
読んでみた、日本人著者による科学解説書/対談集。2001年発表。
極限領域での技術を試行する「ロケット開発」においては、避けられない確率で「失敗」が発生する。本書は日本のロケット開発に関わる著者が、実際の失敗事例と共に、そこから得た教訓や社会的な影響等に関して提言を行う。
本書では墜落しながらも海底からエンジンを回収して、失敗を失敗に終わらせなかったH-Uの画期的事例を挙げ、ロケット開発の困難とその対処に関して一考を促す。H-UAに代替わりした後も、現在まで高頻度で成功を収め得たのは、そうした経験を踏まえたものとして成る程(口先だけではなかったんだなと)。
本書はお題からしてお役所仕事や報道に向けた、愚痴ばかりになるのは仕方ないんだろうけれど…日本の「謝罪」体質に対する懸念が興味深い。五代の言う安直に謝罪するべきでないという見解は、「プラネテス」のロックスミスが失敗会見で発した、有名な台詞を想起させる。ひょっとしてモデルにした?のかも。