
読んでみた、日本人著者によるノンフィクション。2016年発表。
人間は現実の脅威に限らず、架空と判っているホラー映画でも怖がる。かくも多彩な対象に「恐怖」を抱き、そしてそれを楽しむ事すら出来るのは何故か。本書はホラー映画を手掛かりに、人間の「恐怖」を解明していく…という内容。
本書はかなり分量があるものの、あくまで一般向けの新書。とは言え専門的な知見も盛り込んでいる為、かなり難解な内容を含むのも確か。だからなのか文章はかなりフランク…というか軽薄で、そこで読者を選ぶかもと。ただ判らないなりにも平易な語り口で書かれると、判った気になるという効果はある気がする。
内容はホラー映画の実例や著者の体験談等を交えつつ、哲学的ゾンビをはじめ、精神分析や哲学分野等でのユニークな研究を紹介するという、一種のエピソード集として読めば結構楽しめる(感じ)。結局何を論じて一体何が結論なのか、箇条書きにされてるのにフワッとしてるけれど…個々の話題自体は面白い。