2023.03.14
「ベトナム空戦史(原題:Phantom over Vietnam)」J・トロッティ著、井上寿郎訳
読んでみた、アメリカ人著者によるノンフィクション。1984年発表。
1966年、米軍が参戦中のベトナム。著者は海兵隊航空群の戦闘・攻撃隊に所属するパイロットとして、日夜現地上空を飛行していた。主な任務は地上への爆撃だが、その遂行には高度な技術と多大な困難が必要とされ…という内容。
邦題には「空戦史」とあるけれど、包括的な内容ではなく体験談なのに加え、戦闘機同士の空戦の様な話は出てこない。いい加減なもんだが…原題にある通り、著者が乗るのは「F-4ファントム」戦闘爆撃機。本書は同機をまるで尼のカスタマーレビューの様に、実際に用いる人の視点で詳細に解説してるのが見所。
だから世傑等の本では知りえない、「使い勝手」まで綿密に語っているのはすごい。全ファントム好き必読。…ただ逆に機体解説面では判らない点も多い(海兵隊所属で時期的なところからすると、多分B型?)。加えて著者がインテリなので、戦争とは少々違う方面の苦悩を述懐してる辺り、共感面で可否はありそう。