
読んでみた、日本人著者によるノンフィクション。1996年発表。
忍藩武士として幕末を送った先祖を持つ著者が、それを起因に「明治維新とは」を振り返る。本書では戊辰戦争と西南戦争という、大きな試練に向かった武士達の想いとは?、という近代日本への道程を再検証していく…という内容。
…という事の様だが、戦争自体を詳述する訳ではなく割と維新に関する総論的な内容。元々は講演として行った内容を書籍化したもので、先日紹介した「幕末史」と近い感じながら、エピソード集としてはそちらに軍配が上がる。本書は著者が意図する程には、内容の焦点も絞り切れていないので、致し方ないな。
期待したものとは違ったけれど、(執筆の発端になっただけあって)新時代を前に滅びゆく武士への共感があるためか、本書の端々から物悲しさが感じられるのはいい。上野公園の銅像こと、ラストサムライ西郷さんの最期を目の当りにしたら、そりゃ新政府軍の兵士も戦場で土下座するわと。…映画の話ですが。