せていた日本の学生運動は、東大安田講堂等の敗北を経て益々先鋭化・過激化していった。そうした二大派閥、赤軍派と革命左派が合同する事で「連合赤軍」が誕生する。だが彼らは山小屋で潜伏中「総括」と称する大量のリンチ殺人を行い、更に警察から逃亡した先で…という内容。

かつて赤軍のドキュメンタリーを製作した若松監督が、自らの活動を総括するべく手掛けた作品。まあ本作で「総括」はまるで呪いの言葉だが、同監督にとっても重い響きを持つものだろう。…いかにも低予算な内容ながら、結果的には恐怖の支配する閉鎖環境でタガの外れた精神を描く本作の企図に合致している。

個人的には「世界革命戦争宣言」で頭脳警察、よど号で裸のラリーズを思い浮かべたり…日本ロックとの絡みでしか知識の無かった話を改めて知る事が出来た。その見地からだと本作の音楽担当が、Jim O'Rourkeというのも面白い。
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2016.09.03

セレニティー

観てみた。ジョス・ウィードン脚本、監督映画。2005年公開。

人類が銀河の各惑星に版図を広げた未来。かつての戦争で独立派の軍人だったマル船長が指揮する宇宙船「セレニティー」は、旧敵である同盟から追われる少女・リヴァーとその兄を匿っていた。人食い種族や同盟との戦いの中で、リヴァーには全銀河すら揺るがす秘密が隠されている事が判って…という内容。

本作はアメリカで放映打ち切りになったTVドラマ「ファイヤーフライ 宇宙大戦争」から、熱狂的なファンの後押しもあって製作された劇場版完結編だとの事。…という話を聞いて、それそんなに特別な事例なのかなと思ったんだけど。日本のアニメでなら「イデオン」や「バルディオス」等、そう珍しい話でもない気がするし。

内容自体はティーン向けのスペースオペラという感じで、監督が「バフィー」の脚本家と聞いて成程なと。それより同監督はこの後に「アヴェンジャーズ」を手掛けて大ヒットを飛ばす訳で、打ち切りから一転この逆転劇の方がすごいわな。
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