
読んでみた、日本人作家による短編小説集。1980年発表。
地獄図を描く事になった絵師は、牛車の燃える様を前に…(地獄変)。京の都に、怪しげな邪宗を崇める沙門が現れて…(邪宗門)。好色な平安貴族が、侍従に懸想したのだが…(好色)。男が殺され下手人も捕まったものの、各人の証言は食い違い…(藪の中)。という表題作を含んだ、全11編が収録されている。
古典を題材にした「王朝物」を集めた短編集で、1917年から1923年の間に執筆されたもの。黒澤明が「羅生門」の題で映画化した「藪の中」や、「地獄変」は芥川自身の代表作と言っていいいだろう。多くの作品が怪異譚・幻想譚な辺り個人的には好きだけど、(実は地獄変の続編である)「邪宗門」にはビックリ。
これがまるで夢枕獏みたいな、サイキックバトル物だという。しかも著者は長編として構想していた様なのに完全に未完、ジャンプの打ち切り漫画かよという俺たたエンドでちょ待てよ。…そちらに限らず、面白い短編が揃っている本だ。