観てみた。G・フィリップ主演、マルセル・カルネ監督映画。1951年公開。
刑務所に囚人として収監されたミッシェルは、夢の世界へ旅立つ。彼がたどり着いたのは山の中腹にある小さな村で、そこの住人は皆記憶を失っていた。ミッシェルはそこで現実世界で恋人だった、ジュリエットの姿を求めて訪ね歩く。ジュリエットもまた記憶を失い、しかも青髭という男の虜となってしまい…という内容。
一応夢の話となってはいるけど、仙境・桃源郷に迷い込むといった類の異界譚。ファンタジーと呼んでもいいけど「美女と野獣」等の、上級生向け童話に近い。本作では「忘却」というのをどう捉えるかで、解釈が変わりそうだが…(最後に行くのが現実でなくそっちという事は)理想郷的なものと見ていいんじゃないか。
正直なところ「現実を忘れる=幸福」と言われたら、その方が納得しやすいもんなあ。…日本でなら泉鏡花的な幽玄物語か、あっけらかんななろう展開にでもなりそうだけど、本作における「逃避」の感覚は現実への心残りと痛みが伴う。
2025.02.24
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