観てみた。菅原文太主演、岡本喜八監督映画。1978年公開。
昭和25年の北九州。加熱するヤクザ同士の抗争を懸念した警察は、野球大会の勝敗での解決を提案する。岡源組の加助は当初は難色を示していたものの、キャッチャーとして試合に参加。凄腕の投手・銀次と共に勝ち進んでいく。ところがお仙という女性の絡んだ三角関係、更に宿敵・橋伝組の策謀で…という内容。
コメディ色の強いヤクザ映画だが「仁義なき戦い」シリーズを終え、既に「トラック野郎」シリーズが代名詞となっていた菅原が、パワフルに主人公を演じている。田中邦衛や岸田森といった曲者役者陣が笑いを誘う一方、北大路欣也だけは真面目っぽい役柄だが…結局は無茶苦茶になってしまうのだから、一緒か。
先日放映されたNHKの番組(「肉弾」成立等を日記から検証する内容)を見た後だと、岡本監督の戦中・戦後観に想いが及んでしまうけど…本作の吹っ切れた馬鹿馬鹿しいまでのナンセンスさ見るに、あまり気にしなくていいのかも。
2025.01.31
2025.01.29
「別冊ベストカー / The 重建機」三推社、講談社刊

読んでみた、日本の出版社による自動車雑誌別冊/ムック。2003年発表。
建築・土木作業用の特殊車両である建機の中でも、特に巨大なものを「重建機」と呼ぶ。本書では巨大ブルドーザーや巨大トラックを始めとする重車両を始め、クレーンやシールドマシンといった大規模建機類を紹介していく…という内容。
先日紹介した「The 建機」が全般的な内容なのと違い、本書では巨大建機に絞って採り上げている。まあ海外には有名な「バケットホイール・エクスカベータ」を始め尋常じゃない代物があるけど(日本メーカーも建造はしている)、国内でもこんな家みたいな大きさの車両が走り回っているというのにはワクワクする。
本書では六本木ヒルズの建設に使用された「クライミングクレーン」や、シールド工法を詳細に解説している辺り興味深い。…多分興味深い人もいるだろう、自分はそんなにシールドマシンに興味津々な人っているのかな?、と首を傾げたけれど。とは言え各車両の内部や細部等、写真も多く掲載されており楽しく読める。
2025.01.28
「別冊ベストカー / The 消防車」三推社、講談社刊

読んでみた、日本の出版社による自動車雑誌別冊/ムック。2001年発表。
火災の発生に対して、現場に急行し消火や救助活動を行うのが「消防車」。ポンプの力で強力な放水を行うポンプ車に、ハシゴを伸ばして高所の火事を消火するハシゴ車等。そうした代表的な車両に加えて、水上火災に対応する消火艇やヘリコプターといった、機材の側面から消防活動を紹介していく…という内容。
ハシゴ車はハシゴ車でも、ハシゴが途中で曲がって高所の障害を乗り越えて放水する「先端屈折型」というのが、トピック的に紹介されている。刊行当時の最新式だったという事だろうけど…その存在を、自分は今回初めて知った訳で。
それ以外にも多種多様に、機能分化した車両が見られて面白い。あんまりにも多様なので、見ただけではよく判らんな…と思ったものの、安心ですよ。車体の横に大抵は「水難救助車」「原子力災害対策車」(物騒だな)といった、名前がちゃんと書いてあるので。しかし意外に、ウニモグの採用が多いのも興味深い。
2025.01.26
「別冊ベストカー / The 特装トラック」三推社、講談社刊

読んでみた、日本の出版社による自動車雑誌別冊/ムック。2001年発表。
通常のトラックに、特殊用途の装備・機能を加えた「特装トラック」。コンクリートミキサー車やタンクローリーにクレーン車といった、様々な業務に携わる多数の車両を、カラーのグラビアや企画記事等により紹介していく…という内容。
上記の様な車両は「特装」として判りやすいけれど、元々はトラックなので何らかの物品を運ぶ為のものがやはり多い。特に冷凍車なんか結構紙幅を割いて解説している…まあ、どんだけ読者需要があるものかはよく知らない(ミキサー車のグルグル回る部分の仕組みとかなたら、個人的には面白いと言えるのだが)。
とは言え相当に多彩な車両を紹介しているので、今後道端でそうした車両が作業している場面に出会ったら、じっくり見てしまうかもしれないな。…ちなみにバキュームカーも載ってはいるものの、(カラーではなく白黒で)扱いが小さい。まあイメージの問題…という以上に、近年では出番が減ったからかもしれない。
2025.01.25
「別冊ベストカー / The 建機」三推社、講談社刊

読んでみた、日本の出版社による自動車雑誌別冊/ムック。2001年発表。
ブルドーザーやクレーン車といった、建設・土木作業に用いられる特殊車両が「建機」。本書はその威容に目を見張る巨大車両を中心に、国産・外国産の建機をカラー写真や各種データ、雑学エピソード等から紹介する…という内容。
NHK‐BSで「ウルトラ重機」って番組がだいぶ長く続いているのを見るに、結構人気あるんだろうなというこのジャンル。ただ本書では国内での取材が中心なので、まあ海外の途方もない巨大機械よりはスケールが落ちる。とは言え、日本に存在する様々な車両が一堂に見られるという辺り、大変読み応えある一冊。
まあこのムックも結構前の刊行なので、最新の機種が判る訳ではないものの…基礎知識・用語や蘊蓄などは、ちょっと自慢したくなるのも多い(ユンボの語源とか。なんだショベルカーの方が正式名称なんじゃない)。多くは一般道を走る為の車両ではないので、身近とは言いがたいけれど、大変に興味深いものです。
2025.01.23
「別冊ベストカー / The TRUCK ザ・トラック」三推社、講談社刊

読んでみた、日本の出版社による自動車雑誌別冊/ムック。2000年発表。
身近なものとして日頃目にしていながら、一般ドライバーや自動車愛好家にもその実情を殆ど知られていない「巨大トラック」。本書はそうした各メーカーの大型トラックを、様々なデータや雑学と共に紹介していくムック…という内容。
まあ結構古い本ではあるので、紹介されている各車種の情報自体は正直あまり活用しようがないかも。なので総論的なデータや蘊蓄が読めればいいかなと。…トラック関係のそうした豆知識として有名な「トレーラーではハンドルを逆に切る」とか「キャビン屋根のランプは速度を表す」とか、当然のごとく載っていた。
でも印象としては、巨大トラックも運転するだけなら普通乗用車とそんなに変わらないのでは?、というイメージだったり。まあ軽い読み物としてのムックで、そんな判った様な気になられても…という話ではあるが。しかし空港や自衛隊の特殊車両も載っていたけど、これトラックじゃないよね?、というのもチラホラ。
2025.01.22
ロード / デスティニー・オブ・TTライダー
観てみた、D・ラベリー他監督によるドキュメンタリー映画。2015年公開。
マン島TTレースで、26勝を成し遂げたジョイと、その弟であるロバート。死と隣り合わせのレースに打ち込み、大きな事故も何度も体験した2人。その背中を追うかの様に、ロバートの息子ウィリアムとマイケルもまたロードレースに身を投じる。本作では、ダンロップ家のバイクレーサーの生き様を追う…という内容。
ジョイとロバートの兄弟はレース中の事故で命を落とし、ウィリアムもまた本作の公開後練習中に事故死した。実に何とも痛ましい限りだが、残されたマイケルは叔父の記録を超えた、マン島TT「27勝」を挙げたとの事。…執念とも呪いとも思える一家ながら、こうしてレースへの想いが紡がれていったのだなあと。
そうした出来事を淡々と綴る内容だが、あまりにも悲劇的なので終始ピアノのポロンポロンという哀しい音楽が流れている。本作を見てバイクレースに出たい!、ってテンション上がる人はいないだろうけど…ある種、崇高な気分にはなる筈。
マン島TTレースで、26勝を成し遂げたジョイと、その弟であるロバート。死と隣り合わせのレースに打ち込み、大きな事故も何度も体験した2人。その背中を追うかの様に、ロバートの息子ウィリアムとマイケルもまたロードレースに身を投じる。本作では、ダンロップ家のバイクレーサーの生き様を追う…という内容。
ジョイとロバートの兄弟はレース中の事故で命を落とし、ウィリアムもまた本作の公開後練習中に事故死した。実に何とも痛ましい限りだが、残されたマイケルは叔父の記録を超えた、マン島TT「27勝」を挙げたとの事。…執念とも呪いとも思える一家ながら、こうしてレースへの想いが紡がれていったのだなあと。
そうした出来事を淡々と綴る内容だが、あまりにも悲劇的なので終始ピアノのポロンポロンという哀しい音楽が流れている。本作を見てバイクレースに出たい!、ってテンション上がる人はいないだろうけど…ある種、崇高な気分にはなる筈。
2025.01.20
24時間戦争
観てみた、A・カローラ他監督によるドキュメンタリー映画。2016年公開。
1960年代。不成立に終わった買収話を機に、米国の自動車メーカー・フォード社とイタリアのフェラーリ社は、ルマン24時間レースを舞台に激しい競争を行う事となる。王者フェラーリに勝つべくフォードは斬新な「GT40」を投入するも、当初惨敗を喫す。だが執念と資金力により、やがて状況は変わり…という内容。
要するに「フォード vs フェラーリ」(2019年)で描かれた、伝説的な戦いを採り上げたドキュメンタリーが本作。そちらだとC・シェルビーとK・マイルズが物語の中心だったけれど、これを見るともっと多くの人々が関わっていた事が判る。
ただ本作でもどちらかと言うと、フォード側からの視点がメイン。何しろGT40開発における苦闘を経ての勝利が感動的なので、(上記の映画共々)そうした切り口になるのは判らんでもない。とは言えいい作品ではあったものの、劇映画ならではの作為が鼻に付いた様な人は、多分本作を見るべきなんじゃないかな。
1960年代。不成立に終わった買収話を機に、米国の自動車メーカー・フォード社とイタリアのフェラーリ社は、ルマン24時間レースを舞台に激しい競争を行う事となる。王者フェラーリに勝つべくフォードは斬新な「GT40」を投入するも、当初惨敗を喫す。だが執念と資金力により、やがて状況は変わり…という内容。
要するに「フォード vs フェラーリ」(2019年)で描かれた、伝説的な戦いを採り上げたドキュメンタリーが本作。そちらだとC・シェルビーとK・マイルズが物語の中心だったけれど、これを見るともっと多くの人々が関わっていた事が判る。
ただ本作でもどちらかと言うと、フォード側からの視点がメイン。何しろGT40開発における苦闘を経ての勝利が感動的なので、(上記の映画共々)そうした切り口になるのは判らんでもない。とは言えいい作品ではあったものの、劇映画ならではの作為が鼻に付いた様な人は、多分本作を見るべきなんじゃないかな。
2025.01.19
ウィークエンド・チャンピオン / モンテカルロ1971
観てみた、R・ポランスキー監督によるドキュメンタリー映画。2013年公開。
1971年。F1モナコ大会にティレルチームから出走するのは、前々年のチャンピオン・ドライバーであるジャッキー・スチュワート。共にグランプリの週末を過ごした映画監督のポランスキーが、彼の姿を撮影し映像を記録していた。本作は72年に公開されたオリジナルに、新規映像を加えた再公開版…という内容。
「1971年のF1」と言うとピンと来ませんかね? …まあ要するに一期ルパン三世の放映年がその年。つまり第1話「ルパンは燃えているか…?!」で描かれたF1そのもの。登場する葉巻型にウイングの付いた車体が、実にカッコイイ。
本作はスチュワートに密着し撮影したプライベートフィルムを、時系列に沿って編集したものなので、レース自体を中心に見せる内容ではない(逆にそれが大変に貴重で見応えある)。再公開時にスチュワートと監督の対談も収録しており、むしろその追加分でその後のF1そのものを包括的に語っている感じかな。
1971年。F1モナコ大会にティレルチームから出走するのは、前々年のチャンピオン・ドライバーであるジャッキー・スチュワート。共にグランプリの週末を過ごした映画監督のポランスキーが、彼の姿を撮影し映像を記録していた。本作は72年に公開されたオリジナルに、新規映像を加えた再公開版…という内容。
「1971年のF1」と言うとピンと来ませんかね? …まあ要するに一期ルパン三世の放映年がその年。つまり第1話「ルパンは燃えているか…?!」で描かれたF1そのもの。登場する葉巻型にウイングの付いた車体が、実にカッコイイ。
本作はスチュワートに密着し撮影したプライベートフィルムを、時系列に沿って編集したものなので、レース自体を中心に見せる内容ではない(逆にそれが大変に貴重で見応えある)。再公開時にスチュワートと監督の対談も収録しており、むしろその追加分でその後のF1そのものを包括的に語っている感じかな。
2025.01.17
グランツーリスモ
観てみた、ニール・ブロムカンプ監督映画。2023年公開。
レーサー志望の青年・ヤンは、家族の理解が得られない中でも、自動車ゲーム「グランツーリスモ」に打ち込んでいた。そんな時ゲーマーから本当のレーサーをスカウトする企画に抜擢され、彼は実物のレースマシンに搭乗する。厳しい訓練と選抜を勝ち抜いて、ヤンは実際のレースに出走したのだが…という内容。
漫画か!…としか思えない話だけど、本作は実在のレーサー「ヤン・マーデンボロー」を題材にした実話映画。ゲームの上位プレイヤーを実機にスカウトとかゼーガペインみたいだし、ル・マン初参加で表彰台とかどんだけーという感じ。
それから家族との絆とか事故のトラウマの克服とか、出来すぎていて怖いわ(なお本作にはマーデンボロー自身が、カースタントで参加している)。…まあ来歴を抜きにしたら割と王道なレース物とも言えるのだが、レースシーンでも原典のゲームを意識した画面演出が(上記の様な)非現実な感覚に沿っていて面白い。
レーサー志望の青年・ヤンは、家族の理解が得られない中でも、自動車ゲーム「グランツーリスモ」に打ち込んでいた。そんな時ゲーマーから本当のレーサーをスカウトする企画に抜擢され、彼は実物のレースマシンに搭乗する。厳しい訓練と選抜を勝ち抜いて、ヤンは実際のレースに出走したのだが…という内容。
漫画か!…としか思えない話だけど、本作は実在のレーサー「ヤン・マーデンボロー」を題材にした実話映画。ゲームの上位プレイヤーを実機にスカウトとかゼーガペインみたいだし、ル・マン初参加で表彰台とかどんだけーという感じ。
それから家族との絆とか事故のトラウマの克服とか、出来すぎていて怖いわ(なお本作にはマーデンボロー自身が、カースタントで参加している)。…まあ来歴を抜きにしたら割と王道なレース物とも言えるのだが、レースシーンでも原典のゲームを意識した画面演出が(上記の様な)非現実な感覚に沿っていて面白い。
2025.01.16
SS / エスエス
観てみた。哀川翔主演、小林義則監督映画。2008年公開。
かつてラリードライバーとしての道を閉ざされたダイブツは、現在は妻子のある自動車整備工。ところが勤めている自動車工場で、ボーナスの代わりに受け取ったのが、20年以上も前のラリーカー「三菱・スタリオン4WD」。やがて彼は夜ごとその車で、峠でのタイムアタックに参加する様になるのだが…という内容。
原作は東本昌平の漫画、バイクもので有名な著者唯一の四輪題材の作品だとの事。本作でユニークなのは主人公が乗る「スタリオン4WDラリー」で、WRC出走の為三菱が開発した車両ながら、グループBの廃止に伴い断念。本作に登場するのはレプリカだそうだけれど、独特の存在感で作品を底上げしている。
そうした挫折を経験した車両が、燻っている主人公の再起という物語に準えられるというのが本作の趣向。とは言え、登場する色々な車を見ているだけでも結構楽しいんじゃないかな。…グループB好きとしては、見逃せない映画なのだ。
かつてラリードライバーとしての道を閉ざされたダイブツは、現在は妻子のある自動車整備工。ところが勤めている自動車工場で、ボーナスの代わりに受け取ったのが、20年以上も前のラリーカー「三菱・スタリオン4WD」。やがて彼は夜ごとその車で、峠でのタイムアタックに参加する様になるのだが…という内容。
原作は東本昌平の漫画、バイクもので有名な著者唯一の四輪題材の作品だとの事。本作でユニークなのは主人公が乗る「スタリオン4WDラリー」で、WRC出走の為三菱が開発した車両ながら、グループBの廃止に伴い断念。本作に登場するのはレプリカだそうだけれど、独特の存在感で作品を底上げしている。
そうした挫折を経験した車両が、燻っている主人公の再起という物語に準えられるというのが本作の趣向。とは言え、登場する色々な車を見ているだけでも結構楽しいんじゃないかな。…グループB好きとしては、見逃せない映画なのだ。
2025.01.14
「Racing on No. 446 / コスワース」三栄書房刊

読んでみた、日本の出版社による自動車雑誌/ムック。2010年発表。
1958年に創業した、イギリスのレーシングエンジン・ビルダーが「コスワース」。同社は特に1960〜1980年代のF1レースで、名機「DFV」エンジンの供給により一時代を築いた。本書では、コスワースの歴史を解説する…という内容。
DFVエンジンはフォードからの支援を受けて開発されたので、「フォード・コスワース」と車名に付けられる事が多い。でも下位チームだと体面から(?)単に「コスワース」だったという話に苦笑。…とは言えそうしたプライベーターにも安価で手に入った上に高性能というDFVは、まさに歴史を作ったエンジンだと言える。
本書はDFV搭載マシンだけでなく、エンジン部品の展開写真なども載っていて楽しい。…まあ個人的にリアルタイムだと正直DFVの印象は余りなく、後継の「DFR」の名前ならフジTVの中継でよく聞いていた(中嶋悟の愛車ティレルに搭載されていたし)。レースエンジンの歴史とか好きなので、ためになりましたな。
2025.01.12
「Racing on No. 489 / グループCクロニクル vol.4 ランチア&プジョー」三栄刊

読んでみた、日本の出版社による自動車雑誌/ムック。2017年発表。
1980〜1990年代にかけて開催された、プロトタイプカーによるレースカテゴリ「グループC」。同シリーズにはラリーで有名なランチアや、プジョーも参加していた。本書はそれら2チームの活動を中心に紹介していく…という内容。
自分はラリーランチアのファンではあるけれど、サーキットでの活動も知っておきたかったので。ランチアが同カテゴリで出走したのは「LC1」と「LC2」という2車種。そのうちLC1は、開催間もないグループCが参加チームの少なさから、特例的に前身の「グループ6」レギュレーションの車でのエントリーも認めた。そのルールを逆手に取った車体なので、厳密には違うという(説明が難しいなあ…)。
まあとにかく比較的マイナーな存在の車を特集してくれた、大変ありがたい本。フィオリオはラリーが本命でこっちはおまけ、とか言ってたしマイナーなのも仕方ないのか。プジョーの話も併せて、面白く読めるのではないでしょうか。
more reading
2025.01.11
「LanciaとGr.Bの時代」学研プラス刊

読んでみた、日本の出版社によるビジュアルムック+DVD。2006年発表。
WRCで前人未到の6年連続、マニュファクチャラー優勝を成し遂げたイタリアの自動車メーカー「ランチア」。本書では伝説的な「グループB」の時代を、解説記事や写真と共に、DVD収録の貴重な映像から回顧していく…という内容。
自分はラリーランチアとグループBのファンなので、こういう本があったら迷わず買ってしまうよ。しかも本書には80分もの映像が入ったDVDが付属しているので、マストバイでしょう。…ランチアのラリー車両はいつ見てもカッコよくてしびれてしまいますが、他チームグループB車の映像や解説もあって仲々よいです。
そう言えば今年からランチアが、長年途絶えていたラリー競技に復帰するそうで。ただイプシロンという車種は意外な事にFF…これを聞くと、WRCトップカテゴリには出ないのかなあという気が。とは言え実は、ラリーランチア初期の名車「フルヴィア」がFFなのだそうで、そこに回帰したと考えると結構感慨深いかも?
2025.01.09
「RALLY CARS Vol.27 / DATSUN 240Z」三栄刊

読んでみた、日本の出版社による自動車雑誌/ムック。2021年発表。
1970年代、海外のラリーに打って出た日産。日本メーカーでは初のサファリ優勝に加えて、WRC初勝利を成し遂げた車両が「240Z」。本書は同車の写真や関係者インタビューから、栄光の名車・240Zを振り返っていく…という内容。
サファリ優勝というイメージが強いので、自分は赤黒の240Zラリー車両を「サファリカラー」と呼んでいた。でも実際にはモンテカルロ始め、他のラリーでも出走していたという。参加大会数を絞った事もあって、その印象になったんじゃないかな。仮に全戦出場していたら…というifは、今でもファンの話題に上る模様。
ラリー車両としては、240Zは大振りで不利だった…と聞くと意外だったものの、実際当時最強のA110の方がはるかに小さい。でもラリーの240Zは(貴婦人の名に反して)ごつい所がいいんじゃん。そのせいか(?)本書でも、240Zの事を「悪魔」と言っててちょっと笑った。くるおしく、身をよじらせてたに違いない。
2025.01.08
「RALLY CARS Vol.26 / TOYOTA CELICA TURBO 4WD」三栄刊

読んでみた、日本の出版社による自動車雑誌/ムック。2020年発表。
1990年代のWRC「グループA」に参戦し、トヨタに日本チーム初のマニュファクチャラーズ優勝の栄冠をもたらした「セリカ GT-FOUR ST185」。本書は実車レース写真や関係者インタビューにより、同車を解説していく…という内容。
「ST185」は市販の「T180型」をベースに開発された競技用車両。「GT-FOUR」と呼ばれるセリカの中では、「ガンダム GT-FOUR」の元ネタとして印象が強い(…強くないか、そんな事言うのガノタだけだな)。個人的にはランチアのワークス撤退による、ドライバーの移籍やなんやらで因縁深い辺りが興味深く読めた。
ランチアとの関係と言えば本書は、本来デルタの特集として予告があったので予約したというのに、何故かこの本が発売されたという。通販で届いてしまったのでまあいいかと。奇妙な因縁がこんな所でも発揮されたのかもしれない。…とは言え内容は面白く、次代「ST205」でのドタバタ前の栄光だけにやはり良い。
2025.01.06
「RALLY CARS Vol.34 / ALPINE-RENAULT A110」三栄刊

読んでみた、日本の出版社による自動車雑誌/ムック。2023年発表。
ルノーの市販車をベースに、FRP製のモノコックボディ等の改造を加えた競技用車両が「アルピーヌ A110」。ラリー等で目覚ましい活躍を見せ、特に1973年に初開催されたWRCで最初のマニュファクチャラー・チャンプとなった。本書は同車を貴重な写真や、関係者インタビュー等から解説していく…という内容。
ラリーで凄かったという知識はあっても、具体的な戦績は本書で初めて知った。A110を好きになったのは子供の時分だったし、単純にすごくカッコよく感じたからなので…実は気にした事がなかった。でもやっぱり、強いと嬉しいよね。
興味深いのはA110大勝利の翌年には、ランチアがストラトスを投入してWRCを席捲してしまう辺り。まさに鮮やかすぎる世代交代なのだが、どっちの車両も好きなので、もし当時を知っていたら複雑な気分になったかもな。…とは言え本書は、馴染みのない時代の話だけに、興味深く読めるのではないでしょうか。
2025.01.05
「CAR GRAPHIC選集 / ルノー&アルピーヌ」二玄社刊

読んでみた、日本の出版社による自動車雑誌別冊。1991年発表。
1899年に創業したフランスの自動車会社「ルノー」。そして同社から派生したレースカー・ブランドが「アルピーヌ」。本書はその2社の代表的な車種を採り上げた「CAR GRAPHIC」誌の記事から、集成した別冊である…という内容。
古くは1963年から1990年までの、同誌らしい「ロードインプレッション」の記事が中心。なので特に興味のない車種は、正直読むのが億劫になった。…しかし自動車誌の試乗レポートというのは、昔から意識高い感じがする。淡々と自動車を解説してるだけな筈なのに、横文字だらけになってしまうせいかもなあ。
個人的なお目当ては「アルピーヌA110」だったのだけれど、分量としてはそこまででも(ミサトさんの愛車こと、A310の方が扱いが大きかったし)。とは言え同車の試乗記事というだけで、貴重だし興味深いものがある。…それ以外にもルノー・アルピーヌ両社の歴史も紹介してくれているので、仲々勉強になった。
2025.01.03
「GP CAR STORY Special Edition 2022 / Gilles Villeneuve」三栄刊

読んでみた、日本の出版社によるビジュアル・ムック。2022年発表。
フェラーリの伝説的なドライバーである「ジル・ヴィルヌーヴ」。本書は彼のF1デビューからその最期まで、当時の同僚や関係者のインタビューに歴代搭乗マシンの紹介等、現在も根強い人気を誇るジルの歴史を振り返る…という内容。
本書は息子のジャックを始め、関係者インタビューが記事の中心なので、「悲劇的」という伝説からばかり語られる事の多い、ジルのパーソナルな一面(普段からスピード狂すぎる)が窺える辺りがいい。加えて歴代マシンの紹介記事は、個々の車両に関する解説はそこそこながら、ずらっと見せられると仲々壮観。
個人的にジルと言えば「312T4」だったんだけど…本書でユニークなのは、タミヤ製1/12プラモデルの開発者にもインタビューしている辺り。しかも当時のタミヤニュース記事まで載せてるし。自分その号(因みに100号と104号)今でも持ってるわ。自分にとってジルのイメージが、312T4だった理由が今頃判った。
2025.01.02
「幻燈辻馬車」山田風太郎著


読んでみた、日本人作家による長編伝奇/時代小説。1997年発表。
明治。元会津藩士・干潟干兵衛は孫娘の雛を連れ、辻馬車業を営んでいた。そんな彼も自由党との関りから、度々危険な目に遭う事に。その時雛が呼ぶのは、既に死没した息子の幽霊で…という表題作と共に全4編を収録している。
「山田風太郎明治小説全集」として編まれたうちの2冊である本書。1975年に連載された本作は所謂「明治もの」と呼ばれ、当時の著名な実在人物(政治関係者だけでなく、坪内逍遥や森鴎外といった作家も盛りだくさんなのが面白い)が多数登場し、いまだ血腥い時代を舞台とした伝奇・活劇物語が展開される。
本書でユニークなのは、孫娘が呼んだら西南戦争で死んだ息子の幽霊が、血塗れの姿で出て来る事(更に息子が呼ぶと、やはり死んだ嫁まで出て来るし)。呼んだら出て来る系のヒーローか?、ダイヤモンドアイとかの。怪談と言うにはやけに即物的な扱いなのだが、それが陰惨な物語の中で救いにもなっている。