
読んでみた、日本人著者による科学解説書。2010年発表。
アメリカが1980年代より、宇宙計画の中核とした「スペースシャトル」。本書では同機を「失敗作」と位置付けて、コンセプトや機構的な問題点。更に米国の国内政治との関連から、巨大プロジェクトの破綻を明らかにする…という内容。
本書は2005年に刊行された「〜失われた24年間の真実」の増補文庫版。シャトル自体は2011年に退役したので、今読むと「死体蹴り」みたいに思えたのだが…運用中の本だったんだな。何しろ辛辣に問題点・欠点が指摘される内容で、一方で数々の成果も挙げた事を考えると少々厳しすぎと思わんでもない。
とは言え低コスト・高頻度打ち上げを謳った割には、大きな2度の事故の影響で計画遅延と高額出費を強いられたのも確か。もしアポロロケットの発展型により宇宙開発が行われていたら、と考えると納得せざるを得ない。…まあ今から本書を読むなら「死体蹴り」の為でなく、そこから教訓なりを汲み取るべきだろう。