観てみた。葉山良二主演、牛原陽一監督映画。1958年公開。
立花組の月田圭介は腕の立つやくざ者で、借金取り立ての無常さから恐れられていた。そんな彼がある一家から得た金は、娘の勝美が身体を売って作ったもので、間もなく彼女の両親は自ら命を絶った。そんな負い目から、圭介は勝美の面倒を見る様になる。だが組の内外に不穏な空気が湧いて…という内容。
原作は下村明の小説「夜の顔役」。やくざと一般人女性の恋愛という題材は「泥だらけの純情」(1963年)を連想するけれど、本作の方が先。そちらの破滅的な結末からしたら本作はだいぶ穏当で、比較したら正直ごく普通って印象になるのも仕方ないな。でも本作だと、裏社会の暗黒ムードに関しては悪くない。
特に野心をギラギラさせた、若き金子信雄の存在が光っている。後年の料理番組での温和な印象とは正反対な、危険なイケメン演技に惚れてまうわ。多分そのせいなんだよな、本作を「恋愛映画」と言い切るのを躊躇してしまうのは。
2024.01.28
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