
読んでみた、フランス人作家による長編小説。2005年発表。
主人公はボトルを身に付けて、月へと飛ぶ。そこで彼が目にしたのは…(「月の諸国諸帝国」1657年)。月から戻った主人公は、箱を組み合わせた乗り物で太陽を目指し…(「太陽の諸国諸帝国」1662年)。本書には上記の2編を収録。
著者は主に彼をモデルにした、エドモン・ロスタンの戯曲で知られている。自分は「鼻がでかい人」というイメージしかなかったけど、本書でも自分でそう書いていたな。…内容的には「原SF」という辺りが注目点だが、(銀背でも刊行された削除版とは違って)本書は著者の哲学や批判が繰り返し語られる、思想的内容。
そのせいかぶっちゃけ、読んでもあまり面白くはない。まあ著者の考え方の先進性や重要性は、解説を読んで理解はしたけれど。例えば「ガリバー旅行記」「ほらふき男爵」等にはストーリー的な面白さがある辺り、やはり違うと思う。…でも本書がそれらに1世紀も先行した作品と判ると、認識を改めざるを得ないな。