
読んでみた、アメリカ人作家による長編小説。1850年発表。
17世紀。夫がありながら不貞の子をもうけたヘスターは、その罰に姦婦を意味する「A」の緋文字を身に着ける事に。数年の後その娘・パールも健やかに成長し、徐々に彼女へ向けられる周囲の目も変わっていくのだが…という内容。
アーカム…じゃなくて米国の町、セイラムを舞台にした世界的名著。本書の内容も例の魔女裁判を連想させるけれど、直接の言及がない代わりに著者の先祖は、その際判事を務めた人物だというのが驚き。なので本書で罪と罰の意識に、悔恨や改悛の情が描かれるのは、その裁判と決して無関係でもないだろう。
ただ実際読んで自分には、どうもキリスト教の教義的な方面に立ち入られると、難しくて伝わりにくいなというのが正直な感想(著者が用いる曖昧論法のせいもあるかも?)。代わりに本書は、罪を犯した女性がその「烙印」を受け入れ、再び人生を歩み直すという…「女の一代記」ものとして、感動して仕方なかった。