
読んでみた、スイス人著者によるノンフィクション。1968年発表。
様々な事物から「構造」を抽出して分析を行うという、現代思想の一分野である「構造主義」。1960年代に登場したその考えを、本書では数学や物理学、心理学に言語学といった、幅広い分野から例を引いて解説する…という内容。
著者自身は心理学者として有名だが、元々生物学の研究者出身という事もあってか、本書でも「構造主義」を広範な知識を用いて横断的に解説していく。なので論理/数学記号やらゲシタルト心理学やら、ソシュールやらフーコーやらがほいほい飛び出して面食らうものの、各分野を順繰りに紹介したと思えばいい。
一方でレヴィ=ストロースとサルトルとの論争や、フーコーの著作等に関しては結構厳しい見解を示しているのが興味深い。ただ個人的には、言葉の洪水をワッと一気に浴びせるのには、待ってくれたまえ(by 石清水)と言いたくもなるのだな。手軽に構造主義を知る事が出来る…気もしないけど、名著なのは確か。