
読んでみた、日本人著者による歌物語/小説集。1964年発表。
「むかし、をとこありけり」。在原業平と思われるその男を主人公に、男女の恋愛をはじめとした様々な物語、その際詠まれたとする和歌が添えられている。平安時代に成立した「竹取物語」と並ぶ最古の仮名文学が本書…という内容。
美しい平安言葉で書かれており、読むだけで雅びな気分になれるのが良い(よく判ってないけど)。でも内容は小説というか、和歌が詠まれた経緯を説明している感じで、歌集にある解説・鑑賞とかみたいな気もするのだが。じゃあ歌集でいいじゃん?…と思うけれど、これが歌集なら古事記も歌集になってしまうか。
でも個人的に面白いのは本書でも恋愛がらみではなく、鬼が出て来て?女が喰われてしまう今昔物語みたいな話。へーそんなのもあるんだ、と思うと意外で大層興味深くないかな。まあぬきやまが喰い付くなら、どうせそんな話だし…考えたら澁澤龍彦も、喰い付いてそうなエピソードではある(書いてたっけ?)。