
読んでみた、日本人作家による長編SF小説。1981年発表。
一面の「曠野」を縦横にハイウェイが走る世界。武装バイカー集団が農村を襲う中、不手際で殺人を犯したアキラは「ゾク」から追われる事に。やがてロコフを始めとする仲間を得て、彼自身がゾクのアタマとなるのだが…という内容。
1979年公開の「マッドマックス」からの影響が指摘される本作だが、バイクが世界の中心となった奇妙な神話的空間は独特(これは第4作に先駆けた?)。そうしたナンセンスな感覚とバイオレンスな描写は、むしろ個人的にはハーラン・エリスンを連想させられた。…まあお話自体は「七人の侍」っぽくなるんだけど。
本書は何より大友克洋による、カバー画が超かっこいい。グループ名を(バイクのプレートにも)「FIRE-BALL」としたのは、著者の茶目っ気なのかなとは思うけれど、主人公の名前「アキラ」はただの偶然かな…連載開始は翌年だし。それにしても近年自転車のイメージが強い著者なのに、超面白いバイク小説だ。