2024.11.06

ヴェネツィア時代の彼女の名前

観てみた。マルグリット・デュラス脚本、監督映画。1976年公開。

カルカッタのフランス大使館。40年の時間が過ぎた事で建物は今や廃墟と化し、その姿は嘗ての栄華を思い起こさせるだけにすぎない。そこに以前と変わりのない人々の声だけが虚ろに響いて、往時を忍ばせるのだが…という内容。

「インディア・ソング」の続編、というか姉妹編。そちらの映画に出ていた建物が廃墟となった姿を延々映しているだけの画面に、インディア・ソングで使われた音声をほぼそのまま流すという驚愕の作品。時系列的には後なので、続編と言えるのだろうけれど…すごい実験的な着想と言うか、すごいリサイクル映画。

実際観た感じは廃墟内の暗がりから、それとは関係のない声がボソボソと聴こえるだけなので、まるでホラー映画。幽霊の会話だ。ロバート・ワイズ監督「たたり」の丘の家だろ、これという。…観て面白いかどうかは保証しかねるものの、両作を併せて観ると本当に、デュラスの才気走った感性が窺えるのは確か。
posted by ぬきやまがいせい at 22:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画
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