
読んでみた、フランス人作家による長編小説。1909年発表。
ジェロームは幼い頃より、2歳年長のアリサに恋愛感情を抱いていた。しかし彼女もまたジェロームを愛しながらも、彼を受け入れる事を頑なに拒み続ける。アリサは強い信仰心から、地上的な愛情に対して抵抗があって…という内容。
ノーベル文学賞を獲得した著者の代表作であり、自身の半生が強く反映した内容とも言われる。プロテスタントとしての生活や妻との非肉体的な関係等、信仰と恋愛との対立を描いた本書を読むと成る程という感じ。でも本書は神と男女の三角関係を描いた、一大恋愛悲劇=メロドラマとして読んでもよいのかも?
キリスト教の考えに関しては、ちょっと日本人(いや俺がだな)には判らない点も多いし。とは言え恋愛の破綻や失望ではなく、最終的には自己犠牲で終わるので、読後感自体は悪くない(そういう意味では、「田園交響楽」はガックリ来た)。…強く否定するのではなく、「美しい物語」として呑み込みたい書物ではある。