2024.04.21
「グリンプス」ルイス・シャイナー著、小川隆訳
読んでみた、アメリカ人作家による長編SF/ファンタジー小説。1993年発表。
長年の不和の後に父親を事故で亡くした、ステレオ修理業を営むレイ。彼はある日、敬愛するロックバンドの存在しない楽曲を再現する能力に気付く。そして彼は「幻のアルバム」を世に出す為に、苦闘を始めたのだが…という内容。
そのアルバムというのが、Beach BoysやDoorsにJimi Hendrixの作品だというのだから、まさにロックファンの夢が叶う作品だろう…刊行当時は。今やSmileもFirst Rays〜も、オフィシャルリリースされているのだから時は無常に流れた。それでも本作の着想の見事さは、いささかも損なわれていないのでは。
それより問題なのは…本作が途中から、精神科のカウンセリングみたいになっちゃう辺り。主人公と周囲との軋轢・葛藤が大きく採り上げられており、別に辛気臭い方のウディ・アレン作品みたいなのが読みたい訳じゃないんだがって。元々別個に構想していた2冊の本を、合体させたそうで…どうしたもんだろ、これ。
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック