2024.07.31

「歴史群像シリーズ特別編集 / 決定版 図説・戦国武将118」学研刊

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読んでみた、日本の出版社による歴史ビジュアルムック。2001年発表。

織田信長、豊臣秀吉、徳川家康…戦国時代には彼ら天下人のみならず、日本全国で綺羅星の如き武将達が覇を競った。本書はそれら118名の武将を網羅し、豊富なビジュアル資料と解説文を元に紹介するものである…という内容。

本書は(どれだけ紙幅があっても足りない)信長でも4ページを上限にしているので、文章による解説はほぼ触りだけ。その代わりに、肖像画・家紋・花押・印章・軍旗・具足…といった戦国時代を彩るビジュアル要素をカラーで掲載する事により、言わば「見る武将カタログ」として、ムックの強みが出ておりユニーク。

家紋や花押が何種類もあるというのも知らなかったし、それをまとめて収録しているのもすごい(まあ歴史マニアでもない自分には、すごいとしか言えない)。…ただし当然武将各々を深く知るには無理があるけれど、「名前だけでも覚えて帰ってください」という以上のマニア情報が得られる、よい本ではないでしょうか。
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2024.07.30

処女の生血

観てみた。ウド・キア主演、ポール・モリセイ監督映画。1974年公開。

ルーマニア貴族のドラキュラ伯爵は、「処女の生血」が無いと生きられない体質。既にそれが叶わなくなった故郷を去り、カトリックのお陰で処女が多く現存するローマへと向かった。その地で彼は、ディ・フィオリ侯爵の4人の娘と出逢う。しかし彼女らは処女どころか、下男のマリオとの情交に耽って…という内容。

非処女の血を吸うと顔が緑色になって、ゲーゲー吐くドラキュラが見られる映画。おまけに超弱くて、結局切り株になって退治される。シュールギャグ?…としか思えないけれど、その無残な様は確かにホラーと言えるかもしれない。

本作も前作「悪魔のはらわた」(1973年)と同じく、アンディ・ウォーホルのプロデュース(名義貸し)。加えて本作には何故か、ロマン・ポランスキーやヴィットリオ・デ・シーカがゲスト出演している。…珍品と言うか馬鹿馬鹿しい映画だけど、黒沢清監督は「泣ける」と言っていた。そういう感性は、凡人と違うのだなぁ。
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2024.07.29

哭悲 / THE SADNESS

観てみた。ロブ・ジャバズ脚本、監督映画。2021年公開。

「アルヴィンウイルス」と呼ばれる、新型感染症が流行中の台湾。ある朝ジュンジョーは同居中の恋人・カイティンを職場に送った後、街中の異変に気付く。どうやらウイルスに感染した人々が暴徒化し、次々に暴行・殺人を犯し始めたのだ。ジュンジョーはカイティンを救うべく、彼女の許へ向かうのだが…という内容。

台湾製作のホラーだが、本作が初監督のジャバズはカナダ出身。ゾンビと言うか、ウイルス感染者が暴れるクレイジーズ系。しかも性的な方面でも常軌を逸してる辺り、やりすぎなゴア描写と共に不快度の高い作品となっている。

ただ紛れもなくタガの外れている、これはヒドイとしか言えない内容は、ホラー作品としてかなり質が高いとも認めざるを得ない。特に凶暴化し「黒目」になった感染者が、ニヤニヤ笑うんだけど…それがみんないい顔してる。こういう辺り(カナダの人が監督していても)台湾と言うか、アジア系ならではの味じゃないかな。
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2024.07.27

地獄の警備員

観てみた。久野真紀子主演、黒沢清監督映画。1992年公開。

ある商社で新設された、絵画の取引部門で働くことになった成島秋子。一方その同日に警備員として入社した富士丸という元力士は、嘗て殺人を犯したものの精神鑑定で無罪となっていた。だが富士丸はここでも彼の周囲の者を、次々に斬殺してゆく。秋子もまた富士丸に、命を狙われる事となって…という内容。

黒沢監督の初期作品で、「スウィートホーム」と「CURE」との間に作られた橋渡し的な映画。…と言うか「ほん怖」が同時期の発売なので、Jホラーとしてまだ十分に咀嚼できていないという意味でも橋渡し。むしろ同時期の公開なら「ミカドロイド」(1991年)もなので、個人的には大差ないなって気がしてしまったよ。

とは言えスラッシャー役が、「孤独のグルメ」でブレイクする前の松重豊だったりと、妙な珍品感がある。長身で標準体型から外れたシルエットに、魔人加藤的な雰囲気があったりもするので、こっち方面で有名になってもよかった。
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2024.07.26

魔人ドラキュラ

観てみた、トッド・ブラウニング監督映画。1931年公開。

来訪者を支配し、トランシルヴァニアの居城から英国へと渡った「ドラキュラ伯爵」。吸血鬼である彼はロンドンに現れて、ミナという女性に近づき彼女を襲う。科学者のヘルシング教授は伯爵の正体を吸血鬼と見抜き、血を吸われ配下になりかけたミナを救うべく、ドラキュラとの対決に赴くのだが…という内容。

ブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」初の正式な映画化(ムルナウのは無許可)で、ベラ・ルゴシ演じるドラキュラがその後のイメージに多大な影響を与えた事で知られる。…以前から何度か触れているけど、ようやく観られた。

まあ後の決定版、クリストファー・リー演じるハマー・プロ版「吸血鬼ドラキュラ」(1958年)の後では少々物足りないものの、今観てもルゴシの存在感は大したもの。彼を一躍スターにしたというのにも納得だ。ただ作品的には、余りにも呆気なくドラキュラが滅ぼされてしまうので、評価が今一つというのにも納得だ。
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2024.07.24

悪魔のシスター

観てみた、ブライアン・デ・パルマ監督映画。1973年公開。

女性記者のグレースは、ある日向かいの建物で黒人青年が殺害されるのを目撃。警官と共に乗り込んだその部屋には、ダニエルという女性がいたきりで、死体を始め殺人の痕跡すらなかった。釈然としない彼女は探偵から得た手掛かりで、ダニエルには双子の妹・ドミニクがいた事を知るのだが…という内容。

同監督初期の代表作で、バーナード・ハーマンの音楽起用を始め、ヒッチコック作品から強い影響を受けている。例をいちいち挙げていたらキリがないと言うか、全編そうとしか言えないんだけど…ただシャム双生児を題材に採り上げ、狂気と異常と悪趣味に大きく踏み込んだ感覚は、ヒッチコックとは違っているかも。

一体どう解釈したらいいのか、困惑するラストとか…言うてもやっぱりこの混沌とした感触は、デ・パルマらしいと言うべきなのだろう。混沌としたまま、圧倒的な速度で突き抜ける次作「ファントム・オブ・パラダイス」は、この翌々年公開。
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2024.07.23

「応仁の乱 / 戦国時代を生んだ大乱」呉座勇一著

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読んでみた、日本人著者によるノンフィクション。2016年発表。

室町時代中期に発生し、11年にも及び京周辺を荒廃させた戦乱である「応仁の乱」。大きな歴史的事件ながら、その実情を理解しにくい同乱を、経覚と尋尊という僧の日記を手掛かりに、同時代人の目がいかに捉えたかを探っていく。

…という明確なコンセプトがあるのに、やっぱり判りにくいのが応仁の乱。結局は他の時代の戦と同じく権力闘争なんだろうけれど、登場する関係者に有名人が誰一人いないせいで、(華やかなスター揃いの戦国時代と違って)どれだけ説明を尽くされても、誰が誰やら何が何やらとなってしまう。おまけに勝利者などいない戦いに疲れ果てて、ぐだぐだのまま終わるのもよく判らない感じだしなあ。

とは言え戦乱の中での文化や生活等にも触れているので、無味乾燥な人名箇条書きだけでない辺り面白く読める。ご存じの様に本書が刊行当時、歴史書としてはかなりのヒットになった(しかも応仁の乱で)というのも、実際成程なと。
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2024.07.21

イベント・ホライゾン

観てみた、ポール・W・S・アンダーソン監督映画。1997年公開。

海王星付近で消息を絶った宇宙船「イベント・ホライゾン」号。その7年後再び姿を現した同船を調査する為、開発者のウェアー博士が出発する。ミラー船長始めクルーが同船に乗り込むと、爆発が起きて救助船が破壊されてしまう。どうやら同船は超光速航行により、異次元の闇に行って来たのであり…という内容。

宇宙船内を舞台にしたSFホラー。と聞いたらまず、「エイリアン」を連想するけれど…そちらは勿論「惑星ソラリス」や、「ヘルレイザー」等の要素がごった煮になった感覚。要するに古典的な幽霊船話なのだが、(ゲーム原作映画がお得意な)同監督らしく騒々しいノリのお陰か、結構カルト的な人気が出たらしい。

もし「地獄があるとしたらどこにある?」、という答えが「事象地平線の向こう」って着想は、個人的には結構アリだと思うんだけど。「回路」っぽいし。…なのでどうせやるなら本作みたいに騒がしくでなく、Jホラー的な感じがよかったな。
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2024.07.20

ほんとにあった怖い話 / 新装版

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見てみた、鶴田法男監督によるオリジナルビデオ・ドラマ。2022年発表。

1991年から翌年にかけて、ビデオで3作発売された「ほんとにあった怖い話」。読者投稿の体験談を映像化した同シリーズは、画期的な演出や映像表現で「Jホラー」誕生のルーツとなった。本DVDはシリーズ全話に特典映像を加え、2004年にリリースされた「〜完全版」の、パッケージ替え新装版…という内容。

TV番組として有名だが、スタートはビデオの本作。鶴田監督が「Jホラーの父」として呼ばれる様に、本作に影響を受けた作り手が後の世界的なJホラー隆盛をもたらした。…という歴史的な位置づけからばかり語られるけれど、今見ても仲々こわい。低画質のビデオ映像が本物っぽさを感じさせて、いい味出してる。

特に語り草なのが「夏の体育館」「霊のうごめく家」。そちらでの幽霊描写は、黒沢清監督がそのまま借用している感じ。個人的には先に、脚本を担当した小中千昭の本を読んでいたので、「小中理論」の実例が見られたのもよかった。
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2024.07.18

エンティティー / 霊体

観てみた、シドニー・J・フューリー監督映画。1981年公開。

ロサンゼルスで一男二女の子供達と暮す女性、カーラ・モーラン。だが彼女は度々、姿の見えない何者かにレイプされるという問題を抱えていた。その現象は子供らも知覚しているのだが、精神科医からは幻覚と診断される。そんな時心霊を研究する学者と出逢い、本格的な解明が始まったのだが…という内容。

実在の女性、ドリス・ビザーに起きた現象を題材にしたホラー映画。一種の「騒霊」だが、有名なトビー・フーパー監督の映画「ポルターガイスト」の公開は翌年。本作はむしろ(当然?)、エロティックな描写の方が話題になっていた。

当然CGは利用できないので全部物理SFXだが…本作では目に見えない幽霊の「指」を表現する為に、噴射空気を当てて女性の胸を変形させたそうで結構感心する。本作は怖いと言うより、あまりにも迷惑で気の毒になってくる(バン!バン!バン!という音がまじうるさい)。…でも思ったより面白い映画ではあった。
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2024.07.17

ホステル

観てみた。イーライ・ロス脚本、監督映画。2005年公開。

欧州を旅行中の大学生、パクストンを始めとする3人組。彼らは女の子とのファック目当てに、スロバキアの田舎町にある「ホステル」に投宿する。だが仲間のオリー、次いでジョッシュまでもが姿を消す。彼らは実は当地の秘密クラブで拘束され、拷問・惨殺されたのだ。そして、バクストンまでもが…という内容。

クエンティン・タランティーノが製作総指揮を担当したホラー映画。だからなのか、ホラー映画と言うよりも…耳削ぎにばかりやたら着目した、「レザボア・ドッグス」みたいな感覚。一方的にやられるばかりじゃなく、脱出サスペンスありのガンアクションによる復讐展開ありの作品なので、なんだかそんな印象なんだよな。

とは言えキッツいゴア描写や恐怖演出というのも勿論あるので、ホラーと言って差し支えはないけれど。でも冒頭から暫く続くコメディ展開のお陰で、シリアスにはなり切れないので…「グラン・ギニョール」的、とでも言うのが適切かもな。
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2024.07.16

「合戦の日本地図」武光誠、合戦研究会著

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読んでみた、日本人著者によるノンフィクション。2003年発表。

日本の歴史上で行われて来た、数千〜数万人規模による勢力同士の激突「合戦」。本書はそれらの中から代表的な20の戦いを採り上げ、各地方ごとに分類して紹介する事で、地図・地理的な合戦の特徴を解明する…という内容。

この本面白い…なぜなら、「合戦の事しか書いてない」から。他の歴史解説書だと合戦を紹介するにも、(当たり前ながら)それ以外の準備段階やその後の結末等も書かれる訳だけど、本書はそれぞれの合戦に関して、カタログ的に紹介するだけ。無論新書なだけに各論的には薄い内容だけど、そこは仕方ない。

箱館戦争から耳川の合戦まで、北から南下して紹介しているので時系列的には無茶苦茶。でもその事によってむしろ、空間的な広がりとして俯瞰する事が出来るのはよいかも。実際合戦場に関して名前しか知らなかった、というのが多すぎて我ながらどうかと思ってしまった。関ケ原にも(一応は)行ってるのにな…
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2024.07.13

ヘルハウス

観てみた。クライヴ・レヴィル主演、ジョン・ハフ監督映画。1973年公開。

物理学者のバレット博士はある富豪からの依頼で、「ヘルハウス」と呼ばれる呪われた邸宅の調査を行う事に。かつてその建物では、ベラスコという男が親類縁者の惨殺体と共に姿を消して以来、危険な心霊現象が起きていたのだ。博士は自身の妻や霊媒師達と共に、同家の謎を解こうとするのだが…という内容。

本作では脚本も担当している、リチャード・マシスンの小説「地獄の家」が原作。近い題材で、世界中にオカルトブームを巻き起こした映画「エクソシスト」とは同年の公開だが、本作の方が半年ほど早い。つまりまあ本作はブームに関係ないという事だけれど…今観てもスリリングで怖い辺り、名作と言われるだけある。

何にもないところを、何かありそうに思わせる。俳優の演技や演出の巧みさが、画面に映っているもの以上の恐怖を喚起させる辺り、ホラー映画のお手本にすべき見事な一例と言える。と言うか今でも色々の作品が影響下にあるよね。
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2024.07.12

デモンズ2

観てみた、ランベルト・バーヴァ監督映画。1986年公開。

トレーニングジムを始め、様々な設備が入った高級マンション。その一室では若者達が誕生日パーティーに集まり、大騒ぎをしていた。だがそこに嘗て映画館を恐怖のどん底に叩き落した、悪魔の群れ「デモンズ」が出現する。人々を襲い、そして襲われた者がデモンズとなって、恐怖は拡大して行き…という内容。

「デモンズ」(1985年)の続編である本作。前作と同じくダリオ・アルジェントが、脚本と製作を担当している。それに加えて本作では、彼の愛娘であるアーシア・アルジェントが出演して、「スクリーミング・クイーン」デビューを飾っている。

内容としてはまあ前作と大体一緒。でも高級マンションが舞台という事で、個人的にはクローネンバーグ監督「シーバース」っぽくなったなと…別に雰囲気が、ではないけど。雰囲気なら映像的には当時っぽく、すごくMTVとかそういう感覚がある。浮ついたバブル?的世界が崩壊するのは、愉快かもしれんね。
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2024.07.10

ジーパーズ・クリーパーズ

観てみた、ヴィクター・サルヴァ監督映画。2002年公開。

トリッシュとダリーの姉弟が帰省の為に田舎道を走行中、古いトラックに煽られる。しかもその車の男が、死体らしき包みを穴に捨てる姿を目撃してしまう。好奇心に駆られて調べると、地下に死体の山が築かれていた。救けを求める姉弟、だが実は人知を超えた存在の男が2人を執拗に追い回し…という内容。

フランシス・フォード・コッポラ製作総指揮のホラー。と聞くと立派そうだけど、B級…と言うか、スティーヴン・キング原作の映画化作品っぽい。「死霊伝説」とかそういう辺りの。序盤の雰囲気作りの巧みさに反して、後半失速と言うか凡庸化する辺りとか。まあ実際人気があった訳だし、手本にはしたんじゃないかな。

こういうのを観ると(まさに同時期)日本のホラー映画こと「Jホラー」が、アメリカでも受けたという理由がよく判る。脳筋ホラーアイコンの時代でもなかったろうし。…クリーパーもジェイソンやフレディの頃なら、もっと人気出たのかなあ。
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2024.07.09

レリック

観てみた、ピーター・ハイアムズ監督映画。1997年公開。

アマゾン奥地で行方不明となった人類学者から、シカゴ歴史博物館に荷物が届く。中身は遺物の破片と、カビの生えた葉のみ。一方やはりブラジルを発った貨物船と同館内で、脳下垂体を抜き取られた惨殺死体が発見される。警察が事件を捜査する中、パーティが開催された博物館に危機が迫って…という内容。

粗筋だけでは判らないけれど、本作はモンスターが大暴れするホラー映画。本格的に活用されたばかりで発展途中のCG映像に加えて、グロ満載の内容は、今観るとB級としか言いようがない(臆面のないエイリアンからの引用とか)。

でも最近ラリー・ブキャナンの映画ばかり見ているせいで、本作は物凄く立派な作品に思える。モンスターに関する説明も尤もらしい理屈が付けられているし、何より見た目(顔がMotörheadのマスコットにちょい似)がちゃんとしてるのは偉い。比較対象がブキャナンでいいの?…という気はするけど、まあいいや。
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2024.07.07

呪呪呪 / 死者をあやつるもの

観てみた。オム・ジウォン主演、キム・ヨンワン監督映画。2021年公開。

死人が殺人を犯すという事件が発生。ネットニュースのキャスターであるイム・ジニは、スンイル製薬が新薬治験の為、過去に100人もの命を奪っていたと知る。死人復活はインドネシアの秘術によるもので、製薬会社をその100人が襲う。何とか撃退したものの、その背後には真犯人の呪術者がいて…という内容。

この映画、実は「謗法 運命を変える方法」というTVドラマの続編らしい。勿論筆者は前作を未見なので、オカルト設定や人物関係等、わかったようなわからないような感じだけれど…一応ストーリー自体は、本作内で成立していると思う。

なんか企業の悪辣さを描いている辺り社会派というか、相棒のスペシャルか劇場版みたいなもんかと思ったり。「新感染」で監督を手掛けた、ヨン・サンホが本作では原作・脚本なので、むしろホラーというよりエンタメ性の強いアクション物。100人も同じコスで襲ってくるのは、仮面ライダーの映画を連想させたしな。
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2024.07.05

クワイエット・プレイス

観てみた。ジョン・クラシンスキー主演、監督映画。2018年公開。

地球上各地に、人々を襲う謎の怪物が出現する。怪物は音に反応し、僅かな物音を立てただけで命の危険に身を晒す事に。アボット一家は人里離れた一軒家で、沈黙を守りつつ日々を送っていた。ところが幼い末子が、未熟さから絶命。失意の一家に対してその後も、怪物の脅威は終わる事なく続き…という内容。

音を立てると襲ってくる怪物、という点だけ見ると「トレマーズ」(1990年)と大差ないけれど、本作は無音の生活を続けないとならないシチュエーションが結構ユニーク。作品にある種、荘厳な雰囲気を醸し出して、期待させるのだが…

かなり無理があるというか都合のよさばかり目に付いて、「〜するべきでは?」というのが幾つも思い浮かぶ。ツッコミ待ち映画になってしまっているのはなあ。日本の観客は比較的厳しい意見が多い中、父親の自己犠牲愛で米国の批評家大絶賛なのかな。もしかしたらこれが噂に聞く、「全米が泣いた」映画かも。
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2024.07.04

呪餐 / 悪魔の奴隷

観てみた。タラ・バスロ主演、ジョコ・アンワル監督映画。2022年公開。

1984年。インドネシア・ジャカルタ北部に建つ高層アパートに、4年前のある事件の後に入居したリニと父親がいた。ところが建物のエレベーターが故障して、住民の大量死亡事故が発生してしまった。死体の埋葬も済まないうちに、アパートを豪雨が襲う。停電による暗闇の中、彼らは恐怖の体験をして…という内容。

インドネシアで大ヒットしたホラー映画。でも実は本作、2017年に公開された「悪魔の奴隷」なる作品の続編だとの事。なので正直観てもよく判らん事ばかりなのだが…インドネシア・ホラーというだけで、物珍しさで割合に楽しめた。

死体埋葬に関する風習の違いなどは、へえと思いながら観られたものの…やっぱり期待感や盛り上がり的には、エレベーターまでかなあ。南国らしい…とか言ったら悪口になっちゃうけど、もっと湿度の高い猥雑さで、映像からもムンムンと不快感が出ていればな。そういうのを出すにも、予算が必要って事かもな。
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2024.07.02

エスパレイザー

観てみた。南郷勇一主演、河崎実監督映画。1983年公開。

私立探偵を営む南郷の前に、米国秘密組織の男が現れる。どうやら彼の旧友・上郷が「エアロゾルα」なる超兵器で、何事かを企んでいるというのだ。三宅を加えた彼ら3人は、かつて事故で大量の宇宙線を浴びた為に、エスパーをも超える存在となっていた。「エスパレイザー」南郷は、その危機に対し…という内容。

同監督が手掛けた自主制作特撮映画。なお主演の南郷というのも監督自身、おかげで登場人物みんな森田健作に見える。…作風は現在と同様にコメディ要素が豊富で納得するけれど、やはりこの(ミニチュア破壊を含む)本格的な特撮と内容は、当時の自主映画界隈ではダイコンフィルムと双璧と言えるだろう。

多彩な人脈が協力していて驚くけれど…ナレーションを担当した石坂浩二などは、実家の河豚屋の客だというコネによるものだとか。宇宙船誌の記事で知って以来観たかった作品。いや、確かにすごいものを観させてもらいましたわ。
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