2024.04.17

「人類と病 / 国際政治から見る感染症と健康格差」詫摩佳代著

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読んでみた、日本人著者によるノンフィクション。2020年発表。

人類すべてが乗り越えるべき大きな課題が、あらゆる「病」の克服である。本書では新型コロナを始め、ペストやエイズ等の感染症。更に近年先進国で問題となった生活習慣病等、国際的な取り組みの歴史を解説する…という内容。

本書の執筆を始めたのは2015年からとの事だが、実際に刊行されたのは「コロナ禍」が社会問題と化した2020年4月。実に象徴的なタイミングながら、本書は目先のトピックばかりに囚われている訳ではなく、人類と病との戦いをこれまでの歴史から振り返り、今後の課題を提示する包括的内容となっている。

興味深いのは劇的とも言える天然痘の撲滅等だけではなく、身近な生活習慣病が同列な問題として並置される辺り。国際間・企業間の利害や、個人的嗜好の尊重にその逆の貧困等…一筋縄ではいかない困難からは、コロナが一段落した様に見える今であっても、戦いにはまだ終わりが見えないのだなあ、と。
posted by ぬきやまがいせい at 21:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書