
読んでみた、日本人作家による長編ホラー小説。1996年発表。
四国の「狗神」伝承が伝わる山村に暮らす女性・坊之宮美希には、かつてそれと知らず実兄と関係を持った末、子供も死産するという過去があった。そんな人生を諦めた彼女の前に、年下の新任教師・奴田原晃が現れて…という内容。
著者の作風的な特徴(出身地である高知が舞台だったり、女性的な妊娠や出産等を題材にしたり)を取り除いたら、本作は所謂「民俗学ホラー」かな。古典的な怪談からは結構近い筈だけど…日本ではSF始め「伝奇」として発展した分野でもあるので、どういう経過で誕生したジャンルか自分には説明出来ないな。
本作は怖いと言うか、陰惨すぎて参った。体調が悪い時(しばらくインフルエンザで寝込んでいたもんで…まだ完調には戻らんのです)に読むのはキツイっすわ。逆に言うと、こういう話を楽しめるなら健康の証でしょう。陰鬱的な民俗学モチーフに近親姦や愛憎等、普段ならフーンで流せてたと思いますのにねえ。