
読んでみた、日本人著者によるノンフィクション/自伝。1970年発表。
第二次大戦中。日本海軍の主戦力として、伝説的な存在とまで賞された「零式艦上戦闘機」。本書は主任設計士として零戦の開発に関わった著者が、数々の技術的困難とその克服をはじめ、同機の栄枯盛衰を綴っていく…という内容。
著者はもちろん、宮崎駿監督の「風立ちぬ」で描かれた堀越二郎。そちらの映画では零戦開発は直接描かれなかったので、ある意味続編みたいな内容かも。…と言うか映画では戦闘機設計の技術的側面はオミットしてしまったので、どちらかと言うと(沈頭鋲導入がメインだった)原作漫画の印象をより強く思い出す。
本人が語るプロジェクトX的な開発秘話は、当時の世界情勢の推移や個人的な感懐とも関連付けて、大変に興味深く読める。本書を現状の日本の「モノづくり」と絡めて、教訓的に読むことも可能だけれど…自分はただのミリオタだから、よく判らんね。それより「美」の追求と犠牲者への「悔恨」の念が、強く胸を打つ。