
読んでみた、フランス人作家による長編小説。1947年発表。
アルジェリアのオラン市で医師のリウーは、鼠の大量死を目撃する。果たしてそれは死の伝染病「ペスト」によるものと判明。人間も次々に斃れ、同市は世界から隔離・封鎖される。鎖された土地で、人々は死に向き合って…という内容。
著者による第2長編小説の本書。伝染病蔓延を描いた内容からコロナ禍の人々に読まれ、ベストセラーになった。ただ別に著者は予言書や、警告の書として書いた訳ではなく…カミュの作風を言い表す「不条理」という言葉通り、現代世界にペストが蔓延する状況自体(太陽が眩しかった殺人と同じく)不条理だった筈。
不条理を描いた小説が、不条理でなくなった事こそが不条理だよな。なので自分もそこは外して、実際ここ数年経験した日々と引き較べて読んだ訳だが。本書の「ペスト=現実的脅威」に向き合う人々の感動的な姿と比較したら、この数年俺はなにやって来たんだろ?と。…まあ健康が一番ですな(何だその結論)。