2024.07.23

「応仁の乱 / 戦国時代を生んだ大乱」呉座勇一著

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読んでみた、日本人著者によるノンフィクション。2016年発表。

室町時代中期に発生し、11年にも及び京周辺を荒廃させた戦乱である「応仁の乱」。大きな歴史的事件ながら、その実情を理解しにくい同乱を、経覚と尋尊という僧の日記を手掛かりに、同時代人の目がいかに捉えたかを探っていく。

…という明確なコンセプトがあるのに、やっぱり判りにくいのが応仁の乱。結局は他の時代の戦と同じく権力闘争なんだろうけれど、登場する関係者に有名人が誰一人いないせいで、(華やかなスター揃いの戦国時代と違って)どれだけ説明を尽くされても、誰が誰やら何が何やらとなってしまう。おまけに勝利者などいない戦いに疲れ果てて、ぐだぐだのまま終わるのもよく判らない感じだしなあ。

とは言え戦乱の中での文化や生活等にも触れているので、無味乾燥な人名箇条書きだけでない辺り面白く読める。ご存じの様に本書が刊行当時、歴史書としてはかなりのヒットになった(しかも応仁の乱で)というのも、実際成程なと。
posted by ぬきやまがいせい at 21:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書