2021.10.15

「宇宙からの帰還」立花隆著

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読んでみた、日本人著者によるノンフィクション。1983年発表。

ロケットに搭乗して地球外の環境に身を置いた、宇宙飛行士と呼ばれる人々。彼らの多くはその際、神の存在を強く感じたと言う。本書は飛行士達から「宇宙体験」に関して聴き取り、その神秘的とも言える様相に迫る…という内容。

上記の事実を初めて世に広めた画期的な名著。ただ要点を言えばそれだけなので、飛行士個々の生い立ちやスキャンダル話まで読む必要はない気もしたけど…そうした人物像をを踏まえて、彼らが宇宙体験により如何に変わったか(或いは変わらなかったか)を丁寧に聴き出した、切り口自体に圧倒される思い。

まあ宇宙体験の宗教的な解釈に納得できるかは兎も角、飛行士達が宇宙で目撃し肌で感じた経験を自らの口で語る、その臨場感だけでも他では得難い。なので本書は宇宙開発史の本と言うより人物伝的だが、人物の内面そこにまた「宇宙」が存在するのだなと(何だか、NWSFみたいな結論を書いてしまった)。
posted by ぬきやまがいせい at 19:19 | Comment(0) | 読書