観てみた。V・マクラグレン主演、ジョン・フォード監督映画。1935年公開。
1922年アイルランド。イギリス軍統治下のダブリンで、反英組織から追放されたジポという男が金欠に喘いでいた。ジポは指名手配されている旧友を懸賞金目当てに密告、彼は射殺されてしまう。20ポンド手に入れたジポだったが、金は酒代や諸々ですぐに消え、しかもその入手先を組織に疑われて…という内容。
リーアム・オフラハティの小説を原作に、米アカデミー賞では4部門で受賞した名作。アイルランド移民の子であるフォードが自身のルーツを描いた一本ではあるが、後の「静かなる男」(1952年)と較べたら陰鬱な上、主人公にイライラし通しで、仲々に観るのがしんどい。聖書のユダがモチーフなのだけれど…
当時米は(自国の歴史と同じく英国相手に戦った)アイルランド独立運動に対し、同情的だったと見ていいのかな。聖書をなぞった本作の内容は普遍的だが、アイルランドの真逆の結果を見たら、そう表明しても不思議ではないしな。