観てみた、フリッツ・ラング監督映画。1936年公開。
ある田舎町を婚約者のキャサリンに逢う為、自動車を走らせていたジョー。だが彼は発生中の、誘拐事件の犯人と誤認されて投獄。しかも怒りに我を忘れた群衆が暴徒化して、留置場に火を放った。辛くも逃げ延び姿を隠したジョーだが、彼をリンチ殺害したものとして町の住民22人が裁判にかけられ…という内容。
本作はナチス政権を逃れて亡命した、ラング監督の渡米後第1作。テーマこそ違っているものの、ドイツ時代の代表作「M」と同じく法廷物なのは興味深い。タイトルが勇ましいから復讐物かと思ったんだけど…まあ、ある意味そうか。
一種のサスペンス要素が普遍的ではあるものの、群集心理や偏見が引き起こす冤罪という本作のモチーフは、いかにも(イージーライダー等を生み出した)アメリカっぽいものと感じられる。それでも最終的には社会正義を貫いた主人公像も、(フランク・キャプラ風人物として)アメリカ的と言うべきかもしれない。