2021.10.09

「屍者の帝国」伊藤計劃、円城塔著

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読んでみた、日本人作家による長編SF小説。2012年発表。

屍者を再生して、労働力とする技術が確立された19世紀末。ワトソンは英国諜報機関の依頼で、アフガニスタンへ調査に赴く。その地では「屍者の王国」が建国され、更に最初の屍者「ザ・ワン」の策謀が浮かび上がり…という内容。

2009年に逝去した伊藤の遺稿を、円城が書き継ぐ事で完成させたのが本書。伊藤が実際執筆したのは「プロローグ」だけなので、ほぼ円城による小説と言えそうだが…文体はその部分をかなり踏まえた上、作風でも伊藤作品を相当尊重した感じが窺える(後書では謙遜からか、否定気味のコメントをしているが)。

でも他の作品との違いから、批判されたりもする様で。文体自体は設定から来る大時代的な表現だろうし、「謎の人物の追跡劇」「既存体制の崩壊」といった大筋は、毎度の伊藤作品っぽい展開になっている。…でも映画の真面目っぽい印象とは少々異なるナンセンスな感覚は、円城の持ち味って事かもしれんね。
posted by ぬきやまがいせい at 23:46 | Comment(0) | 読書