観てみた、ダニエル・クロス監督によるドキュメンタリー映画。2015年公開。
黒人奴隷達の歌った音楽をルーツに持つ「ブルース」。現在もアメリカの南部で活動するミュージシャンの姿を追った本作は、今や全盛期を終えて衰退へと向かうブルースを、既に高齢化した彼らの姿と共に見つめていく…という内容。
アマプラで観ると本作が終わる直前に「ノマドランド」がお薦めに出て来るのは、空気読みすぎだ。老いてゆく米国社会/文化の一面を切り取った内容と言えるけれど…音楽ドキュメンタリーと言うより「ザ・ノンフィクション」とか「ドキュメント72時間」みたいな、取材対象への生活密着型番組を見ている様な気分になる。
とは言えブルースって音楽が元々、そうした「侘しさ」に依って立つものとも言える訳で(「黒人哀歌」という訳を当てる事もあるし)、本作も単に観ていて辛いだけの作品では決してない。ブルースとは音楽であり、生活であり人生でもあるという…そういう確信が伝わるのは素晴らしい。それもまた、ドキュメンタリー。