2024.04.29
「時間封鎖」ロバート・チャールズ・ウィルスン著、茂木健訳
読んでみた、カナダ人作家による長編SF小説。2005年発表。
ある日を境に、夜空から星が消えた。地球全体を「スピン」と呼ばれる膜が取り囲み、しかもその現象の外では時間が1億倍の速度で流れていた。人類は火星環境を地球化し、そこに移民を送る計画を実行するのだが…という内容。
ヒューゴー賞獲得の本作は、続編「無限記憶」「連環宇宙」へと続く3部作の最初の本。気宇壮大で意表を突くSF的アイデアと共に、等身大の人物達が未曾有の苦境に立ち向かう、一般小説的な内容となっている(父親的存在との軋轢/対立は最近「グリンプス」でも読んだので、余計に一般小説的印象を持った)。
そのせいで本書前半は(時系列が前後する構成もあってか)正直乗り切れなかったけれど、事の真相が判明してディザスター展開になってからは、ちょっとグレッグ・ベアを思わせ、相当面白く読めた。成程ヒューゴー賞だけの事はある。…でも個人的にはこれで納得してしまって、それ程続編は気にならないかも。