
読んでみた、日本人作家による長編SF小説。2006年発表。
日本列島が海中に没してから25年。元日本領土の海上で追悼式典が行われるのを、各地に難民として分散した国民が見つめていた。そんな中日本の開発した「地球シミュレータ」が、全地球規模の気候変動を予測し…という内容。
ベストセラーとなった小説「日本沈没」の続編だが、本書は前作の著者・小松を中心とするチーム制で、執筆に関しては谷に一任される形となっている。そのため作風に多少相違があるのも確かで…まあ個人的にはその点承知した上で読んだから、寒冷地でのサバイバルが大々的に描かれる辺りなどは成程なと。
ただ前作を起承転結の「起」としたら、本書はずーっと「承」だけで話が終わってしまう印象かも。そりゃ前作のスペクタクルに較べたら、ひたすら地味なのも確かなので。それより「起承転」と位置付けて、本書は「結」と見た方がよいのでは。「流亡の民」となった日本人を描く事こそ、本来この作品の眼目なのだし。