2018.01.31

ピクセル

観てみた。A・サンドラー主演、クリス・コロンバス監督映画。2015年公開。

80年代。並外れた才能を持ちながら、TVゲーム大会の決勝でエディに敗北したサム。そして30年後くすぶった生活を送っていた彼は、大統領ウィルから何者かによって当時のゲームを模した形で侵略が行われている事を知る。サムは集めた仲間達と、ゲームの腕前を振るって侵略に立ち向かうのだが…という内容。

「パックマン」や「ドンキーコング」を始めとする、日本製レトロ・アーケードゲームのキャラが登場する事で話題になった作品。…まあ内容自体はゲームキャラ版の「ゴーストバスターズ」という感じで、期待程には目新しさは無かったかな。

どうせなら主人公はアポロキャップに出っ歯で、宙返りや炎を出したりしながら敵をやっつければいいのに。まあそういう日米の違いもあってか、コメディ映画として今ひとつ笑えなかったというのはある。…とは言え元ネタのゲーム自体は筆者も直撃世代には違いないので、観ていて懐かしさと共に楽しめたのも確か。
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2018.01.30

イット・フォローズ

観てみた、デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督映画。2014年公開。

女子大生ジェイと恋人ヒューは、デートを重ねた後に肉体関係を持った。ところがヒューは突然彼女を拘束してこう告げた、性交で呪いを移したから「それ」がジェイを追う様になると。そしてジェイは他人には見えない、人の姿をした「それ」に執拗に付き纏われる事に。捕まった後には無残な死が待っており…という内容。

低予算作品ながら米国でヒットを記録したホラー映画。批評家筋からの評価も高くカンヌ映画祭でも上映された。と聞くと黒沢清作品を連想するけれど、実際テイストとしては結構近い印象。まあ呪いを他人に押し付ける方法があるというのは「リング」とも共通しており、Jホラー自体からの影響があると見ていいのかも。

だから余り持ち上げられ過ぎても、これはJホラーが既に20年前に通過した場所だ!、という気がしてな。…追いかけて来るのが一見ただの一般人だったり、主人公が孤立しないというのは(個人的にはよくわからんが)逆に怖いのかな。
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2018.01.28

ミスティック・リバー

観てみた、クリント・イーストウッド監督映画。2003年公開。

仲の良い友人ジミー、デイヴ、ショーン。だがデイヴの誘拐暴行事件を機に、彼らの人生は大きく変わる。25年後、ジミーの娘が惨殺体になって発見された。刑事となったショーンが捜査する一方、少年時の体験を引きずったままのデイヴが不審な行動を見せる。それを知ったジミーが、彼を犯人と疑い…という内容。

原作はデニス・ルヘインの小説。アカデミー賞では主演&助演男優賞の獲得に終わったが、監督イーストウッドの手腕も高く評価された。個人的にも本作が、今の同監督に続く「覚醒」作じゃないかと思う。…人々を弄ぶかの様な人生の理不尽を重厚な演出で描いて見せた本作、結末の後味悪さでも印象に残るだろう。

もし昔の同監督なら、マグナム1発でショーン・ペンもあの世逝きだな。まあそういうマッチョイズムへの反省というか…本作で映画の「後味悪さ」に味を占めたという感も。でも若い頃のイキリ振りを思い返せば、微笑ましく感じるってもんさ。
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2018.01.27

教授のおかしな妄想殺人

観てみたウディ・アレン脚本、監督映画。2015年公開。

米国のある大学に赴任した、哲学科教授のエイブ・ルーカス。彼は鋭敏な知性と深い洞察を持ちながら、酒に溺れ死を志向する破滅的な生活を送っていた。そんな彼に惹かれたのが教え子のジル・ポラードと、同僚のリタ・リチャーズ。ある日教授は悪徳判事の存在を知って、完全犯罪を計画するのだが…という内容。

アレン監督と言えばNYだけど一連の欧州都市で撮影した作品を経て、前作「マジック・イン・ムーンライト」から?は特徴ある土地を舞台にするのは止めたみたい。と共に本作は哲学的な論考を絡めた完全犯罪を題材にしたサスペンス的内容で、同監督作品としてはストーリー要素がかなり強めなのが興味深い。

着想や展開からは「見知らぬ乗客」(結末は「逃走迷路」かな?)辺りのヒッチコック作品を連想させる。と言ってもシリアスと呼ぶには、演出や音楽やらはいつも通りのアレン作品なので、やはりコメディとして軽く観たらいいんじゃないか。
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2018.01.25

蒲田行進曲

観てみた。松坂慶子主演、深作欣二監督映画。1982年公開。

「新撰組」撮影中の映画俳優・銀四郎。彼は自分の子を身籠もった元恋人・小夏の存在が邪魔になり、舎弟の大部屋俳優・ヤスに押し付けてしまう。懸命に仕事に打ち込むヤスの人柄にほだされ、小夏も結婚を承諾した。だが仕事に躓いた銀四郎を見てヤスは、階段落ちの危険なスタントを引き受けて…という内容。

原作はつかこうへいの戯曲・小説。映画化した本作含め、各媒体皆が高く評価されたが…題材的な所を踏まえると、本作映画版で完成したのではないかと。今でこそ口の端に上る事は稀ながら、80年代当時は誰もが知っている有名作だった。まあ筆者もそのせいで観た様な気になってたけど、今回漸くきちんと観た。

映画撮影の裏側をノスタルジックかつ快活に、しかも汚い面まで描いているのに重くならない辺り、広く受け入れられた所以だろう。…しかし本作のクライマックスで実際に階段落ちした人も、平田満みたいに葛藤があったのかなあ?と。
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2018.01.24

珍遊記

観てみた。松山ケンイチ主演、山口雄大監督映画。2016年公開。

じじいとばばあに育てられた山田太郎。だが恐ろしいまでの乱暴者に成長してしまった太郎を、旅の僧侶・玄じょうは法力で押さえ込み力を奪った。大人しくなった太郎を連れて、天竺へと旅立つ事にする玄じょう。そんな2人がある町で出会ったのがほほえみ教の教祖・龍翔で、彼は太郎と因縁があって…という内容。

原作は漫☆画太郎の少年ジャンプ掲載漫画。同作が連載されたのは90年代なので時差があるけれど、同時期作「HK 変態仮面」の成功を受けての映画化かもしれない。本作では主演の松山を始め連載当時から親交のあるピエール瀧等の出演に、「魁!!クロマティ高校」を手掛けた監督と仲々気になる布陣だが…

まあやっぱり無理があったかな。馬鹿馬鹿しい内容を真面目に再現しようとする取り組み方はいいけど、実写ではどうしても質感的にツルンとしてしまって、あの「荒々しさ」までは表現しきれていないな。…それでも温水は面白かったわ。
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2018.01.23

さびしんぼう

観てみた。富田靖子主演、大林宣彦監督映画。1985年公開。

寺の息子・ヒロキはカメラの望遠レンズ越しに、女子高生・百合子がピアノを弾く姿を毎日眺めていた。そんなある日彼の前に現れたのが、道化師の様なメイクの少女。彼女は自分を「さびしんぼう」と、ヒロキが密かに百合子に付けたのと同じ名を名乗る。更に彼女には、母・タツ子と奇妙な共通点があって…という内容。

「転校生」「時をかける少女」と共に、「尾道三部作」を成す映画。なのだけれど、上記2作と較べると余り話題にならないのも宜なるかな。…同監督は時間経過による風化の直撃を食らう作風だけに、本作の高校生同士のおふざけシーンなんか特に顕著でつらい(自伝的作品との事で、その辺外せなかったんだろうな)。

上記2作が主要人物だけで話を回すシンプルな作劇だからこそ名作たり得たのでは、と考えてしまう。とは言え当時の尾道の風景や、ノスタルジックな恋愛などはやっぱりいいなと(…こいつストーカーかよキモ!、と思ってしまったけど)。
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2018.01.21

ロック・ザ・カスバ!

観てみた、バリー・レヴィンソン監督映画。2015年公開。

音楽マネージャーのリッチーは、アフガニスタンで米軍慰問コンサートを行う為中東へ飛ぶ。だが同行した女性歌手に逃げられ、現地で知り合った傭兵・ボンベイの仕事を手伝う事に。その際訪れた村で彼は少女・サリーマの美しい歌声を聴く。リッチーは彼女が熱望する歌番組出演を手助けするのだが…という内容。

「レインマン」でアカデミー賞を獲得した監督に、マネージャー役のビル・マーレイや傭兵役ブルース・ウィリスという意外に豪華な顔合わせ。しかも戒律の厳しい同地で、TV歌番組に出演した女性の実話を基にしたらしきストーリー…とコマは揃っている感じなのに、どうしてか今一つ盛り上がらないというのが正直な所。

少女歌手や傭兵を掘り下げずに、殆どマーレイの一人芝居なのがな。「ロスト・イン・トランスレーション」での侘びしい演技が板に付きすぎたせいかもしれん。…折角The Clashの名曲からタイトルを採ったのに、流さないのもあかんよね。
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2018.01.19

コードネーム U.N.C.L.E.

観てみた。ヘンリー・カヴィル主演、ガイ・リッチー監督映画。2015年公開。

1960年代。CIAエージェントのナポレオン・ソロは、テラー博士の娘・ギャビーを東独より脱出させる事に成功する。イタリア企業と密かに核兵器開発を行っている疑いのある博士を捜す為に、彼女の協力が必要だったのだ。しかもその際に対立したKGB工作員、イリヤ・クリヤキンと協力する事になって…という内容。

1960年代に放映されたTVドラマ、「0011ナポレオン・ソロ」のリメイク作品。筆者は流石に世代ではないので、そちらは見た事ないのだけれど…日本版吹替でクリヤキン役を担当した声優、野沢那智の出世作として知っていた感じだな。

本作は原作を踏まえ60年代のお洒落な雰囲気を再現した、肩の凝らないスパイアクションが楽しめる。「華麗なる賭け」ばりに分割しまくった画面や、当時の音楽に同監督の趣味が窺えるのも楽しい。…まあ本作でのクリヤキン役の人はやけにガタイがいい上乱暴者で、野沢さんが声を当てそうな感じとは違うかな?
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2018.01.18

ナイトクローラー

観てみた。J・ギレンホール主演、ダン・ギルロイ監督映画。2014年公開。

窃盗で糊口をしのいでいたブルームは、犯罪や事故現場を撮影し映像を売るフリージャーナリストの存在を知る。警察無線受信機とビデオカメラを入手し、運転助手も雇い入れたブルーム。スクープを次々物にして、TVプロデューサー・ニーナに売り込む事に成功した。そんな時、彼が遭遇した事件は…という内容。

脚本家として活動していたギルロイの、監督デビュー作となる本作。報道とTV局側のモラルといった社会派的な題材ながら、スリリングな犯罪映画として楽しめる内容。…ただ主人公に人間性が欠落しており、少々イライラしてしまった。

でも結局(ネタバレ)なので、本作はどちらかと言うとダーティな主人公が知力と行動力を駆使してのし上がっていく、「ピカレスク」映画として観た方がいいのかも知れない(だから個人的には正直、「後味が悪い」という世評にはピンと来ない)。…ひょっとしたらこの主人公、夜神月やルルーシュに近い系譜なのかもな。
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2018.01.15

ロング・ロード・ホーム

見てみた、ナショナル・ジオグラフィック放映のTVドラマ。2017年製作。

2004年、フセイン政権崩壊後のイラク。バグダッドに駐留する赴任して間もない兵ばかりのアメリカ軍部隊がパトロール中、民兵組織の襲撃を受け孤立してしまう。民家に立て籠もった彼らを助け出すべく戦車を含む救出部隊が出動したのだが、敵軍からの激しい攻撃を受ける。果たして彼らの運命は…という内容。

59名もの死傷者が出た、「ブラックサンデー」武力衝突事件を題材にした8話構成のTVミニシリーズ。…概要自体は映画「ブラックホーク・ダウン」で描かれた「モガディシュの戦闘」を連想するけれど、本作はおよそ8時間の長さを活かして米本土で待つ家族や、兵士のその後を挿入したりの立体的な構成になっている。

ドキュメンタリー局の放映だけあって考証や再現に抜かりはなく、映像の臨場感としても劇場映画並に満足できる。…戦場のありのままを投げかける内容(人間の盾にはぞっとする)だけに、何とも複雑な思いに駆られる作品なのも確か。
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2018.01.14

それぞれのシネマ

観てみた、カンヌ映画祭60回に合わせ製作された記念映画。2007年公開。

本作は「映画館」というテーマの下に、同映画祭受賞者や関わりの深い各国の映画監督36名を集めて製作されたオムニバス(共同監督を含むので本数は34、またコーエン兄弟は権利関係から上映で外される事が多い)…という内容。

各作品に与えられたのはおよそ3分前後の為、ストーリーを語るのに足りないのは仕方ない。どれもフワッと始まってフワッと終わる印象だが…面白いのは各短編の後に担当作家の名前が出ると、「あー」という感じでそれがオチになっている辺り。各監督の普段の作風を知っていると、より楽しめる作品じゃないかな。

だから各監督の名前を挙げると、それがネタバレになってしまうのでこの場では黙っておこう。…でも触れない訳にいかないのが、日本から唯一参加した北野武監督。内容としてはひょうきん族のコントみたいで、北野と言うよりはビート監督寄りだという。まあこの人の場合一瞬で判ってしまうので、言っても大丈夫。
posted by ぬきやまがいせい at 21:43 | Comment(0) | 映画

2018.01.13

ニンフォマニアック

観てみた。ラース・フォン・トリアー脚本、監督映画。2013年公開。

ある寒い冬の夜セリグマンは、大怪我を負って路上にうずくまる女を見つけた。彼はジョーと名乗った女を自宅に上げて、手当をしてやる。彼女はセリグマンに、現在の状況に至るまでの経緯を語って聞かせる。それは幼い頃から彼女自身を苦しめた、「色情狂(ニンフォマニアック)」としての人生だった…という内容。

「Vol.1」「Vol.2」として分割公開された作品だけど、話は連続しているので本項では1本の映画として扱う。内容は女が数多くの男性と交わった状況を老人に告白するという体裁で進むが、過激なセックス描写があるのは毎度のトリアー。本作では2人の知的な様な噛み合ってない様な、凸凹なやりとりがユーモラス。

言ってしまえばやりまくってるだけのストーリーながら、4時間も続けて見せつけられると流石に尋常じゃない感覚に襲われる(成程この長さは必要だったんだな)。でもええ話風にまとまるのかと思ったら…ひどいオチで、やっぱりトリアー。
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2018.01.11

花様年華

観てみた。ウォン・カーウァイ脚本、監督映画。2000年公開。

1962年の香港。あるアパートに新聞記者のチャウ、隣室にはチャンが同じ日に引っ越して来た。共に妻や夫のいる身だったが、互いの伴侶が不実の関係にある事を知り、2人は親密になっていく。密会を重ね深い結びつきを感じながらも、決して一線を越えなかったチャウとチャン。やがて彼らの関係は…という内容。

なぜか今日も引き続いて不倫の映画。トニー・レオンのカンヌ映画祭における主演男優賞獲得をはじめ、高く評価された作品だが…「ブエノスアイレス」が同性愛で今回が不倫というのは、(前作でも主演した)レオンいじめか何かかね。

とは言え60年代香港を再現した映像は魅力的で、毎度の同監督らしく華美に過ぎるという批判もあるがこれはこれで(雰囲気を盛り上げる音楽は、何故か鈴木清順監督「夢二」のテーマ曲だとの事)。…個人的には主人公の書く小説の場面を演じる劇中劇という形を取った感情表現は、なかなか上手い趣向だと思った。
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2018.01.10

恋人たち

観てみた。ジャンヌ・モロー主演、ルイ・マル監督映画。1958年公開。

フランスの田舎に邸宅を構えるアンリの妻であるジャンヌ。娘も1人ありながら彼女は毎週の様にパリの友人を訪ね、浮世を流す生活を送っていた。そんなある日彼女の車が故障し、そこに通りかかったベルナールという男性に助けてもらう。ジャンヌは彼を自宅のパーティに招待するのだが、その夜…という内容。

世界に衝撃を与えた「死刑台のエレベーター」に続く、マル監督による長編劇映画第2作。なんと弱冠26歳の作品という事だが…倦怠感漂う有閑夫人のパリでの放蕩生活やその後の瑞々しい出逢い、更に一夜の夢から覚める事を恐れながらの出発という、男女の恋愛に関して重層的で含蓄のある内容となっている。

特に淡い光線に照らされた月夜の逢瀬の場面は語り草で、彼の手際で引き出された女優ジャンヌ・モローの魅力と共に、よくこんな映画が20代で撮れたなという気がする。…まあでも本当、同監督の初期作は神がかっていたと改めて。
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2018.01.08

1936年の日々

観てみた、テオ・アンゲロプロス監督映画。1972年公開。

1936年ギリシャ。集会の演説に立った政治家が、何者かの銃撃で暗殺される。ヨノゴス・ソフィアノスという男が逮捕されるのだが、彼は犯行を否認していた。その後彼が収監された監獄に面会するべくやって来たクリエジス議員が、ソフィアノスの弟の手引きで持ち込まれた拳銃により人質にされてしまい…という内容。

アンゲロプロスの長編第2作にして「ギリシャ現代史三部作」を成す映画。題名通り1936年のギリシャで誕生した、メタクサスによる独裁政権(その日付から「八月四日体制」と呼ばれる)を描いている。まあ正直筆者は始めて聞く話だが。

同監督にしては直球の政治的内容と言えるものの、特定の思想に傾倒したと言うよりも淡々とした描写にアイロニーを忍ばせたかの様な作品。ただ普遍性を余り持たない分、個人的にはどう飲み込むべきか困ったけれど…映像面ではアンゲロプロスらしいフレーミングや人物配置が、早くも散見されるのが興味深い。
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2018.01.07

ZOO

観てみた。ピーター・グリーナウェイ脚本、監督映画。1985年公開。

オズワルドとオリヴァーの兄弟が勤める「動物園」の前で自動車事故が発生し、2人の妻が同時に死亡する。兄弟は消沈するのだが事故をきっかけに、動物や植物が腐敗していく映像を撮影する事に取り憑かれた様になる。一方その事故で一命を取り留めながらも片脚を失った女、アルバと交流を深め…という内容。

グリーナウェイ監督の長編第2弾にして代表作。身体の欠損や性器の露出、動物の死体が腐敗する早回しカット等のアナーキーな映像が含まれる作品だが…よく言われる様に癒合性双生児から始まって「進化と腐敗」「撮影と上映」等といった「対称性」のモチーフを全面に配した、徹底して秩序的な内容となっている。

本作のお話自体はかなり難解な印象だけど…場面ごとに26種の光源を用意したという話からも、同監督が作品制作上「ルール」を課す事に楽しみを見出すタイプなのだ(「数に溺れて」なんか顕著)と判ると、一気に明快になる作品かも。
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2018.01.05

彼女について私が知っている二、三の事柄

観てみた。ジャン=リュック・ゴダール脚本、監督映画。1967年公開。

1966年のパリ。郊外で現在も建設が続いている、巨大な公団住宅の団地で暮らす主婦のジュリエット・ジャンソンは、夫・ロベールの仕事中に2人の子供を託児所に預けて売春を行っていた。当時の週刊誌に掲載された実話記事を元に、ゴダールが脚本を執筆して製作されたセミドキュメンタリー的作品…という内容。

ただお話らしいお話は存在せず、素人と思しき出演者にインタビューするシネマヴェリテ演出や、(何故か)囁き声での政治的内容のナレーション。更にコラージュ的文字挿入の手法等と…まあその当時のゴダールではお馴染みの感じ。

とは言え本作で独自性を感じるのは「巨大な新興団地」の存在で、無機物そのものという佇まいに当時のフランスの行きすぎた進歩や、非人間性に対する批判を見出す事も出来るだろう。今改めて観て、映画として楽しめるかどうかと言われると正直微妙な線だが…まあこれはこれで(あ、タイトルは実に秀逸だね)。
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2018.01.04

ボヴァリー夫人

観てみた、アレクサンドル・ソクーロフ監督映画。1989年公開。

フランスのトスト。町医者のシャルル・ボヴァリーと結婚したエマは、田舎での退屈な暮らしに塞ぎがちになる。そんな彼女を見て夫は、別の町への転居を決めた。それでも満たされないエマは、様々な男性との情事に耽る様になる。夫に対する反感が募る中、彼女は破滅へと続く転落の道を進んで行き…という内容。

原作はギュスターヴ・フローベールの有名な小説。フランス人作家により書かれた本を映像化するに際しロシア人の同監督は、主人公に仏語をそれ以外の人物には露語を喋らせるという趣向で臨んだ。主人公の孤独を際立たせる演出と言われるが…どっちも日本語字幕で読んだ筆者は、言われるまで判らんかったな。

概要だけ言うと昼ドラみたいな話ながら、随所に織り込まれた生々しい裸体(主人公は素人の言語学者)や交接シーンにより、感情に直接訴えかけてくる。…尚今回観たのは2009年の再編集版だけど、40分も短くなってるんだってさ。
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2018.01.02

フルスタリョフ、車を!

観てみた、アレクセイ・ゲルマン監督映画。1999年公開。

1953年のソ連。ユダヤ系一家の主人・クレンスキーは大病院の医師であると共に、赤軍少将の地位にもあった。だが時の権力者スターリンが行ったユダヤ人医師迫害、いわゆる「医師団陰謀事件」の為に、クレンスキーもまた投獄されてしまう。ところが何故か突然釈放された彼が、接見した相手とは…という内容。

現在では同監督の代表作とされる映画だが、カンヌ映画祭では賛否両論だったとの事。実際話が把握しづらく、猥雑な集団描写やフェリーニを連想させる喜劇演出等、少々困惑させられるのも確か。…でもこの手法って次作「神々のたそがれ」でもそのまま用いられているので、同監督としても自信を持ったのだろう。

本作の内容はソ連〜ロシアの歴史的事件を扱ったもので、知識が無い分日本人の筆者には正直馴染みにくかった。「神々のたそがれ」に対して日本でも大きな反響があったのは、SF的設定が逆に普遍性を持ち得たのかもしれないなと。
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