観てみた。川地民夫主演、鈴木清順監督映画。1960年公開。
高校生不良グループの1人・杉田次郎。彼の無軌道な生活振りは、戦時中より南原という男の援助を受け続けている、母親に対する不信からの反抗だった。だがそんな次郎を南原は心配し、彼と話し合おうとしたのだが…という内容。
当時の不良少年少女達の生態を描いた一種の青春映画だが、フランスで起きた「ヌーヴェルヴァーグ」の影響も濃厚な作品となっている。日本では大島渚を始めとする松竹の動向が有名だけれど、日活における清順監督も全くの同時期(「勝手にしやがれ」と同年!)に、こうした映画表現を物にしていたのだなと。
逆に言うと、後の同監督らしい独特の感性はまだ本作では見られない(多分もっと浮世離れした設定・舞台や、ストーリーが必要だったんじゃないかな)。ただどうしてもせせこましくなりがちの日本的な不良描写や家庭内問題を、スピーディーな展開で結構いい感じに見せてくれる手腕は、これはやはり大したもの。