2024.05.31

モンスターメイカー

観てみた、サム・ニューフィールド監督映画。1944年公開。

世界的なピアニストであるローレンスのコンサート会場で、イゴール・マルコフ博士は亡妻と瓜二つの女性と出逢う。それはローレンスの娘・パトリシア。彼女に異常な執着を見せるマルコフは交際を断られた為に、父親を拉致監禁して自らの研究対象である「末端肥大症」に、罹患させてしまうのだが…という内容。

「モンスター」というのは、特殊メイク?で身体を変形させられたピアニストの事だと思うけれど、本作には着ぐるみのゴリラも登場している。そのゴリラが何をするかと言うと…別に何もしない。亡妻とヒロインが似ているのも、特に理由は無し。綺麗にハッピーエンドなのはいいとして、そういうのも皆何だかテキトー。

ただ雑でデタラメな映画ながら…博士の狂気は相当胸糞悪い(狂気と呼ぶには、考えが足りなすぎだ)。そこで怪奇映画としての一線は守っているかも。「モンスター」とは博士の事だったのだ!…とかいう感じでもないので、多分違う。
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2024.05.30

恐怖の輪

観てみた。G・E・メイザー主演、C・L・ペイロー監督映画。1961年公開。

墓地の管理人は、ルイス・モフィットという青年を回想する。医学生のルイスは、子供時代の経験から闇への密かな恐怖がある。だが毒蛇や死体解剖にも恐れない態度で、周囲からは一目置かれていた。そんなある夜彼は学生クラブ入会の試練として、死体から指輪を取って来る旨の指示を受けて…という内容。

ホラー映画、と言っていいものか。雰囲気はそんな感じだけれど、どちらかと言うと若者群像を描いた青春映画。ところが本作の出演俳優、軒並み齢が行っていて(主演のメイザーは何と当時42歳)そっちの方に恐怖を覚えるという…

本作では冒頭と結末にロッド・サーリング的な案内人が登場し、ミステリーゾーンやヒッチコック劇場みたいでもあるので(ホラーよりも)そういう気持ちで見た方がいいと思う。皮肉な結末なんかそういう味わいでしょう。本作は実に評判が悪いのだが、演出や編集はプロの仕事で素人臭さもないのはある意味皮肉。
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2024.05.29

デス・プラン / 呪いの地図(原題:I Bury the Living)

観てみた。R・ブーン主演、アルバート・バンド監督映画。1958年公開。

広大な墓地の管理人を引き継ぐ事になったボブ・クラフト。その墓地の全体配置図には死者を黒、そして存命の所有者には白のピンが刺されていた。彼が何の気もなくピンの色を入れ換えると、黒のピンが刺された者は突然の死に見舞われた。それが数度にも渡った事で、ボブは恐怖に追い詰められ…という内容。

スティーヴン・キングに影響を与え、Morisseyが「I Bury the Living」というタイトルの曲を作ったという、知られざる傑作サスペンス/ホラー。着想が仲々ユニークなワンアイデアものだけど、白黒撮影による映像も凝っていて…地図に刺されたピンを幾何学的に捉えた、この世ならざる不気味な演出は素晴らしい。

ただ(キングも言う通り)結末が批判を受ける事も多い様で、少々拍子抜けと言われても致し方ない。無茶苦茶に無理のある「計画=プラン」だしな。…とは言え、こういう拾い物的な作品が観られるのが、アマプラ見放題のいいところ。
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2024.05.27

「幕末史」半藤一利著

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読んでみた、日本人著者によるノンフィクション。2008年発表。

薩摩・長州が主導した維新により、長き徳川幕府体制が終わりを告げた、激動の時代「幕末」。本書はこれまでの勝者視点から書かれた皇国史観に物申す立場を取り、著者独自の見解に基づいて「幕末史」を語っていく…という内容。

黒船来航から西南戦争まで、聴講生を前に講義として行った内容をまとめた本書。なので「ですます」調で書かれているのに加え、(著者自身言う通り)講談っぽさもあって親しみやすい語り口だと思う。「反薩長史観」云々に関しては、自分は元々皇国史観に親しんだ訳ではないので、そうなんだ?…という感じ。

とは言え幅広い事柄のエピソードを中心に、興味深い内容(特に明治政府の件り)が続くので最後まで飽きない。…面白いのは江戸幕府の末期と、太平洋戦争敗戦の日本政府との共通点を端々で挙げている事。成る程、「日本のいちばん長い日」の著者だけの事はある。聴講生へのサービスかもしれないけど。
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2024.05.25

チェンバー・オブ・フィア

観てみた。ジャック・ヒル、フアン・イバネス監督映画。1971年公開。

カール・マンデル博士の娘・ジュリッサとマークは、火山帯の地下で奇妙な岩塊を発見する。その岩には恐怖に怯えた女性から採取される、アドレナリンを取り込んで成長する性質があった。博士達は助手を使って女性達を「フィア・チェンバー」と呼ぶ密室に閉じ込め、非人道的な実験を続けるのだが…という内容。

博士役ボリス・カーロフ、最晩年の作品であるメキシコ映画。日本未公開だが「恐怖の密室」等のタイトルで、TV放映はされたとの事。冒頭にE・A・ポオの名前が掲げられるけど、直接の原作とは言えない様な。…女性を怖がらせるシーンがやけにお化け屋敷的でヘンテコなので、本作はカルト映画と言われる模様。

その為かシーンのつながりがデコボコで、何がなんやらという「死霊の盆踊り」や「魔の巣」感があるのは確か。でもストーリー自体は案外論理的な気も(…いやそれはないか)。ひどい映画だけど、助手達はやけにキャラが立ってる。
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2024.05.24

姿なき訪問者

観てみた、W・リー・ワイルダー監督映画。1953年公開。

潜水服を思わせる奇妙な格好の怪人が現れたという、目撃証言が警察に伝えられた。それはアラスカ上空で発見された、異星人の宇宙船と関連付けられる。大規模な捜索が行われ、その異星人は服を脱ぐと姿が消えてしまう事が判明。どうやら異星人は人類と、交渉を持とうとしている様なのだが…という内容。

なので見所は「透明人間」の特撮。いつまで経ってもエイリアンが出て来ないので退屈してしまったけど、透明人間なら仕方ない。現れないのが透明人間です〜、だから。ただ1949年の日本映画「透明人間現わる」が、遥かに見せ場の多い作品だったので褒めづらい。円谷英二のすごさが逆に判ると言えばそう。

ペガッサ星人とアンヌのやり取りみたいな場面?もあって、Q辺りのウルトラシリーズに近い…などと言ったら、これは褒め過ぎか。とにかくもうグダグダなので、それこそウルトラスタッフならもっと、面白く料理したんじゃないかなって。
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2024.05.22

ローラーボール

観てみた。J・カーン主演、ノーマン・ジュイソン監督映画。1975年公開。

近未来では戦争が無くなり、人々は企業の統治下にあった。民衆は「ローラーボール」という、ローラースケートを履いた選手が円形コースで、鉄球を得点しあうスポーツに熱狂していた。選手のジョナサン・Eは、その影響力を企業から危険視された為に引退勧告を受けるのだが、彼はそれを拒否して…という内容。

東京ボンバーズ…を知ってる人は既にいい年だが、そちらのローラーゲームとは違う架空のスポーツ。無制限の攻撃が許されるなら、バイクで敵の選手を轢きまくったらいいじゃんという。その辺のルールが曖昧で、観ていて正直退屈。

国家ではなく企業が支配する、暴力的スポーツが愛好される世界という設定は実際ユニークで(敵チームが日本だったり)色々と後のディストピア作品に先駆けている。ただ背景事情を、思わせぶりに匂わせはするけれど…だから何だよという。肝心の試合が面白くないのは…よくリメイク版(2002年)を作ったな。
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2024.05.21

リサと悪魔

観てみた。エルケ・ソマー主演、マリオ・バーヴァ監督映画。1973年公開。

イタリアの古都・ナポリを訪れた観光客のリサは、悪魔を描いた壁画を見た直後、道に迷ってしまった。同乗した紳士の自動車もまた行く先を見失い、彼女達は古い邸宅に一夜の宿を借りる。壁画の悪魔を思わせる執事を始め、謎めいた人々が住まう屋敷。そこでリサは不思議な体験をする事になって…という内容。

ホラーと言うよりE・A・ポオ原作の怪奇映画といった雰囲気だが、「エクソシスト」のブームを受けて米国版(新エクソシスト 死肉のダンス)では悪魔祓い要素が付け加えられたとの事。個人的な見所は、まるでデ・キリコの絵画みたいに撮られたイタリアの風景。加えて悪魔を演じるテリー・サヴァラスの印象も強い。

まあNY市警の刑事にしか見えないけど、刑事が伊で執事をやってる時点で怪しい。怖いよりも掴み所がないせいで、不安な気持ちにはなるかな。どうせなら森山声で「旨いコーヒーを飲んでいるのは誰だ〜」と怖がらせてほしかった。
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2024.05.20

「リプレイ」ケン・グリムウッド著、杉山高之訳

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読んでみた、アメリカ人作家による長編SF/ファンタジー小説。1988年発表。

ラジオディレクターのジェフは1988年10月、43歳で死亡する。ところがその瞬間彼は、25年前の大学生だった自分として目覚めた。ジェフは以降何度も死と復活を繰り返して、その都度違う人生を歩む事になるのだが…という内容。

いわゆる「ループ物」の、半古典とも言える存在の小説。著者のグリムウッドは既に故人なのだが、本書続編を執筆中に心臓発作でこの世を去ったというのだから、彼自身ループしてるんじゃないかって。本書以後のループ物と違い「大目的」がない(誰かを救うとか)辺り、あくまでもループは状況設定なのかも。

本書はどちらかというと「教養小説」的で、人生の持つ可能性の様相を体験させる事で、主人公に成長を促すといった内容。現象の原因は明らかにされないけれど、「クリスマスキャロル」の精霊の仕業と言われても納得する。…でもまあ(大目的とまでは言えないが)、恋愛物として構成したのが一番の勝因だな。
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2024.05.18

暗闇でドッキリ(原題:A Shot In The Dark)

観てみた。ピーター・セラーズ主演、B・エドワーズ監督映画。1964年公開。

あるパリの大邸宅で射殺事件が発生し、犯人として拘束されたのはメイドのマリア。捜査を担当するクルーゾー警部は彼女にのぼせ上り、他に真犯人がいるものと疑わない。だがその後も次々に殺人が起きて、マリアの疑いは濃厚に。しかも警部の事態をかき回す迷捜査で、警察上司はもうカンカン…という内容。

これもタイトルだけ知っていた映画だけど、実はクルーゾー警部で有名な「ピンクパンサー」シリーズ第2作。ただOPのアニメにピンクパンサーは登場せず、例の曲も流れないという番外編。とは言えクルーゾー役のロジャー・ムーア…じゃなくてセラーズによる、ドタバタギャグの連発を見ているだけで結構楽しい。

そのドタバタの脱線に次ぐ脱線のせいで、真犯人解明をしてる時でも全然頭に入ってこない。まあだからどうしたという話ではあるので、別にいいけど。…なおOzzy Osbourneの曲、Shot in the Darkの邦題は、「暗闇にドッキリ!」。
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2024.05.16

冬のライオン

観てみた、アンソニー・ハーヴェイ監督映画。1968年公開。

12世紀のイングランド。国王ヘンリー2世はクリスマスの日に、和平の為に訪れたフランス王のフィリップを始め、軟禁中の身である妃・エレノア、そしてジョン、リチャード、ジェフリーという3人の息子を、自らの居城に集める。そこで繰り広げられるのは、権謀術数渦巻く駆け引きによる跡目争いだった…という内容。

これもタイトルだけ知っていた映画、なのでイギリスの歴史劇という予備知識すら無かった。観ながらリチャードという名前が出て、獅子王?…じゃあ「ライオン」はこの人の事か。と思ったら主人公は父王の方だったので、違うのかも…

原作は舞台劇なので、限定された空間に限定された人物による心理劇といった内容。中世英国史が題材だけれど、役者の演技合戦が見所と言ってよいのだろう。本作でもピーター・オトゥールとキャサリン・ヘプバーンの演技が、高く評価された。作品としては、こじんまりした家庭内争議としか見えなかったけど。
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2024.05.15

「時の他に敵なし」マイクル・ビショップ著、大島豊訳

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読んでみた、アメリカ人作家による長編SF小説。1982年発表。

更新世の時代へと時間旅行した、黒人青年・ジョシュア。彼は石器時代のアフリカで、「ホモ・ハビリス」という旧人類と接触する。ジョシュアはその集団に溶け込んで長期間生活をし、遂には子供までもうける事となるのだが…という内容。

乱暴な説明をすると、2001年冒頭「人類の夜明け」の猿人集団の中で生活する様な話。そちらに加えて、主人公自身の来歴を語る自分探し的なパートが、同時進行する構成となっている。その為SFと言うよりも、すごく一般小説っぽい印象がある。実際時間旅行ではなく(ネタバレ)だし、まあそういう事だろうなと。

社会問題・社会意識的な要素が推されるので、フラナリー・オコナーとかそういう辺りを想起したのだけれど…ネビュラ賞の長編小説部門で受賞した、立派なSFなのも確か(また「グリンプス」との類似を指摘したい…義父アホすぎ)。でもやはり一種の「青春小説」として読んだ方が、色々しっくり来る気はするかなあ。
posted by ぬきやまがいせい at 14:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書

2024.05.13

愛のメモリー

観てみた、ブライアン・デ・パルマ監督映画。1976年公開。

1959年。資産家のマイケル・コートランドは妻・エリザベスと娘のエイミーを誘拐された際に、警察の指示で偽札を犯人に渡した事から、妻子を喪ってしまう。そして16年が過ぎて、彼はイタリアのフィレンツェで亡妻と瓜二つの女性・サンドラと出逢う。運命を感じたマイケルは、彼女と婚約をするのだが…という内容。

これもタイトルだけ知っていた…と言うか、松崎しげるの歌じゃん。そちらは本作が日本公開された翌年のリリース。なので恐らくは本作から借用されたものと思われるけれど、日本ではやっぱり松崎しげるの熱唱の方が有名だろうな。

本作はデ・パルマ監督初期の作品で、ヒッチコックへの耽溺ぶりがつとに語られるところ。なのでロマンチックなタイトルとは裏腹に、サスペンスフル。同監督らしい技巧的なカメラワークや、映像表現で楽しめるけれど…少々物足りない印象がするのは、しげるの歌がないせいか。美しい人生よ〜 限りない喜びよ〜
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2024.05.11

バージニア・ウルフなんかこわくない

観てみた、マイク・ニコルズ監督映画。1966年公開。

大学教授の夫・ジョージと妻のマーサがパーティから呑み疲れて帰宅した深夜、生物学教師・ニックと妻のハニーを自宅に迎えた。更に酔いが進んだ彼らは、互いに会話を交わすごとにその内面が明らかになってゆき…という内容。

これもタイトルだけ知っていた映画だけれど、元々はディズニーアニメ「三匹の子ぶた」の劇中歌「狼なんかこわくない」をもじったもの。なのでバージニア・ウルフは直接内容とは関係ない(まあ「狼」との駄洒落だし)。で本作は酔っ払いが延々罵り合うという口論映画、「酒とバラの日々」とは内容的にも近かった。

元々は舞台劇で、ニコルズが初めての監督作として手掛けている。エリザベス・テイラーの主演女優賞を始め、アカデミー5冠に輝く本作。ジョージ役リチャード・バートンとリズは本物の夫婦なので、本作での迫真振りにも頷くところ。同監督による翌年の「卒業」より、カサヴェテスに少し先駆けた心理劇という印象。
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2024.05.10

酒とバラの日々

観てみた。ジャック・レモン主演、B・エドワーズ監督映画。1962年公開。

宣伝部で働くジョーは、仕事相手の会社秘書・カーステンと出会う。やがて交際が始まって結婚、一女をもうける2人。だが元々酒量の多いジョーの勧めで飲酒を始めたカーステン、夫婦共々アルコールに溺れる生活を送る事に。酒の為に仕事も失ったジョーは、妻の父親の許で心機一転を図るのだが…という内容。

これもタイトルだけ知っていた映画だけれど、先日アニメ「バーテンダー」で名前が挙がっていたので、観ておくかと。…そちらでネタにしていたのが「アレキサンダー」で、チョコ好きの嫁に薦めたせいで破滅のきっかけになったカクテル。

本作はアルコール依存症の悲惨さをこれでもかと描き、類似作「失われた週末」にあった甘さすら吹っ飛ばしている。ジャック・レモンが狂気じみた熱演を見せてくれているけど…個人的には娘が可哀想だなって。バーテンダーを見てアレキサンダー飲みたい、と思った直後にこれを観たら、そんな気も吹っ飛んだ。
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2024.05.08

地上最大のショウ

観てみた。ベティ・ハットン主演、セシル・B・デミル監督映画。1952年公開。

ブレイデンが監督を務めるサーカス団は、集客の為に空中ブランコの花形スター、セバスチャンを迎える事にする。だが同サーカスにはホリーがおり、彼女との間で互いに危険な演技を披露しあうセンター争いが始まってしまう。ある日のショーでセバスチャンは、自らネットを外して新たな技に挑み…という内容。

これもタイトルだけ知っていた映画…だけど、先日の「フェイブルマン」でスピルバーグ監督を夢中にさせた作品と知って、観ておくかと。本作は当時行われたサーカス興業の模様を、案外細部に渡って描写していて面白いのだが…スピルバーグはそれより、クライマックスの鉄道事故の方に興味津々だったという。

サーカスの規模が思った以上に大きく、その運営や人間模様(これはまあ結構創作入ってるけど)等、パフォーマンス共々楽しめる映画だと思う。古き良き米映画で胡散臭さもないから、スピルバーグ両親が初映画に選んだのかな。
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2024.05.06

天国から来たチャンピオン

観てみた。ウォーレン・ベイティ、バック・ヘンリー監督映画。1978年公開。

アメフト選手のジョーは、スーパーボウル出場を前に事故死してしまう。ところがそれは天国側の手違い、現世へ戻ろうにも肉体は遺灰になってしまった。そこで彼は裕福な男、ファーンズワースの身体を借りて復活を果たす。大富豪が関わる社会的問題に取り組む一方、アメフトへの復帰を目指して…という内容。

これもタイトルだけは知っていた映画。でも別に「チャンピオン」じゃないんだけど…と思ったら、企画段階ではモハメド・アリ主演によるボクシング物だったそう。映画「幽霊紐育を歩く」のリメイクだから、そちらの主人公が元々ボクサー。

「幽霊になって天国から戻って来る」という作品の走りとの事だが、今見るとある意味転生物。金持ちとして社会貢献、アメフトでも大活躍とまさに無双…ただそう都合よくばかりもいかないのは、当時っぽいのかな。レバーシェイクなんて妙な飲物は、前々年公開のロッキーっぽい?…これもボクシング物の名残か。
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2024.05.05

いちご白書

観てみた、スチュアート・ハグマン監督映画。1970年公開。

1960年代。ウエスタン大学では校舎建設に関して生徒と学校側とで意見が対立し、講義も停止されていた。そんな時ボート部のサイモンは好奇心から、学生達に占拠された一角に入り込む。そこでリンダという女学生と知り合い、彼女と交際を深めると共に、活動にものめり込んでいく事になるのだが…という内容。

いつか君と行った映画(行ってない)…まあタイトルばかりが有名なので、観ておくかと。アメリカンニューシネマの1作と言われる通り、ドキュメンタリー的手法で等身大の青春が描かれ、Neil Young等の劇中音楽が当時を忍ばせる。

案外恋愛要素(そして青春/祭りの終わりという寂寥)もあるので、ユーミンの「〜もう一度」も本作のイメージを的確に切り取っていたんだな。当時の若者の心象風景を映画にした事で共感を呼んだ、のかなと想像は出来るけれど、今見ると少々だるいかなあ。…でも「爆裂都市」の元ネタ?、とか考えると面白いかも。
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2024.05.03

フェイブルマンズ

観てみた、スティーヴン・スピルバーグ監督映画。2022年公開。

1952年。ユダヤ人家庭に生まれたサミー・フェイブルマン少年は、初めての映画を観て以来、8oカメラに夢中になる。仲間を集めて西部劇や戦争映画を撮影し、彼の映画への情熱と才能は花開いていく。ところがカリフォルニアへ転居したサミー、学校の人間関係と家庭内で両親の離婚問題に直面し…という内容。

スピルバーグ自身の少年時代を元にした、自伝的作品。ネタバレすると描かれるのはプロとしての監督デビュー直前なので、(その後の大成功を知らなければ)主人公の境遇や、特に母親に対して相当辛辣な為、かなり暗い印象の作品だと思う。まあ後は自慢話みたいになりそうなのを、自制したのかもしれない。

逆に言うと、彼が手掛けた作品を知っていれば楽しめるのでは。近年のスピルバーグに関しては「映画史」的な視点を感じるのだが、本作も某監督との邂逅等からは、自分自身を映画史の一部として位置付ける意図はあるのかもなと。
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2024.05.02

ターミナル

観てみた、スティーヴン・スピルバーグ監督映画。2004年公開。

クラコウジアという国からNYの空港にやって来たと、ビクター・ナボルスキー。ところが母国が政変で消滅した為、国籍を失って入国出来なくなってしまった。街へ出る事すらかなわない彼は、不慣れな英語を習得しつつ金銭を得て、空港内での生活を続ける事に。当初こそ煙たがられていたビクターだが…という内容。

一応は原案となる実話はあったとの事だが、本作は一種のファンタジー。いかにもちょっと前のスピルバーグらしい作風の一方で、フランク・キャプラっぽい感じもあるかも。そうした「善人による御伽噺」的ストーリーよりも、個人的には前半の「超現代施設での孤独なサバイバル」、という展開の方が楽しめたかな。

逆にトム・ハンクスが孤島でサバイバルした、「キャスト・アウェイ」は2000年。監督こそスピルバーグではないけれど、姉妹編的な見方をしても面白いかも。…逆と言えば911の後だからこそ、本作を作りたかったというのも理解できる。
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