2022.03.15

「Uボート」ロータル=ギュンター・ブーフハイム著、松谷健二訳

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読んでみた、西ドイツ人著者による長編小説。1973年発表。

第二次大戦中の1941年、フランスの港湾基地から出撃したドイツ潜水艦・UA。彼らは果てしなく長い艦内生活の末、大西洋で華々しい戦果を挙げる。ところが帰投に際し、地中海への進出という無謀な命令を受け…という内容。

1981年にウォルフガング・ペーターゼン監督で製作された、西ドイツ映画の原作が本書。1984年には映画の3倍程もの尺を用いた、TVドラマとしても再編集されているけれど…そのどちらも原作と比較すると、大きく取りこぼしているものがあるのは確か。それはまあ言ってしまえば、「文学」的な含蓄じゃないかな。

本書で海洋要素や語り手の存在から、メルヴィル「白鯨」を想起するのは勿論、乗組員の無頼な描写からは下層民を描いた、自然主義文学を連想する。加えて危機的状況で語り手が追想に逃避する辺りなどは、「意識の流れ」そのもの。本書は単なる戦争冒険小説ではなく、まさしく堂々たる「戦争文学」だろう。
posted by ぬきやまがいせい at 23:12 | Comment(0) | 読書
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