2024.01.31

すべてが狂ってる

観てみた。川地民夫主演、鈴木清順監督映画。1960年公開。

高校生不良グループの1人・杉田次郎。彼の無軌道な生活振りは、戦時中より南原という男の援助を受け続けている、母親に対する不信からの反抗だった。だがそんな次郎を南原は心配し、彼と話し合おうとしたのだが…という内容。

当時の不良少年少女達の生態を描いた一種の青春映画だが、フランスで起きた「ヌーヴェルヴァーグ」の影響も濃厚な作品となっている。日本では大島渚を始めとする松竹の動向が有名だけれど、日活における清順監督も全くの同時期(「勝手にしやがれ」と同年!)に、こうした映画表現を物にしていたのだなと。

逆に言うと、後の同監督らしい独特の感性はまだ本作では見られない(多分もっと浮世離れした設定・舞台や、ストーリーが必要だったんじゃないかな)。ただどうしてもせせこましくなりがちの日本的な不良描写や家庭内問題を、スピーディーな展開で結構いい感じに見せてくれる手腕は、これはやはり大したもの。
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2024.01.30

拳銃は俺のパスポート(こるとはおれのぱすぽーと)

観てみた。宍戸錠主演、野村孝監督映画。1967年公開。

関西系ヤクザ・島津との抗争に際し、大田原組では殺し屋・上村を雇って組長の命を狙っていた。上村は見事狙撃を成功させ海外脱出を図るも、大田原の手が回りある安宿に逃れる事に。そこでは美奈という女が働いており、上村と弟分・塩崎の世話を焼く。2人は独自な逃走経路を模索するのだが…という内容。

原作は藤原審爾の小説「殺し屋」。主演の宍戸は「エースのジョー」とは違って、ストイックな演技で推している。特にクライマックスの銃撃戦では切れの良いアクションに加えて、広い野外での撮影による幾何学的な空間演出が見事。

本作では銃の細部描写に見るべきものが多く、仲々面白いのだが…同じくらい奇妙なところも(45口径が強力なのは判るけど、長銃ならライフル実包のを使えばいいのに)。特にタイトルで拳銃に「コルト」とルビを振っているのに、主人公の使う拳銃は何故かベレッタ。そこは「日活コルト」を出すのがお約束でしょ。
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2024.01.28

夜の狼

観てみた。葉山良二主演、牛原陽一監督映画。1958年公開。

立花組の月田圭介は腕の立つやくざ者で、借金取り立ての無常さから恐れられていた。そんな彼がある一家から得た金は、娘の勝美が身体を売って作ったもので、間もなく彼女の両親は自ら命を絶った。そんな負い目から、圭介は勝美の面倒を見る様になる。だが組の内外に不穏な空気が湧いて…という内容。

原作は下村明の小説「夜の顔役」。やくざと一般人女性の恋愛という題材は「泥だらけの純情」(1963年)を連想するけれど、本作の方が先。そちらの破滅的な結末からしたら本作はだいぶ穏当で、比較したら正直ごく普通って印象になるのも仕方ないな。でも本作だと、裏社会の暗黒ムードに関しては悪くない。

特に野心をギラギラさせた、若き金子信雄の存在が光っている。後年の料理番組での温和な印象とは正反対な、危険なイケメン演技に惚れてまうわ。多分そのせいなんだよな、本作を「恋愛映画」と言い切るのを躊躇してしまうのは。
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2024.01.27

危いことなら銭になる(やばいことならぜにになる)

観てみた。宍戸錠主演、中平康監督映画。1962年公開。

紙幣印刷の用紙を運搬中の車が襲われ、何者かに強奪された。その次に狙われるのは偽札造りの名人・坂本の腕だと察したのが、ガラスのジョーと呼ばれる男。同じ狙いを元に行動していた計算機の哲、ブル健に、黒幕の秘書をしていたとも子を加え、彼ら4人の偽札奪取の暗闘が始まったのだが…という内容。

原作は都筑道夫の小説「紙の罠」。主演の宍戸を始め哲役の長門裕之に、とも子を演じる浅丘ルリ子といった日活では馴染みの面々が登場する、コメディ・アクションとなっている。そうしたメンツがアニメ「ルパン三世」を連想させ、また本作における偽札造りのプロットは、1期・第10話等に影響を与えたと言われる。

とルパンとの関係ばかり取り沙汰される映画なのだが、単純に観て楽しめる内容。中平監督作だと「あした晴れるか」(1960年)辺りと近い、洗練された感覚がある。でも本作は死体ゴロゴロ(ルリ子が吐きそうになる)で血腥いね。
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2024.01.25

TAR / ター

観てみた。トッド・フィールド脚本、監督映画。2022年公開。

女性としてベルリン・フィル初の首席指揮者となった、リディア・ター。天才的な音楽家ながら同性愛者であり、人格的に傲慢な面も持ち合わせる彼女は、周囲との人間関係で徐々に軋轢を生んでいく。やがて彼女の教え子である女性指揮者が自殺し、その事を機に彼女の地位は足元から揺るぎだし…という内容。

音楽映画かと思ったら音楽映画じゃなかった。クラシック界隈をネタにはしているものの、肝心の演奏風景は殆ど描かれずじまい(コンサート会場での大暴れには参った)。まあLGBTQを絡めて、TARという複雑な女性像を描こうとした作品なのだろうとは思うけれど…複雑と言うよりも行き当たりばったりだな、これ。

特に前半は会話してるばかりで甚だ評判よくないのだが…自分はむしろ前半が楽しめた。クラシック〜現代音楽関係の小ネタを交えた台詞の応酬は、自分の音楽脳を刺激する。なので後半のサスペンスや自分探しはどうでもいいな。
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2024.01.24

SLEEP / マックス・リヒターからの招待状

観てみた、N・ジョンズ監督によるドキュメンタリー映画。2019年公開。

1966年、西ドイツのハーメルンで誕生した作曲家「Max Richter」。彼が構想したのは深夜の野外空間で、8時間半にも渡って繰り広げられる「Sleep」というコンサート。本作は各地で行われた演奏を軸に、Richterのインタビューや関係者・観客の様子を交えて、コンサートの模様を伝えるものである…という内容。

ポスト・クラシカルと呼ばれる音楽で、感じはアンビエント/ミニマル系。観客は自由に出歩いても、眠ってしまってもよい事から「Sleep」なのだが…画期的ですごいみたいな事になってるけど、Satieの家具の音楽や、EnoのMusic For〜シリーズとそう変わらない気が。長さもVexationsの方が10時間長いし。

つうか作曲者の話す言葉がいちいち意識高くて、うへぇってなる。環境問題に目敏くて無農薬野菜ばかりモリモリ食ってそう(偏見)。…まあ現代音楽に関して俺はあんなのとは違うぜ、みたいな発言がぶっちゃけ癇に障ったんだけどさ。
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2024.01.22

ザ・スリッツ / ヒア・トゥ・ビー・ハード

観てみた、W・E・バッジリー監督によるドキュメンタリー映画。2017年公開。

1970年代末のロンドンで、パンクムーブメントの渦中に誕生した「The Slits」。当時の社会風潮に逆らって女性メンバー主体で運営されたグループは、その後音楽性をポストパンクへと変化させる。画期的な存在ながらその実像を知られなかったThe Slitsを、メンバーや関係者の証言で綴っていく…という内容。

The ClashやSex Pistolsメンバーといった有名人を始め、The RaincoatsやSiouxsie And The Banshees等の近い存在、知ってそうで知らなかったバンド間の関係が判って成る程と。ただSlitsのメンバー自体はよく知らないので、本作で順を追って詳しく動向を説明されても、なんか今一よく判らなかった。

1stはよく聴いたけれど、それ以外の大抵の話は初耳だったので何をかいわんやだな。…なので本作で知ったThe Slitsは伝説でもリアルでもない、やっぱりどこかキッチュで架空っぽい印象として変わらなかったのは面白いと思う。
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2024.01.21

ギミー・デンジャー

観てみた、J・ジャームッシュ監督によるドキュメンタリー映画。2016年公開。

1967年にIggy Pop(vo.)を中心に結成された、ロックバンド「The Stooges」。MC5と共にデトロイトを代表するグループとして、またパンクロックの先駆者として伝説的な存在となっている。本作ではIggyを始めとするメンバーや関係者の証言に加え、貴重なステージ映像等でバンドの歴史を追う…という内容。

「Stooges」の映画な筈なのにIggyの出生から話が始まり、ずっと出張って来て喋っている。あれ?、と思ったら…メンバーの殆どは故人となっていた。無茶苦茶な人生を歩んだIggyが長生きしてるんだから、人間わからんもんだ。

本作はジャームッシュが監督している辺り興味深い(Iggyの方から映画を作ってくれとオファーしたらしい)ものの、まあよくある音楽ドキュメンタリーと言う程の差はない。とは言えやっぱりIggyの存在ならではか、どこか特別な空気感が漲っているのは面白い。まあそれこそが、「伝説」と呼ばれる所以なのだろう。
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2024.01.19

レディオ・バードマン / ディセント・イントゥ・メールストロム

観てみた、J・セクエラ監督によるドキュメンタリー映画。2018年公開。

1974年、シドニーで活動を始めた「Radio Birdman」。オーストラリアを代表するパンクロック・バンドとして海外でも高く評価される一方、グループの運営には常に困難が付きまとった。本作ではバンドメンバーや関係者のインタビューを中心に、貴重なライブ映像と共にバンドの歴史を紐解いていく…という内容。

豪州バンドという辺りで注目された存在だが、70年代のごく短命に終わった…かと思っていたら、その後再結成して現地で功労賞?も獲得していたとの事。仲々興味深くは観られたものの…これといった事件が起きた訳でもなく、あくまでも地味なバンド内問題の話が延々語られる感じ。これ正直、しんどくなるなあ。

まあファンならば楽しめそうだけれど、淡々と疲労がたまっていく感覚は、当バンドの活動を追体験しているかの様(?)。とは言え現在でも、すっかりジジイになったメンバーにより現役で活動中というのは、ある意味ホッとする話かもな。
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2024.01.18

サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス

観てみた。サン・ラー主演、ジョン・コニー監督映画。1974年公開。

行方不明となっていたジャズミュージシャン「サン・ラー」は、惑星・アーケストラに滞在していた。新天地へ黒人達を移転させるべく、彼は宇宙大使として地球に戻って教えを説く。だが多くの人々は彼に疑念を抱いており…という内容。

音楽映画かと思ったら違った。Sun Ra自身が脚本を書いたSF映画?で、演奏風景は僅かしか登場しない。Sun Raは独自の宇宙思想を表明しており、それを反映させたストーリーな訳だが…まあ自分も今回初めて知った。感じとしてはスピリチュアルと言うか、アダムスキーのUFO体験と大差ない感じなんだな。

なので正直、掴みどころがないとしか言い様がない。上記した通り音楽要素も物足りないし、ヘンテコな内容にも関わらず別に笑える訳でもないし。まあフリージャズ演奏家によるアート映画と言うよりは、ブラックスプロイテーション・ムービーそのものだと思う。「物好きが見る映画」って意味でなら、揺るぎないけど。
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2024.01.16

D.O.A.

観てみた、L・コワルスキー監督によるドキュメンタリー映画。1980年製作。

1970年代後半、ロンドンを発火点として燃え広がった「パンクムーブメント」。本作は1978年に行われたSex Pistolsによる全米ツアーの映像を中心に、同時代バンドや熱狂的な若者の姿から、パンクの興奮を今に伝える…という内容。

本作を観て感じたのは…自分は「若者文化としてのパンク」には、全然興味がないんだなって。要するに音楽やアティテュードとして好きなのであって、おかしな格好してイキってる小僧共を見せられても困る。しかも50年近く前の。そういう意味でやっぱり自分はPistolsよりも、(本作未登場の)Clash派なんだよな。

とは言え映像自体は大変に貴重で、同時代の空気が判るのはやっぱり面白い。Sham 69やGenaration X等の演奏も見られるし。どうせなら、StranglersやBuzzcocksも見れませんか?…とか思ってしまったり。まあでもPistols好きなら必見なのは間違いないので、こういう作品を残してくれたのは有難い。
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2024.01.15

ジャニス : リトル・ガール・ブルー

観てみた、エイミー・バーグ監督によるドキュメンタリー映画。2015年公開。

1943年にテキサスで誕生。並外れた歌唱の才能からその後、1960年代のアメリカ西海岸の音楽シーンで頂点を極めた、女性ロック・シンガー「Janis Joplin」。本作は家族やバンドメンバーといった、生前親しかった人々の証言を中心に、彼女の激しくも孤独だった僅か27年の短い生涯を振り返る…という内容。

悲しい…なんつう悲しくなる映画だ。音楽ドキュメンタリーとしては特別変わった事はしてない筈なのに。登場するのは周囲の関係者に絞っている為か、彼女の成した音楽の広がりよりも、彼女の人生と苦悩そのものが浮き彫りとなる。

まあ音楽自体は割合に歌唱風景を見せてくれているので、「聴けばわかる」という説明要らずの存在ではある。だから何も(早世という結末は知った上で)こんなに悲しく描かなくても、と思ってしまう訳だけど…音楽と共にJanisの生涯を、他の人にも知ってほしくなった。と考えた辺り、よいドキュメンタリーではある。
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2024.01.13

実演!バグ / ダイナソーJR

観てみた、D・マーキー監督によるドキュメンタリー映画。2012年公開。

「Dinosaur Jr.」が1988年、SSTレーベルよりリリースした3rdアルバム「Bug」。初期の代表作として人気の高い、同作収録曲を完全再現するライブが2011年6月、ワシントンDCの9:30クラブで行われた。本作はファン有志の撮影による映像を素材とし、ライブ会場の熱気を伝えるものとなっている…という内容。

まあこれ以上説明しようもない映画なんだけど…個人的にはよく聴いた(今でも聴いてる)作品なので、思ったよりグッと来た。特に前回紹介したドキュメンタリーを観た後だったので、曲やバンドの人間関係も踏まえて仲々感動する。

ちょっと面白いのは、本作では演奏に合わせて歌詞の日本語字幕が出る所。歌詞内容は今回初めて知ったのだけれど…知っても知らなくても別にいいって事が判ったという意味で。とは言えラスト曲「Don't」の、悲痛さには成る程なと。ただ別に曲が終わるまで律義に出し続けなくてもよかったのにな、とも思った。
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2024.01.12

ダイナソーJr. / フリークシーン

観てみた、P・ロッケンハイム監督によるドキュメンタリー映画。2021年公開。

1984年マサチューセッツ州で、パンクバンド「Deep Wound」を母体に誕生したのが「Dinosaur Jr.」。J Mascisによる轟音ギターと切ないメロディの融合で、オルタナティヴロックの寵児となった彼らだが一時解散。その後2005年にオリジナルメンバーで再結成したバンドの、現在の姿と歴史を追う…という内容。

タイトルにもなった「Freakscene」が収録された「Bug」を始め、筆者は初期の数作位しか聴いてないけど…息の長い人気が改めて判った。本作には(例によって)Thurston Moore始め関係者が証言しているのだが、Spacemen3の人とマイブラの人が同じ画面に映って登場したのには、えっスゴイってなった。

まあ事件みたいなのも起きてないし、バンドヒストリー映画としては淡々としたものだけど(ステージ上の喧嘩には驚いたか)…それはそれで同バンドらしいんじゃないかな。おかげで案外細切れ感もなしに、演奏が聴けるのもよかった。
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2024.01.10

SUKITA / 刻まれたアーティストたちの一瞬

観てみた、相原裕美監督によるドキュメンタリー映画。2018年公開。

日本人写真家「鋤田正義」。彼を世界的に有名にしたのは、ロック・ミュージシャンの本質に迫るポートレイト。本作では内外問わず、彼の被写体になったアーティストの証言に加え、現在の鋤田の精力的な活動振りを追う…という内容。

その中でもDavid Bowieとのコラボ(山本寛斎の衣装やHeroesのジャケット等)は強烈な印象を残しており、それは彼の写真展でもBowieが大々的にフィーチャされている辺りからも窺える。…とは言えBowieだけでなくYMOやPANTA等、国内ミュージシャンのあの作品もだったのか、というのが判って楽しい。

ただまだ5,6年前の映画だというのに、本作に登場する多くのミュージシャンが既にこの世の人でない、というのは何とも寂しくなってくる。…個人的にBowieはいまだに全く死んだ気というがしないので、本作でも彼の「不在」について感傷もなく、特に触れられていなかったのは、何か自然な感じがしてしまったな。
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2024.01.08

ロード・オブ・カオス

観てみた。R・カルキン主演、ヨナス・アカーランド監督映画。2019年公開。

1980年代ノルウェー。真のブラックメタルを目指す「Mayhem」のリーダー・ユーロニモスは、悪魔崇拝を掲げる集団としても活動していた。そんな中ボーカリストが自殺し、バンドは一躍有名に。だが彼らに憧れるヴァーグがサークルに加わった事で、連続教会放火という危険な犯罪に手を染めて…という内容。

殺人事件にまで発展した、ノルウェー・ブラックメタル界狂気の時代を描いた実話映画。筆者も一応簡単な概要だけは知っていたので、成程こんな感じだったのかと(ただ実話と虚構が入り混じるという、注意書きが冒頭掲げられる)。

音楽ものとして結構「らしさ」があってカッコいい(Scorpionsディスられすぎ)のに加え、切ない青春映画でもあるのは仲々いいんじゃないかな。…ただBurzumの人が狂ってて本当にとんでもないんだけど、その後の本人の動向も滅茶苦茶すぎる。これじゃEuronymousも浮かばれんわ、という気もしたりして。
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2024.01.07

イングランド・イズ・マイン / モリッシー, はじまりの物語

観てみた。ジャック・ロウデン主演、マーク・ギル監督映画。2017年公開。

1978年マンチェスター。スティーヴンは地元バンドのライブを見ては、辛辣な批評を音楽紙に投稿していた。自身では音楽を始める勇気もなく、底辺の職に就いても長続きしなかった。そんな時知り合った美大生・リンダーの才能を目の当たりにし、彼もバンドにボーカルで参加する事となったのだが…という内容。

どうでもいい話だけど、筆者が似ている有名人として言われたのが本作の主人公である「Morrissey」(本当にどうでもいいな)。本作は彼がJohnny Marrと出逢い、The Smithsが誕生する直前までが描かれるのという実話映画。

ただMorrisseyは本作の内容を否定しているとの事。なにせ主人公がギークで陰キャでコミュ障の三重苦(なのに意外とモテる)。主人公が歌うのは1曲だけで、後はずっと鬱々としたシーンばかり。元ネタに半端にしか興味のない筆者はつらかった。…でも確かに自分と似てると言うか、共感してしまう所はあったよ。
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2024.01.05

ショック・ドゥ・フューチャー

観てみた。A・ホドロフスキー主演、マーク・コリン監督映画。2019年公開。

1978年パリ。アナは録音機材の山を前に、依頼されたCM曲の制作に取り組む。ところが思わしくない進捗の為催促される中、彼女は日本製リズムマシンの存在を知った。電子音楽の可能性に思いを馳せるアナは、歌手のクララと共に録音を行う。彼女はその夜のパーティで新曲を披露したのだが…という内容。

フランスの電子音楽と言ってもPierre HenryやLuc Ferrariみたいなのじゃなく、80年代エレクトロポップ前夜を描いた作品。内容的には殆ど部屋から出る事もない、実にこじんまりしたものだが…その部屋にモーグモジュラーシンセを始め当時の機材が山の様に登場し、その操作風景を見るだけで仲々興味深い。

逆に言うとその辺興味がないとピンと来ないだろうな(後の電子音楽隆盛を示唆するラストとか)。個人的にはThrobbing GristleやAksak Maboulが最新曲として紹介されたりして興奮した。…でも何故かSuicideだけディスられる。
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2024.01.03

I AM THE BLUES / アイ・アム・ザ・ブルース

観てみた、ダニエル・クロス監督によるドキュメンタリー映画。2015年公開。

黒人奴隷達の歌った音楽をルーツに持つ「ブルース」。現在もアメリカの南部で活動するミュージシャンの姿を追った本作は、今や全盛期を終えて衰退へと向かうブルースを、既に高齢化した彼らの姿と共に見つめていく…という内容。

アマプラで観ると本作が終わる直前に「ノマドランド」がお薦めに出て来るのは、空気読みすぎだ。老いてゆく米国社会/文化の一面を切り取った内容と言えるけれど…音楽ドキュメンタリーと言うより「ザ・ノンフィクション」とか「ドキュメント72時間」みたいな、取材対象への生活密着型番組を見ている様な気分になる。

とは言えブルースって音楽が元々、そうした「侘しさ」に依って立つものとも言える訳で(「黒人哀歌」という訳を当てる事もあるし)、本作も単に観ていて辛いだけの作品では決してない。ブルースとは音楽であり、生活であり人生でもあるという…そういう確信が伝わるのは素晴らしい。それもまた、ドキュメンタリー。
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2024.01.02

パコ・デ・ルシア / 灼熱のギタリスト

観てみた、クーロ・サンチェス監督によるドキュメンタリー映画。2014年公開。

1947年アンダルシアで誕生した、スペインのギタリスト「Paco de Lucía」。彼はフラメンコにおける音楽的変革に留まらず、世界的な活動を行った。本作では2014年にこの世を去った彼自身による生前のインタビューの他、関係者証言や演奏風景等の映像により「天才」ギタリストの生涯を綴る…という内容。

ジャズ/フュージョン系のリスナーならAl Di Meola、John McLaughlinと共演した(McLaughlinは本作にも登場)、いわゆるスーパーギタートリオを思い浮かべるのでは。まあ逆に言うと筆者は、その演奏しか多分聴いていないのだが。なのでこの不世出のギタリストの生涯を、簡潔に紹介してくれて有難い映画。

フラメンコにジャズ的な即興を持ち込んで、批判を受けた様だけど…でもDerek Baileyの本にはフラメンコの項目ってあった筈。詳しくないからその辺の時系列はよく判らないな。それより超絶演奏の映像だけで充分にすごすぎる。
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