2017.09.30

夏の遊び

観てみた。イングマール・ベルイマン脚本、監督映画。1951年公開。

恋人との結婚を取るか舞台の仕事を取るかという、人生の岐路に立たされたバレリーナのマリー。彼女は誰かが届けた自分の昔の日記を手に、若き夏に暮らした想い出の地に赴く。そこでマリーはヘンリックという青年と、淡い恋の日々を過ごしたのだ。ところが結婚の約束を交わした、ヘンリックの身に…という内容。

ベルイマン監督としては10本目?位の映画だが、初めて自らのスタイルに開眼したというお気に入りの一作。感じとしては翌々年の世界的出世作「不良少女モニカ」を直接に連想させる内容で、夏の海辺での瑞々しい青春描写の一方で人生への省察を含んだ、後の作品における哲学的探求に一歩踏み出したもの。

バレエの舞台を袖から捉えた場面などは「魔笛」等、音楽作品の映像化に数十年先駆けていて興味深い。…ただそんな感じで後年と比較するとそこまで…という内容ではあるんだけど、初期ベルイマン自身の瑞々しさを見るのも悪くない。
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2017.09.29

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

観てみた。ポール・トーマス・アンダーソン脚本、監督映画。2007年公開。

裸一貫掘り当てた金鉱による資金を元に、現在は石油採掘を事業として行うダニエル・プレインヴュー。彼はポールという青年からの情報を元にサンデー家から権利を買い取り、彼らの土地で油田の採掘を始めた。だが爆発炎上事故が発生し、側にいた一人息子のH・Wが耳に障害の残る怪我を負って…という内容。

実在の石油王エドワード・ドヒニーをモデルにしたという本作。アカデミー賞では撮影賞と、ダニエル・デイ=ルイスが主演男優賞を獲得した。…まあそこからも判る通り本作は、最初から最後まで出ずっぱりのルイスが叫んで暴れ回る話。

まあ映像的な見せ場は油田火災シーンで、爆風消火という例のアレもしっかり見せてくれる。内容自体はある男の一代記で(米本国の観客と違って)本人に余り馴染みがないせいか、ひどい人格破綻のオッサンにしか見えなかったけど…強制告白の応酬という神をも恐れぬ暴挙には、不信心者ながらゾッとしたのだわ。
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2017.09.28

BLUE ブルー

観てみた。デレク・ジャーマン脚本、監督映画。1993年公開。

1994年、エイズにてこの世を去った映画監督デレク・ジャーマン。本作は彼が死の直前に製作した、辞世の映像詩とも言うべき映画。画面は「青」の一色で終始一貫しており、そこにジャーマン他のナレーションが流れる…という内容。

映画史上でも突出した表現からある意味有名な作品なので、存在自体は知っている人も多いかも。ただ肝心の内容は、死を目前にしたジャーマンの現状報告やら愚痴やらをポエム調に綴ったものなので、相当に同監督が好きかよっぽどの物好きでもない限り観る必要はないんじゃないか(筆者も…まあ後者だし)。

個人的には観ていて、何だか「リアルサウンド 〜風のリグレット〜」みたいだなと。とは言え本作の当時同監督はほぼ盲目だったそうで…こうした異例な形での製作になったのはやはり「映画」というものへの執着だろうし、こうも明確に作品として「遺言」を残した人も珍しいと考えると、実に特例的なのは間違いないな。
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2017.09.26

インランド・エンパイア

観てみた。デヴィッド・リンチ脚本、監督映画。2006年公開。

ハリウッド女優のニッキー・グレイスは、新作映画の主演に抜擢される。監督を始めとするスタッフや、共演の男優とも顔を合わせ撮影は開始。だがその作品は実は主演2名が不審な死を遂げた、「47」という映画のリメイクだった事が判明する。やがてニッキーは現実から、映画の幻想の中に飲み込まれ…という内容。

全米批評家協会賞の実験的映画賞を獲得した本作、その賞の通り実験的で難解な作風となっている。…予め脚本を用意せず、その場ノリで撮影した映像を繋ぎ合わせたとの事。リンチは正直理解不能な方向に進んでしまったが、それも突き詰めすぎて本作から10年以上、新作の発表を行っていないのも宜なるかな。

それでも個々のシーンの映像に見応えはあり(フランシス・ベーコンからの影響が窺えるのが興味深い)、デジタル機材の導入もこれからという感じだったんだけど。…とは言え急遽抜擢されたという、裕木奈江のシーンなんか嬉しいね。
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2017.09.25

わたしはロランス

観てみた。グザヴィエ・ドラン脚本、監督映画。2012年公開。

カナダで教職の傍ら小説を発表し、賞も獲得しているロランス。だが彼は30歳を迎え、長年抱えて来た自らの肉体に対する違和感を、恋人のフレッドに告白した。彼は身体こそ男だが精神は異なる性であり、今後は女性として生活すると言うのだ。フレッドは苦悩しつつも、彼を支える決心をするのだが…という内容。

カンヌ映画祭ではクィア・パルム賞、フレッド役のスザンヌ・クレマンが女優賞を獲得した。クィアなんとかというのは名前の通りLGBTを題材にした作品に与えられる賞で、本作もTすなわち「トランスジェンダー」の問題を採り上げている。

特に問題を打ち明けられた女性側の葛藤に重きを置いているが…とっとと別れた方がお互いのためじゃね?、と思うのは自分が色々欠落しているせいだろう。ドラン監督は天才的な才能を発揮する上にイケメンという何でも持ってそうな人だが、彼は彼で欠けたものを補う存在として、本作の恋人を描いたのかもなと。
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2017.09.24

ボッカチオ'70

観てみた、イタリア出身監督4名によるオムニバス映画。1962年公開。

解雇を恐れて、会社に秘密のまま結婚した夫婦は…(レンツォとルチアーナ)。公序良俗に厳格な博士を悩ませるものとは、巨大な看板の美女で…(アントニオ博士の誘惑)。スキャンダルに巻き込まれた若き伯爵に対し妻は…(仕事中)。射的の屋台で働く美女の秘密を知った若者は…(くじ引き)、という内容の4作。

「デカメロン」の作者の名前から採ったオムニバス、でも公開は別に1970年ではないという。順にモニチェリ、フェリーニ、ヴィスコンティ、デ・シーカが監督を担当しているけど、第1話はカットして公開される事が多かったらしい…まあ4話で3時間半という事もあって、知名度で一歩劣るモニチェリが割を食ったのかなあ。

内容としては所謂「艶笑コメディ」という感じなのだが、各々短編というよりは中編くらいの尺があって、軽めの内容の割にテンポが重くいつまでたっても終わらないのがつらかった。正直観始めた事を後悔したけれど…決して悪くはないよ。
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2017.09.23

ノーカントリー

観てみた、ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン監督映画。2007年公開。

ルウェリン・モスは、仲間割れの果てに壊滅した麻薬取引の現場を見つける。まんまと大金を手に入れるモスだったが、生き残りの男に水を与える為に戻った荒野で、組織の者に発見されてしまう。彼は妻を実家に戻し金を携えて逃走を図るのだが、アントン・シガーという殺し屋の執拗な追跡を受け…という内容。

コーマック・マッカーシーの小説を原作とする本作。アカデミー賞では作品賞を始め4部門を獲得、更に各国の映画賞でも高く評価された。監督自ら語る通り相当暴力的な作品で、割と直球な追跡劇として手に汗握る。一方で独特のユーモアも健在だが…無慈悲で荒涼とした雰囲気を漂わせるシガーの印象は強烈。

反面デコボコした展開や肩透かしの様な結末等、戸惑う人も多かったみたい。同監督の作品を予め知った上でなら、通常営業だなとしか思わないだろうけれど…「暴力」すら韜晦として用いる辺りこそ、彼らの持ち味なんじゃないかな。
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2017.09.21

メイド・イン・USA

観てみた。ジャン=リュック・ゴダール脚本、監督映画。1967年公開。

パリからアトランチック・シティにやって来た、ポーラ・ネルソン。彼女は元恋人のリシャール・ポリツェールから呼び出されたのだが、彼は既に謎の死を遂げていた。事件真相の調査を始めたポーラの周囲には、リチャード・ウィドマークやドナルド・シーゲルといった者達が接近し、その上更に死者が増えて…という内容。

モロッコの左翼政治家ベン・バルカの失踪事件を題材にしたという、リチャード・スタークの小説「悪党パーカー 死者の遺産」が原作。作品自体の体裁としては、ハードボイルド探偵物のスタイルを踏まえたものだが…劇中の端々でジェットや銃撃音のSEが鳴り響いたりする、ゴダールらしい脱臼的な演出による映画。

ただ突飛は突飛だけど、あまり印象に残らない作品だというのも確かじゃないかなあ。…でも個人的には本人役で登場するMarianne Faithfullが、Rolling Stonesの「As Tears Go By」を口ずさむシーンなんかは、成る程なと。
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2017.09.20

麦の穂をゆらす風

観てみた。キリアン・マーフィ主演、ケン・ローチ監督映画。2006年公開。

1920年のアイルランド。医者になるべくロンドンに発つ予定だったデミアンは、駐留英国兵の暴虐振りを目の当たりにし、抗英運動に身を投じる事に。その後は組織の中心人物である兄・テディと共に、破壊活動や内通者の粛正といった辛い任務をこなす。そして遂に、英国との休戦が果たされるのだが…という内容。

カンヌ映画祭でパルム・ドールを獲得した本作。アイルランド独立戦争を採り上げた映画ながら、ローチ監督自身はイングランド人だとの事。本作の物語の後も燻り続ける問題なので、デリケートな題材だが…元々貧困層や弱者の立場に立った作品制作を旨とする作家だけに、一本筋の通った内容なのは間違いない。

個人的にもこれまで歴史的事実だけを文章で読むのと違って、かの土地で生きる人それぞれの苦悩が(僅かながらでも)垣間見えたのは良かった。英国と愛国の関係を知らない人でも、本作から普遍的な哀惜の念を汲み取ってもいい。
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2017.09.18

メフィストの誘い

観てみた、マノエル・ド・オリヴェイラ監督映画。1995年公開。

山中の古い修道院を訪れた、マイケル教授と妻のヘレン。彼らの目的はシェイクスピアの出生を解き明かす事だが、同時に教授が没頭するのは不死の研究。しかもバルタールという男が管理する修道院は実は、黒魔術信仰という秘密を持っていた。その場に集った男女の関係は、混迷の中に誘われ…という内容。

ゲーテの「ファウスト」を下敷きにした、オリヴェイラ監督87歳の作。ファウストといえば最近ソクーロフ監督の映画を紹介したけど…本作では黒魔術崇拝の場でもある修道院を舞台に、男女間の「誘惑」が描かれる悪魔的なやりとりが見所。

オリヴェイラ監督の作品としては初めて、カトリーヌ・ドヌーヴやジョン・マルコヴィッチといった国際的に有名な俳優を起用したとの事だが…よく知ってる顔の人が、よくわからん会話をひたすらするという映画だったわ。とは言え結構飛び道具みたいなストラヴィンスキーや黛敏郎の音楽と共に、興味深い使われ方ではある。
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2017.09.17

裁かれるは善人のみ

観てみた。アンドレイ・ズビャギンツェフ脚本、監督映画。2014年公開。

妻子と共に海辺の家で暮らす、自動車修理工のコーリャ。再婚相手の現妻と、前妻ともうけた息子との難しい関係以上に彼を悩ませるのは、彼の土地を強制的に買収しようとする市長との対立だった。彼は問題を解決するべく間に友人の弁護士ディーマを立て、有利に交渉を運ぶ事に成功したのだが…という内容。

カンヌ映画祭では脚本賞を獲得した本作。内容は邦題がそのまま表す通り、善良な市民が徹底的に打ちのめされる話だが…原題の「Левиафан」とは聖書に登場する怪物リヴァイアサンの事で、強大で暴虐な力を象徴するものらしい。

何の救いもなく(奪われた土地のその後を見ると実に皮肉)観ていて楽しめる映画ではない。どうせなら悲劇として盛り上げてくれればまだカタルシスを得られるのに…と思ったものの、感触としては伊ネオレアリズモに近いのかもと。観念的表現でない直截的な権力批判からして、ソ連映画では出来なかった事だしな。
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2017.09.16

誘う女

観てみた、ガス・ヴァン・サント監督映画。1995年公開。

周囲の反対を押し切って結婚したマレット夫妻。裕福な家庭ではあったが、妻のスザーンは幼い頃から抱く「TVに出て有名になる」という夢を叶える為、地元の局で小さな仕事を始めた。野心的な彼女は更に上を目指すべく、地元の高校生3人のドキュメンタリー製作に取り掛かる。だがそんな彼女に夫は…という内容。

1990年にアメリカで実際に起きた事件を元にした、ジョイス・メイナードの小説「誘惑」を原作とする本作。ニコール・キッドマンの主演で注目されたが、あちらでは三面記事的な興味で大変に話題になった事件だそうで…登場人物にインタビューする形式の演出などは、まさにそうしたニュアンスを汲み取ったものだろう。

犯罪物としてはお粗末な上に、事件内容的に社会派的切り口で採り上げた訳でもなさそうと来たら…ワイドショー的に空疎な騒動を、醒めた眼で見詰めた作品とは言えるのかな。ならば女優の名前で客を釣る、その空疎さこそ相応しい。
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2017.09.13

パットン大戦車軍団

観てみた、フランクリン・J・シャフナー監督映画。1970年公開。

軍人一家の家系に生まれ、米陸軍で大将にまで上り詰めたジョージ・パットン。第二次大戦のイタリア戦線では英モントゴメリー将軍への対抗意識から功を焦り、更に野戦病院ではPTSDの兵士を殴り付けてしまう。批判を受け前線から遠ざけられ忸怩たる想いの彼は、連合軍の欧州本格侵攻に伴い…という内容。

実在の米軍人を描いた大作戦争映画。脚本にはフランシス・フォード・コッポラも参加し見応えのある内容だが、まあ当時物の映画らしく兵器の再現に関してはやっぱり当時なりの適当さ。ただ面白いのはドイツ軍の使うのがM48で、「パットン」自身の名を冠した戦車が敵役というのは…多分ただの偶然だろうな。

本作は邦題の勇ましさの割に、パットン個人の人格面にクローズアップした内容(それでもアルデンヌの戦いは、「バルジ大作戦」よりちゃんとしてる)。冒頭の演説内容からして面食らうが、あれでもソフトな表現に改めているらしい…
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2017.09.12

ザ・フューリー / 烈火の戦場

観てみた、ライアン・リトル監督によるビデオ映画。2014年発表。

第二次大戦末期。ドイツ国内を進軍する米陸軍の駆逐戦車は、落ちた橋を迂回した先で黒人兵士・オーエンスと、収容所から解放された英軍中尉・ゴスと出逢う。彼らの乗ったトラックが独軍戦車の攻撃を受け、部隊は壊滅したと言うのだ。駆逐戦車2輛は戦力に優ると判断し、敵の軍を攻撃するのだが…という内容。

ブラピの映画に便乗した邦題だが当然無関係で、それどころか本作は「Saints and Soldiers」というシリーズの第3作だとの事。…内容は確かに戦車戦がメインでM18駆逐戦車、通称ヘルキャットが活躍するという仲々渋好みな作品。

独人一家との交流など「パチッ」にでもありそうなシチュだし、人種差別問題を採り上げたストーリーも小技が効いていて楽しめる。よく言われる通りまさに拾い物の戦争映画だが…戦闘場面になると煙や炎がCG丸出しでアレレ。まあ逆に言えばそういう些細な部分が気になる程度には、よく出来た映画であったなと。
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2017.09.11

ラスト・サマーウォーズ

観てみた、アレクセイ・ビストリツキー監督映画。2016年公開。

第二次世界大戦末期。ドイツ降伏に喜ぶ間も無くザベーリン大尉の指揮する部隊は、ソ連が参戦する事を決めた日本との戦いの為に満州へ向かった。だが日本も終戦を決定した事で、関東軍の内部で大きな動揺が走る。いまだ反撃を止めない敵に対して、大尉は小部隊でのハルピン急襲作戦を立案し…という内容。

ロシア製戦争映画…というか、TVドラマのミニシリーズを再編集したものらしい。ポツダム宣言の受諾後も続いた戦闘をソ連側から描いた作品だが、日本人の役者も参加しており意外ときちんとしてる。おや?と思う所も無いでも無いけど、まともな日本語で会話されているだけでこの手の映画では結構驚いてしまうな。

それ程珍しくはないかもだが、T-34/85の実物車輛も大量に登場。戦闘場面はソ連対日本という、こちらは結構珍しい取り合わせという事もあって仲々見応えあった。…まあ内容はダイジェスト気味なので何だが、興味深い作品ではある。
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2017.09.09

フォース・ダウン / 敵地脱出

観てみた、マルティン・コールホーベン監督映画。2008年公開。

ナチス占領下のオランダ。ある夜イギリス軍機が撃墜され、搭乗員1名だけが生存する。近くに暮らす町長の息子・ミヒールは、抗独活動に身を投じ逮捕された友人から英軍兵・ジャックの事を託された。本体への復帰を希望しつつも深手を負った彼を、ミヒールは厳重な独軍の包囲網から脱出させるべく…という内容。

ヤン・テルラウの児童文学「戦争の冬」が原作。児童書だけあって主人公は少年で、内容の方もWWU版「汚れなき瞳」という感じの文芸寄り戦争映画なのだけれど…どうやら映像ソフトを日本国内でリリースする会社がそれでは売れないと判断したらしく、何だか妙に勇ましい邦題やパッケージを付けられてしまった。

戦争に追い詰められ苦悩する少年を描く作品に対する仕打ちがこれかと思うと、本作を観た時以上に居たたまれない気分になるのだが。…まあ自分も少々戸惑ってしまったのは確かだけど、本作を観る機会を得た事は素直によかった。
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2017.09.07

野良猫ロック セックス・ハンター

観てみた。梶芽衣子主演、長谷部安春監督映画。1970年公開。

米軍の活動が停止された立川基地。不良グループのリーダー・バロンは、姉を黒人兵に暴行された事の腹いせに、周辺で暮らすハーフの青年達を次々に狩っていた。そこにやって来たのが数馬で、やはりハーフの彼は生き別れの妹・メグミを捜していた。彼女はマコが率いる、不良少女チームの一員で…という内容。

「野良猫ロック」シリーズ第3弾。前2作には和田アキ子も出演していたが、本作から梶芽衣子の単独主演で3本が製作された。本作では若き日の安岡力也や藤竜也も共演し、当時のワイルドかつムチャクチャな乗りを味わう事が出来る。

尚以前紹介した「Killing Melody」というレコードのジャケットは、本作のスチルを使用している。その写真で梶が1人だけ三銃士みたいな格好なのが不思議だったのだが、観ても理由はよくわからんかったな。意外と重い題材だけに、ラストもその理不尽さの反映なのかもしれないけれど…不可解すぎてシュールの域。

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2017.09.05

インサイド・ヘッド

観てみた、ピート・ドクター監督による3DCGアニメ映画。2015年公開。

頭の中には5つの「感情」が存在し、司令部と呼ばれる場所に陣取った彼らが人間を制御していた。11歳の少女ライリーもそうして人生を歩んで来たが、引っ越しによる生活の激変で感情達の仕事に狂いが生じて来る。更に大事な記憶の取り扱いに失敗し、ヨロコビとカナシミが外に放り出されてしまい…という内容。

感情やイメージといった脳内の働きを、擬人化して描いたユニークな作品。なのだけれど、話の方が終始陰々滅々としていてしんどい。まあ現実の少女の陰気さに反して、脳内は明るく騒がしいが…そういう頭の内と外で対比的なストーリーが同時進行するというと「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」だな。

個人的には正直「泣ける」と言われても、まるでピンと来なかったけど(帰マンのサータンぽいのが消える場面?)…睡眠時の記憶の整理や夢を見る際のシステムを、子供向けに映像として噛み砕いて見せた辺りは、感心してしまう。
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2017.09.04

アニメドキュメント 女川中バスケ部 5人の夏

見てみた、宇田鋼之介監督による中編アニメ番組。2017年放映。

東日本大震災の後。宮城県にある女川中学校の女子バスケ部では、生徒が減る中残された僅かな部員で全国大会出場を目指していた。卒業を目前に控えた三年生メンバー5人を中心に、東北大会にコマを進めたのだが…という内容。

女川中バスケ部の実話を題材にしたアニメを中心に、その後の本人達の姿を併せて伝える「アニメドキュメント」(アニメンタリー?、と思ったけどそれじゃ「決断」だ)。NHK-BSで放映された当番組だが、果たしてどの程度見られたのか…アニメ作品として思った以上に良かったので、僭越ながら当欄でも紹介しておく。

宇田監督は「銀河へキックオフ!!」を手掛けただけあって、女子スポーツ物として見ても楽しめるけれど…題材的に単なる興味本位で接するには、少々複雑な気分になるのも確か。とは言え独特の距離感と共に押しつけがましくない「記録」に接して、暖かだったり爽やかだったり(萌えだったり)な気持になれるかも。
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2017.09.03

LEGOバットマン:ザ・ムービー / ヒーロー大集合

見てみた、ジョン・バートン監督によるビデオ・アニメ映画。2013年発表。

レゴの世界でも悪党とヒーロー達が戦っていた。バットマンはパーティーに乱入した、ジョーカーを始めとする怪人共を一斉に捕縛するも、次期大統領の座を狙うスーパーマンの宿敵・ルーサーにより解き放たれてしまう。ルーサーが放つクリプトナイトを動力とする兵器で倒された、ヒーロー達の運命は…という内容。

CG映像でレゴを動かすという作品は「LEGOムービー」(2014年)で広く知られた感があるが、実はそれ以前から製作されていたらしい。現在TV東京の「レゴタイム」で放映している様なシリーズがそうだし、スターウォーズ等の既存作品を元ネタにしたものも結構ある。…で本作がバットマンを始めとするDCヒーロー。

「ムービー」と銘打っている割には最初からDVDでの発表だった様だが…子供向けと侮るには案外凝った内容で、バットマンとスーパーマンの緊張感ある関係やジャスティスリーグの一足早い登場など、詳しい人ほど楽しめるのでは?
posted by ぬきやまがいせい at 23:44 | Comment(0) | アニメ