2024.06.17
「新撰組顛末記」永倉新八著
読んでみた、日本人著者による回想録/ノンフィクション。1971年発表。
1839年に江戸で誕生した「永倉新八」は、幕末の激動の中「新選組」の二番隊組長として結成から崩壊まで見届け、その後も生存者として人生を全うした。本書は彼が1913年、小樽新聞の記者を相手に口述した回想録…という内容。
本書は連載記事「新撰組 永倉新八」を改題し、「同志連名記」等を加えて刊行されたものの文庫版。新聞記者が実際の執筆をしたからか案外客観的な記述が多く、当事者としての心情・感懐は省かれている様な印象がある。それでも内戦時代の殺伐とした状況が、簡潔な文章からも伝わって来て恐ろしくなった。
自分は永倉なら、池波正太郎「幕末新選組」で先に知ってはいたものの、やはり読んだ感覚は違っているな。有名な池田屋襲撃等でも、当事者ならではの凄惨な記述など他では得難いものだろう。…因みに池波の本は、「行殺新選組」(永倉が追加されたふれっしゅ)の事前勉強として読んだ。士道不覚悟で切腹。