2016.11.30

クラッシュ

観てみた。ポール・ハギス脚本、監督映画。2004年公開。

クリスマス間近のある夜、LAで交通事故が発生した。それから遡る事36時間、この街には様々な人種的衝突が溢れていた。差別的白人警官が黒人夫婦を取り締まる一方、荒らされるペルシャ人経営の商店。自動車強盗をした黒人2人組が、その車で東洋人を撥ねる。そうした複雑な人間模様の末に…という内容。

クローネンバーグ監督じゃない方のクラッシュ。…911テロから3年後のアメリカを舞台に、同国で常に燻り続ける人種問題を描いた群像劇である本作。米アカデミー賞では作品賞を獲得している。印象としては医療要素を取っ払った「ER」で、様々な登場人物が錯綜し絡み合う脚本の構成力が評価されたのだろう。

イスラムテロだけでなく警官による黒人殺害がいまだに騒動になる米国では、これは多分現在進行形の問題。でもそれと同時に本作より伝わる善意や信頼といった感情からは、フランク・キャプラ作品と比較する指摘にも成程なと。
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2016.11.29

イグジスツ 遭遇

観てみた、エドゥアルド・サンチェス監督映画。2014年公開。

叔父所有の山小屋の鍵を手に入れ、ブライアンを始め5人の男女がビッグ・シキット国立保護区にやって来た。道中暗闇の中で車が動物を轢いてしまったものの、正体を確認出来ないまま目的地に着く。翌日遊び呆ける若者達を、鋭い目で狙う何者かの影があった。それは伝説の生物「ビッグフット」で…という内容。

「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の監督による最新作。…同じくファウンドフッテージ&モキュメンタリーという体裁だが、POV撮影は徹底されている訳でもない。そのお陰でカメラワークは意外と多彩で、素早い編集等に映像面での進歩が窺える。でもその分独自性も減って、普通の映画っぽくなってしまったかなあと。

要は子供を殺されたお猿が復讐しに来るという、まるで「オルカ」みたいな動物パニック映画なので、題材としても今一つそそられないし。…暗闇でカメラがガタガタ揺れる中ウホウホいう声だけ聞こえるのは、何のギャグだろうと思ったのだわ。
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2016.11.28

エイプリル・ソルジャーズ / ナチス・北欧大侵略

観てみた。ピルウ・アスベック主演、ロニ・エズラ監督映画。2015年公開。

1940年4月9日早朝、ドイツ軍地上兵力がデンマーク国内に侵攻を開始する。自転車での迅速な移動を旨とするサン少尉の小隊も、国境付近の街道沿いに展開していた。だが独軍の戦車や装甲車を中心とした機甲部隊の攻撃を受け、為す術なく撤退を強いられる。しかも彼らの当てにしていた援軍は…という内容。

第二次大戦序盤に独軍が北欧諸国に対して行った「ヴェーザー演習作戦」を、デンマーク兵視点から描いた戦争作品。デンマーク映画というだけで充分物珍しいが、開戦当初におけるドイツ軍の圧倒的強さが窺えるのが興味深い。雑魚というイメージのU号戦車でも、旧式の銀輪部隊相手にはまさに脅威だった…

戦闘は何と僅か1日で決してしまい(だから本作の原題は、9.APRIL)、独軍に対して善戦したフィンランドが成程注目される訳だなと。…呆気ないと言ってしまうと実際戦った兵士達に申し訳ないけど、実話だけに色々と考えさせられる。
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2016.11.27

マダムと泥棒

観てみた、アレクサンダー・マッケンドリック監督映画。1955年公開。

日頃から警察に厄介事を持ち込む、少々風変わりなウィルバーフォース婦人。彼女の家に楽器練習の為、部屋を間借りしたいという男5人が現れる。マーカス教授を始めとする男達の正体は何と強盗団。まんまと現金輸送車襲撃を成功させた彼らは、婦人を現金の運び屋に利用する算段だったのだが…という内容。

以前コーエン兄弟によるリメイク版「レディ・キラーズ」を紹介したけれど、本作はそのオリジナル。そちらとお話の骨子自体は同じながら、当初の犯罪の手口が違っている。世評に関しては、原典である本作の方に軍配が上がる様だが…

犯罪物と言っても主演はお婆ちゃんだし、ピーター・セラーズを始めとする強盗団もオウムと格闘したりと実に暢気。ところが終盤いざ仲間割れが始まると、英国流のブラックな笑いに充ち満ちてくる。…そういう辺りの「諧謔」みたいなものは本作独自の味わいで、確かにリメイク版の追随を許さないところではあるな。

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2016.11.25

ギャラクシー街道

観てみた。香取慎吾主演、三谷幸喜監督映画。2015年公開。

宇宙のハイウェイ、幹線道路ルート246666こと「ギャラクシー街道」。その道沿いでは、ノアとノエの夫婦がハンバーガーショップを経営していた。実は店を畳む決断をしているノアだったが、店には今日も秘密を打ち明けるヒーローや宇宙人娼婦を斡旋する女衒といった、奇妙な客ばかりがやって来て…という内容。

作る作品皆ヒットという定評のある三谷監督にしては、他では無い程の酷評を受けた映画。内容自体はアメリカ風のダイナーに訪れる客による群像劇を宇宙へと場所替えした感じだが、さしてはっちゃけた展開がある訳でもない上、小市民的ないざこざ(しかも主に下半身絡みで品がない)ばかりが描かれるという…

まあ同監督にSF的なセンスオブワンダーを期待もしないからそれは別にいいんだけど、採り上げているネタの一つ一つが陰湿で、笑いにまで繋がらないのは問題だよなあ。…宇宙版バグダッドカフェ的な、ちょい感動物でよかったのに。
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2016.11.22

XYZマーダーズ

観てみた。リード・バーニー主演、サム・ライミ監督映画。1985年公開。

電気椅子を前に死刑執行を待つばかりの囚人ヴィック。無実を訴える彼は、ある夜の出来事を語り始める。警備会社勤めのヴィックは、一目惚れしたナンシーを自分のアパートに連れ込む事に成功するも、そこに待っていたのは何と殺し屋。会社経営陣の対立に、偶然巻き込まれてしまった2人は…という内容。

ライミ監督における「1941」とでも言うべき、大失敗コメディ映画が本作。脚本にはコーエン兄弟が参加しており「赤ちゃん泥棒」や「ビッグリボウスキ」等を思い起こさせる、ストレンジな感覚自体はユニーク。でも同監督によるやたらハイテンションでスラップスティックな演出が、観る者を次から次へと振り落としていく。

ストーリーもへったくれも無いその場しのぎのドタバタ映画ではあるんだけど、もう少しセンスさえ良かったら「デリカテッセン」みたいにもなれたのに。…その後「死霊のはらわた」がコメディ化するのは、本作のリベンジでもあったのかなあ?
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2016.11.21

ハーレーダビッドソン&マルボロマン

観てみた、サイモン・ウインサー監督映画。1991年公開。

大型バイクを自在に乗り回す、革ジャンに身を包んだ「ハーレーダビッドソン」とカウボーイ上がりの「マルボロマン」。2人は独立記念日に再会し長年親しんだ酒場に赴いたところ、店は取り潰される寸前。彼らは一計を案じて、現金輸送車の襲撃計画を実行する。ところが強奪したのは現金ではなく麻薬で…という内容。

「銃を向けられる度に5セントもらってたら、今頃大金持ちだぜ」なる名台詞…と言うか、ネットミームの出典である本作。ミッキー・ロークとドン・ジョンソンという、当時人気の2大セクシー系俳優コンビが売りだった(その後ボクシング界に転向?したロークは、近年の試合で八百長による勝利を暴露されたとか何とか)。

ただ内容自体はB級もいいところで、真面目に観たら馬鹿馬鹿しくなる事請け合い。…とは言え作品の端々に滲み出る「アメリカ的なるもの」への郷愁や、上記の台詞を始めとする小粋でラフなやり取りなど、意外と楽しめてしまったな。
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2016.11.19

日本侠客伝 関東篇

観てみた。高倉健主演、マキノ雅弘監督映画。1965年公開。

関東大震災の被害を受け、日本橋から築地に移転した魚市場。そこでは協同組合の郷田が、老舗間屋江戸一の女主人・市川栄に加入を迫ってヤクザをけしかけていた。そんな時江戸一で働く事になったのが緒方勇という船乗り。彼は江島勝治らと共に、横暴を働く郷田と対立する事になるのだが…という内容。

「日本侠客伝」シリーズの第3作である本作。内容自体は先日紹介した第1作の材木をお魚に変えただけで、殆ど同じ話みたいなんだけど。…同様に有名スター(若き日の北島三郎等)を多数揃えた群像劇スタイルながら、本作では個々のドラマが連動して進行しており、より盛り上がりが感じられるものとなっている。

本作で興味深いのが粗筋にも書いた通り、東京鮮魚市場の移転に関する話題。今現在本作で描かれた築地から、豊洲への移転が進められている訳だけれど…ヤクザどころでない呆れる様な問題の山積みで、ほんとどうなる事やら。
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2016.11.18

イミテーション・ゲーム / エニグマと天才数学者の秘密

観てみた、モルテン・ティルドゥム監督映画。2014年公開。

不審な振る舞いから警察の捜査を受ける、数学者アラン・チューリング。彼は戦時中、ドイツ軍が用いていた暗号「エニグマ」の解読に取り組んでいた。協調性を欠いた性格から孤立しがちだった彼も、協力者の女性ジョーンを得て次第に計画を成功に導いていく。だが彼には少年時からの秘密があって…という内容。

ベネディクト・カンバーバッチの主演により、実在した天才数学者の生涯を描いた実話作品。エキセントリックな天才、その上同性愛者…と来ると彼の出世作であるTVドラマ、「シャーロック」を直接に連想させる訳だが。まあ成程本作ではカンバーバッチが、そうした苦悩を背負った複雑な人物像を見事に好演している。

エニグマの逸話やコンピュータの歴史に触れれば、嫌でも耳にするのがチューリングの名前。でも本人に関しては知らなかったので、驚きつつも楽しめる映画だった。…暗号と解読、秘密と真相。人と自らの想いの関係は謎に満ちている。
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2016.11.17

ゴールデン・チャイルド

観てみた、マイケル・リッチー監督映画。1986年公開。

神秘の力を持つ「ゴールデン・チャイルド」が、サードという邪悪な者の手でチベットの寺院から攫われてしまった。その子供の奪回を請け負ったのが、LAで子供捜索業を営むチャンドラー。彼は様々な妨害の中協力者の女性キー・ナンと共に、鍵となる宝剣を手に入れるべくカトマンズに向かったのだが…という内容。

「ビバリーヒルズ・コップ」(1984年)で世界的人気を獲得したエディ・マーフィの次作。若々しい彼の存在感が見所だが…今回字幕版で観てしまったせいで正直違和感が。山寺宏一等のデフォルメされた吹替演技に慣れてると本人の地声は普通の青年そのもので、更に字幕を介してではジョークも全く冴えない感じ。

本作では悪魔相手にも舌先だけで対抗するマーフィが見せ場なだけに、これには魅力激減って感じがしたなあ。まあ別に観なくていいだろと思って、今まで観てなかった訳だけど…確かに別に観なくてよかったかもしれん(身も蓋も無い)。
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2016.11.15

メランコリア

観てみた。ラース・フォン・トリアー脚本、監督映画。2011年公開。

披露宴が開かれる姉の邸宅に遅れて到着した新郎新婦。精神に不安を抱える新婦のジャスティンは、多額の出費により催された祝宴の最中、遂に破局を迎えてしまう。その後暫くの間姉・クレアの一家と共に生活していたジャスティンは、地球に接近する軌道を取る天体「メランコリア」の存在を知って…という内容。

アルマゲドン等の公開(1998年)以降、パニック物とは違った切り口で天体衝突が齎す世界の終末を描く作品が増えたのは興味深い。これは核による最終戦争の脅威が、多少遠退いた事に起因している様にも思える。で本作はそうした一連の作品の中では最後発で、アイデア面の新味さは感じられ無いけれど…

本作は終末を目前にした一家庭にカメラを据え、内面の揺動を幻視的なビジョンで描く(序章では絵画風のスロー映像が不安を煽る)。この崩壊は無意識下でのタナトス願望を見て取れる様にも思うが…それはそれで精神が不安だな。
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2016.11.14

この世界の片隅に

観てみた、片渕須直監督によるアニメーション映画。2016年公開。

夢見がちで絵の得意な少女・すず。広島の江波で暮らしていた彼女は、面識の無い青年・北條周作の住む呉へと嫁いでいく。米国との戦争が激しさを増し物資が欠乏するする中、やりくりと工夫を重ねて義父母や夫と共に難局を乗り越えていく。だが実家に戻っていた義姉の娘が、すずと外出した際に…という内容。

(いい加減しつこい表現で申し訳ないけれど)「女の一代記物」映画。…原作はこうの史代の漫画で、過去にはTVドラマ化もされた。本作アニメ版は、クラウドファンディングによる資金を元にした製作。内容的には戦争の前後における広島での暮らし振りを、一女性の目を通して時に軽妙に、時に緊張の中で描いている。

アニメならではの婉曲表現を得て、俯瞰的にあの時代を描いた事に意義を感じる。勿論2016年の今だから持ち得た視点でもある訳だが…丘の上から世界を見晴るかすあの場所だからこそ、「片隅」であり「中心」にもなり得たのだろう。
posted by ぬきやまがいせい at 19:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ

2016.11.12

男性・女性

観てみた、ジャン=リュック・ゴダール監督映画。1965年公開。

軍から除隊し現在はパリで暮らすポールは、初のレコーディングを控える歌手志望のマドレーヌと喫茶店で出逢う。パリの様々な若者達と交流するポールは、世論調査研究所のインタビューとして、彼女達の現在の考えについても切り込んでいく。だがそうしたポールの生活にも、突然終わりが訪れて…という内容。

「気狂いピエロ」の翌年に制作された本作は、モーパッサンの短編を基にした低予算の白黒映画。当時パリで生活する若者事情をシネマヴェリテの手法を用いて描くというもので、ドラマらしいドラマの無い半ルポルタージュ的作品。その代わりに時折挿入されるショッキングな「死」の描写が、衝突的な不安を醸し出す。

背景にはベトナム戦争や、革命への予感めいた社会情勢がある様だが…個人的にはBeatlesや、(ノーベル文学賞を獲得した)Bob Dylanへの言及があるのが興味深い。時代を鮮やかに切り取った、まさにその「空気」に価値がある。
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2016.11.11

蜻蛉峠

TV放映を見た。古田新太主演、いのうえひでのり演出による舞台劇。

記憶を失いながらも約束を守り、蜻蛉峠で待ち続ける1人の男。覚えているのは「闇太郎」という名前のみである彼は、元役者の銀之助と共に旅に出る。辿り着いた宿場町では、2つのヤクザの組で抗争が続いていた。その町で出逢った娘・おるいは、男の姿を見るなり彼を幼馴染みの「闇太郎」と呼び…という内容。

劇団☆新感線の「いのうえ歌舞伎」と言われる時代劇路線に、今回は脚本としてクドカンこと宮藤官九郎を迎えている(同公演を収録した映像は、映画館での上映も行われた)。ふんだんな歌や踊りに、血しぶき飛び散る激しいチャンバラ。更に加えて下ネタやメタネタに、シュールなギャグまで盛り込んでいるという…

まあ筆者そういう色々含めて、見るのは今回が初めてなんだけど。…垂れ幕状のスクリーンに回想場面を映して、演劇では制約の多い時系列の幅を広げているのは成る程なと。「用心棒」風の話だからか、モリコーネ調の音楽にはニヤリ。
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2016.11.09

メカニック

観てみた、サイモン・ウエスト監督映画。2011年公開。

凄腕の殺し屋アーサー・ビショップ。彼が指示を受けた次なる標的は、友人でこの仕事の師でもあるハリーだった。彼の裏切りで同業者が死んだと知ったアーサーは、苦悩しつつもハリーの命を絶つ。その直後アーサーの前に現れたのはハリーの息子スティーヴで、彼に殺し屋になる為の手解きを求め…という内容。

ジェイソン・ステイサムの主演によるアクション映画。最近続編の「〜ワールドミッション」も公開されたが、元々はチャールズ・ブロンソン主演の同名作品をリメイクしたもの。…暗殺が行われたという証拠すら残さない冒頭の手口なんか見応えあるのに、弟子が途中参加してからのドタバタ加減でB級感が急上昇する。

それでもステイサムの存在感自体は悪くないし、主人公がジャガーEタイプをレストアしたり真空管アンプでレコードを嗜んだりという趣味的な描写なんか個人的には結構好きだな。…でもどっちも大爆発させちゃって、もったいねえーと。
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2016.11.08

蛇の卵

観てみた。イングマール・ベルイマン脚本、監督映画。1977年公開。

極端なインフレ状態にある1923年のベルリン。米国からやって来ていた空中ブランコの乗り手・アベルは、自害し事切れた兄の姿を発見する。大きな衝撃を受け何も手に付かないアベルは、同じサーカスの仲間で兄の元妻・マヌエラを訪ねる。だが彼の周囲では、他にも数名不審な死を遂げた者がおり…という内容。

ディノ・デ・ラウレンティスよりの出資を得て、同監督作としてはかなり大規模な予算の下に製作されたという本作。ヒトラー台頭以前のドイツを再現したセットや、大人数のエキストラにショーのステージ。普段のベルイマンとは少々毛色が変わった内容だからか…観ていて何となくウディ・アレンの作品を連想していた。

確かにアレンの方も「影と霧」という近いモチーフの作品を撮ってはいるけれど、それがベルイマンの影響からなのかはよく判らない。…でもまあ本作のショッキングな内容を咀嚼したらああなった、なんて考えても面白いんじゃないかな?
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2016.11.06

明日は来たらず

観てみた、レオ・マッケリー監督映画。1937年公開。

長年連れ添ったバークレイとルーシーのクーパー夫妻。老境に入った今になって住む家を失った2人は、既に独立した子供達の世話になる事に。ただ2人一緒にという訳にはいかず、夫妻は別々に暮らす為遠く離れる。だが子供達の家庭生活に闖入する事になった夫妻は、それぞれ軋轢を抱えてしまい…という内容。

ジョセフィン・ローレンスの小説を原作とする本作、主に小津安二郎監督の映画「東京物語」のヒントになった事で知られている。…実際観ると成程「両親が子供達から厄介者扱いされる」という辺りを借用した事が判るけれど、個人的に東京物語は「原節子に優しくされる」映画なので、印象はまるっきり違うと思ったな。

本作のやり切れない幕切れはどちらかと言えば、デ・シーカ監督辺りの伊ネオレアリズモ作品を連想したし。…まあ東京物語と比較しつつ観てしまったせいで少々物足りない感こそあったものの、こちらも仲々の名品と言ってよいのでは。
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2016.11.05

バクマン。

観てみた。佐藤健、神木隆之介主演、大根仁監督映画。2015年公開。

少年ジャンプ誌で連載を打ち切られ、失意の中この世を去った漫画家の叔父を持つ高校生・真城最高。彼は同級生・高木秋人の誘いに乗って、コンビで漫画家を目指す事にする。しかも成功の暁には、憧れの少女・亜豆美保と結婚する約束まで取り付けた。最高と秋人は少年ジャンプの門を叩くのだが…という内容。

原作は大場つぐみ・小畑健の少年ジャンプ連載漫画。TVアニメ化もされた作品だけれど、本作は2時間前後の映画という事で前半のエピソードを簡潔にまとめる作りになっている。だから原作を知っていると読み切りだった「この世は金と知恵」が、本作ではメインの連載作として扱われている事に驚いたりする訳で…

まあ漫画誌の裏事情や劇中作の要素が薄くなった分物足りないのも確かだが、漫画家の内面を映像化したかの様な描写やEDクレジット等、小技の数々が楽しい作品になっている。この後も続けられそうだけど、この結末でもいいね。
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2016.11.04

ゴール・オブ・ザ・デッド

観てみた。B・ロシェ、T・ポワロー監督映画。2014年公開。

バスで移動中のサッカーチーム。車内には名選手として慕われながら、パリのチームに移籍したため激しい非難を受けているロリの姿もあった。そしてスタジアムでは多数の観客によるブーイングの中、ロリは試合開始早々レッドカードで退場。だがその直後会場に現れたのは、なんとゾンビだった…という内容。

元々はビデオ映画としてフランスで製作された本作。日本ではブラジルW杯に便乗する形で、前半戦「死霊のキックオフ大乱闘編」と後半戦「地獄の感染ドリブル編」の連続上映で劇場公開された。内容的には要するに「サッカーのフーリガン暴動ってゾンビっぽいよね?」、というシンプルな着想からだと思われるが…

前半は前半でゾンビ殆ど出ないし、後半は後半でサッカー関係なくなるし。正直余り上手い取り合わせでは無い様な気もしたけれど…これが意外と楽しめてしまった。まあ真面目に観たら損をするので、こんなのもアリかな?位の気持で。
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2016.11.02

SADA 戯作・阿部定の生涯

観てみた。黒木瞳主演、大林宣彦監督映画。1998年公開。

神田にある畳店の娘・阿部定は、14歳の時に斎藤という学生に無理矢理純潔を奪われる。その際彼女を看病したのが医学生の岡田。定は彼に淡い想いを寄せるのだが、岡田はハンセン氏病治療の為に彼女の元を去ってしまう。その後定は芸妓や娼妓としての生活を経て、料亭で働く事になるのだが…という内容。

ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞を獲得した本作、戦前の日本を騒がせた「阿部定事件」における犯人女性の半生を幼少期から描いている。この事件を題材にした映画は大島渚監督の「愛のコリーダ」があるけれど、本作では大林監督らしいコミカルでスラップスティックな演出を採り入れているのが特徴。

「ねらわれた学園」辺りから殆ど変わっていなくてその点では驚いたのだが、今回の題材との食い合わせは…というのが正直な印象。陰惨なイメージのある事件を雰囲気から変えたかったのかもとは思うけど、おふざけ感が辛過ぎるのう。
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