2011.11.24

ストレンヂア 無皇刃譚

観てみた、安藤真裕監督によるアニメーション映画。2007年公開。

謎の集団に追われる少年・仔太郎は、追手の襲撃を名を持たない浪人者に救われる。その男・名無しは、仔太郎を護衛し同道する事を承諾する。道中互いの身の上を知り徐々に親密になる2人。旅は終わり別れた彼らだったが、追手集団の目的とは仔太郎の命で贖うある計画のためと知った名無しは…という内容。

主演声優に長瀬智也、アニメ制作はボンズという布陣。で脚本担当は高山文彦なのだが、焼きゴテによる拷問シーンがあって成る程なと(いや、オーガス02の「暖めてやれ」だし)。よく言えば渋い悪く言ったら地味な内容で、TOKIO長瀬の起用というのはせめてキャストくらいは話題性がないと…という判断からかもなと。

とはいえ細かいアイデアや演出が光る殺陣は、アニメとして非常に見応えがある(特に泥濘や降雪という不安定な足場でのアクションが面白い)。その分因縁や恩讐不在のドラマ面の薄さは気になるのだが、よく言えばストイックでいいかな。
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2011.01.03

ホッタラケの島〜遥と魔法の鏡〜

観てみた、佐藤信介監督によるCGアニメ映画。2009年公開。

幼い頃亡き母から聞いた、人々が「ほったらかし」にした物を持ち去る狐の民話。父親と折り合いの悪い日々を過ごす高校生の遙は、母の形見である手鏡を無くしてしまっていた。そんな時、神社で見掛けた不思議な狐・テオを追って泉の中へと吸い込まれる。彼女の行き着いた先とは「ホッタラケの島」だった…という内容。

製作はProduction I.G。本作の内容自体は基本的には子供向けで、3DCGという手法からもピクサー等の作品を念頭に置いたものなのは確かだろう。それでも主人公が女子高生だったりする辺り、オタ方面への目配せも忘れていないとは愉快な。…まあどちらもI.Gぽくない(押井作品の印象からしたら)とも言えるけど。

でも本作が武蔵野に伝わる民話を元にしているというのは面白い。本作は割と垢抜けた雰囲気を持っているのだが、筆者が「狐面」から連想するのは寺山修司作品で、島が「人間の内面の後ろ暗い所」だという辺りに通底するものを感じるな。
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2010.11.20

プランゼット

観てみた。粟津順原作、脚本、監督によるCGアニメ映画。2010年公開。

2047年。地球は「FOS」と名付けられた謎の敵からの攻撃を受け、人類の大半が死滅してしまう。軍は僅かに残った戦力で、敵本拠の小惑星を破壊する最終作戦「プランゼット」を発動させる。それは、地表が無防備になってしまう危険な賭け。戦闘員の明嶋は妹の身を案じ、火星への脱出を指示するのだが…という内容。

えーと、ロシュの限界がどうとか。まあそれはいいんだけど、前作「ネガドン」同様に本作もだいぶクリシェチック。…ネガドンがそのお陰で作品がコンパクトにまとまり、見せたいものを素直に見せるという良方向に作用していたのとは逆に、本作では残念ながら内容の冗長さもあって、余り上手くいっていない感じがするかな。

それでもCG映像は相変わらず迫力があって良いので、単純に尺の問題という気もする。だから戦術機みたいなロボや富士山モンスター?でもいいんだけど、小松崎茂先生的「レトロフューチャー」感のあるシンプルな作品が観たいかなと。
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2010.05.29

EX MACHINA エクスマキナ

観てみた、荒牧伸志監督によるCGアニメーション映画。2007年公開。

未来都市オリュンポス。警察のESWAT隊に所属するデュナンとパートナーのサイボーグ、ブリアレオス。ある作戦中ブリアレオスは彼女を庇い、負傷してしまう。彼の代わりに配属されたのが、ブリアレオスの遺伝子から作られたバイオロイド、テレウスだった。一方、ブリアレオスの身体は不可解な変調を起こし…という内容。

士郎正宗漫画原作のシリーズ第2作。とは言え、ストーリー自体は繋がってない模様…キャストも変更されており、少々違和感が。まあ内容面で前作から印象の変化は特に無い。個人的にはランドメイトがビュンビュン飛び回って残弾数も気にせずバリバリ撃ちまくる戦闘に違和感を覚えたけど、4巻以降は元々こんなか。

テレウスが意外にいいやつで、本作では四六時中頭抱えて喚いてるだけのブリちゃんより、よっぽど好きになれたような気が。…ちなみに、ブリアレオスが黒人じゃないだの何のというのは単なる裏設定の話なので、自分は別にどうでもいい。
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2010.04.01

惑星大怪獣ネガドン

観てみた。粟津順原作、脚本、監督による自主制作CG映画。05年公開。

昭和百年。火星より帰還した宇宙船が、突然の事故で墜落した。その中から現れ周囲を火の海にしたのは、一体の巨大な「怪獣」だった。一方怪獣をTVで見ていた元ロボット学者・楢崎、事故で娘を喪い失意の底にいた彼は一つの決意をする。それは開発放棄の機体に乗り、凶暴な怪獣と対峙する事だった…という内容。

本作はオールCGにより作成された。自主制作のため作品の尺としては短めだが(約30分弱)、密度の濃い映像で楽しめる。ただ逆に物語は多くを語る訳にもいかず、怪獣映画の「クリシェ」とでも言った印象(それでも某「ゲ○ラ」より全然上)。

戦闘シーンでの重量感はちょっと微妙ではあるけれど、レトロ調の雰囲気やフィルム質感を頑張って再現したCG映像はそれだけで賞賛したいところ。登場するメカが、F-104や74式という辺りもいい感じ(ただ脱出速度は、第一じゃなくて「第二宇宙速度」じゃな)。…あと関係ないけど主人公がパトレイバー2の柘植クリソツ。
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2010.03.25

モンスターズ・インク

観てみた。ピート・ドクター監督によるCGアニメーション映画。01年公開。

「モンスター」の世界。彼らの生活の為のエネルギーは、人間の子供達の「悲鳴」から賄われている。「モンスターズ・インク」は、子供部屋へとドアを通じモンスターを派遣して、悲鳴を集めるという企業だった。彼らのNo.1であるサリーはある日、こちら側の世界へ迷い込んで来てしまった人間の子供を見つけ…という内容。

本作はまたピクサー制作、監督は「カールじいさんの空飛ぶ家」の人。…ピクサーに外れなし、というのは多分本当で、本作もやはり上質に楽しい作品。まあ子供向けなのは間違いないし筋立て自体は単純そのものなのだが、暖かみのあるCG映像(フワフワな「毛」の描写とか)やキャラクターの良さで最後まで飽きさせない。

それ以上に大人視点だと「モンスターが会社仕事で子供を怖がらせていた」り「実はモンスターの方も子供を怖がっている」、という発想のねじれ具合に感心する。これを子供向け作品を作る、スタッフ自らの述懐と見るのはねじれすぎかな?
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2010.03.24

カーズ

観てみた。ジョン・ラセター監督によるCGアニメーション映画。06年公開。

「車」の世界。自信家の若いレースカー・ライトニングは、優勝決定戦となるレースへ出場する為移動する途中、トレーラーから振り落とされる。慌てた彼の暴走で周囲は滅茶苦茶、ライトニングはラジエーター・スプリングスという田舎町の修理を裁判で言いつかる。レース開始は目前、気ばかり焦る彼だが…という内容。

本作はお馴染みピクサー制作、監督はトイ・ストーリーの人。車を「擬人化」した、人間の全く登場しないまさに「クルマ社会」という辺りが馬鹿馬鹿しくて笑い所。…サーキットはコース上どころか客席まで車だらけのドライブインシアター状態だが、レース自体には別に不都合はなく仲々迫力あるレースシーンが楽しめる。

「ハイウェイ出現により寂れる土地」というアメリカ的な背景事情が、本作の一見荒唐無稽な中にも色々と考えさせ、暫し立ち止まらせる。…最終的なカタルシスやハッピーエンドにも胸が熱くなる作品だが、そうした堅苦しくない問題提議も良い。
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2009.10.28

センコロール

観てみた、宇木敦哉制作によるアニメーション作品。09年公開。

「怪獣」と呼ばれる不思議な生物が出現する様になった。ユキは同級生の少年テツが、「センコ」と名付けられたその生物を連れている事を知る。一方同様の生物を飼う少年シュウが彼らの前に現れ、戦いが始まってしまう。人質に取られてしまうユキ、彼女を助ける為にセンコはシュウへと向かっていくのだが…という内容。

本作は、宇木氏のほぼ単独による制作という事で話題になった。まあこの手の(非アート系とでも言うか)アニメに関してそうした体制は前例が無い訳でもないのだが(新海作品とかな)、それでも凄い。…個人的には「絵」そのものにピンと来たので、個人が全部を担当しているというのは、それだけ密度が高い訳でうれしい。

内容的には最初のプロモを見た時思った、「セカイ系トトロ」そのもの。更に思った以上に「なるたる」だった(そういや宇木氏はアフタ出身なんだっけ)。…作画センスの良さに比して編集のオフビートさが問題に挙がる様だが、それもまた良し。
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2009.09.24

東京マグニチュード8.0

見てみた、TVアニメーション・シリーズ。全11話。

思ったより説教臭くない番組だった。…もちろん本作は、防災意識の向上を呼びかける目的のある番組だとは思うけれど。それ以上に有りうべき未来として、もしくは過去の経験・記録から描かれたスペクタクルが、(不謹慎ながら)凄まじい。

ふるーい映画に「大地震」や「地震列島」なんてのがあったけど、本作がああいうディザスター作品の派生と言ってしまっても、そう間違いではないだろう。…でもそうした作品と本作が異なっていると感じるのは、それら災害映画が危機的状況からの「脱出」を主題とするのに対し、本作は「帰還」を描いているところだろうか。

家庭への帰還、過去の純粋な想いへの帰還…本作の結末で胸を打たれるのは、そうした点だろう(玄関に揃えられた二足の靴に号泣)。本作で描かれた様な状況が最近もこの日本で起きたという事は、常に心に留め置いておくべきであり、そしていずれこうした事態が自分の身にも起きかねない。しっかり心に刻みおこう。
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2009.09.14

ジャングル大帝−勇気が未来を変える−

見てみた。手塚治虫原作、谷口悟朗監督によるTVアニメ・スペシャル。

近未来の地球。地上の自然破壊は益々進み、人々は「ネオ・ジャングル」と呼ばれる人工の環境で動物を、保護の名目で生育していた。その動物たちの中で「大帝」と呼ばれる指導者が白ライオンのパンジャ、そしてその幼い息子がレオ。動物の言葉を理解するという少年・賢一との出会いにより、物語は始まる…という内容。

これ、すげえおもしろかった。…作品の雰囲気自体は昔なつかし、24時間テレビのスペシャルアニメみたいだったけど、「ジャングル大帝」なんていう手垢の付きまくった題材で、これだけのものが出来上がるとは正直ナメていたな。申し訳ない。

「それでも谷口なら…谷口ならきっと何とかしてくれる」の言葉どおり(関係ないけれど、これ「仙道」のもじりだったのか)。まあ筆者、谷口作品はガンソ以外は大体好きだし(ギアス二期も余裕で楽しめたよ)、本作でもトトなんかスクライドのキャラみたいに熱くてよかったね。芸能人のアテレコにくじけず、見といてよかった。
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2009.08.30

GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0

観てみた。士郎正宗原作、押井守監督によるアニメーション映画。08年公開。

身体を機械化され、電脳をネットに接続する能力を持った対テロ特殊部隊・公安9課。リーダーである草薙素子は、そうした自らの存在に対し不確かな感情を抱いていた。そんな時世界的ハッカー「人形使い」が現れ、9課は彼を追い求める。ある夜担ぎ込まれた女性型義体は、自らを「人形使い」だと名乗り…という内容。

本作は95年に公開された「攻殻機動隊」にCG映像を加え、音声を改めたリニューアル版。印象としては、後年公開された続編「イノセンス」との親和性を高めた感じか。…個人的にはその辺のテカテカCGが好きじゃないので、どんなもんかなと。

でも久々に観た本作は(95年の劇場以来か)、非常に楽しめてしまった。…まあそれは多分、(イノセンスも勿論そうだし)一連の「SAC」シリーズでキャラ自体に対する思い入れが出来ていたからかもしれない(「もとこー!!」とか大ウケ)。各メディア間で比較してしまうと本作が一番スケール感無いけれど、いい作品だよ。
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2009.06.30

電波的な彼女

見てみた。片山憲太郎原作、神戸守監督によるOVA。09年発売。

高校生・柔沢ジュウの前に、彼の「前世」の部下だったと名乗る奇妙な少女・堕花雨が現れる。彼に忠誠を誓う雨の、常軌を逸した言動や行動に辟易するジュウ。一方彼らの住む街では撲殺による連続殺人事件が発生しており、ジュウはそんな雨に疑いを抱く。そして遂に彼のクラスメートにまで被害者が出て…という内容。

最初の発表自体はネット上だった様だが、発売は「紅」3巻との同梱という、(同一作者が手掛け、世界観が共通しているとは言え)販売方法が一番奇妙な作品。まあ原作が地味な上内容自体がヤバ目だから、この方式が妥当という事なのか。

出来としては「尺の短さ」は兎も角、雨のキャラ描写等いいじゃないかと。それゆえ(原作はオチであっと言わせるタイプの作品なので、余り詳しくは言えないけど)、本作アニメ版では「誤誘導」の方法が変わっている。二者を同程度に引き立てるのではなく、雨との関係に絞って展開させる事により…あー、言えなくて歯痒い。
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2009.06.29

アフロサムライ劇場版

観てみた、木崎文智監督によるアニメーション映画。07年公開。

最強の証として伝わる2本の「ハチマキ」。「一番」のハチマキを持つ父を「二番」の男に殺され、復讐を誓う少年。成長した彼は「アフロサムライ」と呼ばれる使い手として畏怖の対象となる。襲い来る刺客を次々に退ける彼だったが、不覚をとり深手を負ってしまう。そんな彼を救ったのが、お菊と名乗る女性だった…という内容。

元々ゴンゾ制作の海外向けTVアニメとして作られた作品の、劇場再編集版が本作。NHKの番組でも制作風景が紹介され、それを見ても並々ない力の入れ様が感じられたのだが、実際成程と。…かなりな迫力の映像で、見入ってしまった。

感じとしては川尻善昭作品を連想させる雰囲気。監督はバジリスクの人と聞いて、ああと。個人的にはタイトルから、正直もっとしょーもないものを想像していたのだけれど、意外やいい意味で真面目だしおもしろい。…「ブラックスプロイテーション」アニメ?、なんてネガティブ思考が浮かんでしまった事は撤回しないとな。
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2009.06.04

海のトリトン オリジナル劇場版

観てみた。手塚治虫原作、舛田利雄監督によるアニメ映画。79年公開。

トリトンは海で拾われた不思議な少年。ある日怪物の襲撃を受け、自分が過去にポセイドン族により滅ぼされた、トリトン族最後の生き残りだと知る。数々の敵を強力な武器「オリハルコンの剣」で退けつつ、彼は同じトリトン族の少女ピッピや、イルカ達と共に大西洋を目指す。最後そこで彼が目にしたものとは…という内容。

本作は富野喜幸演出による名作TVシリーズを、再編集した劇場版。二部構成の前半部のみが公開され、後半は永らくお蔵入りしたままだったが、近年DVDとしてようやく人目に触れたとの事…やっぱり不入りだったのかね。舛田利雄の代表仕事と言えばヤマトって事で別にいいと思うけど、あまりツキは無かったのかも。

映画としての出来は兎も角、本作はやはり黒富野最初の発動。そういう意味でも途中終了の劇場公開はひでえ。自分はネタバレした上で観たから流石に驚きは無いが、考えさせられる作品だ(何か今いち通ってない気のする理屈込みで)。
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2009.06.03

HIGHLANDER ハイランダー

観てみた、川尻善昭監督によるアニメーション映画。06年公開。

ウイルスにより荒廃した近未来の都市に、一振りの剣を携え現れた男コリン。彼は長い時を復讐のみに生きて来た「不死族」の一人だ。コリンが探し求めるのは、過去に恋人を殺された仇敵マルカス。彼は都市の独裁者として君臨し人々を支配する一方、従わない者を弾圧していた。そして再び対峙する二人…という内容。

「ハイランダー 悪魔の戦士」('86)の公開20周年を記念して制作された(そんな人気作だったんか)のが、本作であるアニメ版。スケール大きいんだか小さいんだか判らない内容が、微妙に世紀末救世主伝説化してる気がするけど、リメイクと言っていいんじゃないかな。…題材的にも川尻監督向けだし、実際仲々楽しめる。

ただ正直、主人公に魅力が乏しいのはどうも(これ吹替だけの問題では…)。ビックリする位、容貌がショボクレてるな。…しかしパクロミキャラがドンパチやってる上に絵柄も近いせいで、なんか「ウルトラヴァイオレット」を見てる気になったよ。
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2009.05.26

東のエデン

7話目まで見た。…こりゃーおもしろい。

本作は作品のジャンルとしては一応、「デスゲームもの」に分類されるんじゃないかと思う(説明を割にサラッと流していたし、当事者の危機感自体が強調されていないけれど、目標を完遂出来なかったセレソンは最終的に「消去」されてしまうらしい)。…でも実際そういう印象は薄いし、本作における中心主題とも言い難い。

本作のイメージとは、やはり「探求」の物語に尽きるのじゃないだろうか。記憶を失った主人公が自らの目的を探し、それに付き添うヒロインが自身の進むべき道を模索する…セレソンに与えられた「日本を正しき[方向]へ導く」という目標は同時に、そうした上記登場人物個々のアイデンティティ探索への「方角」を指し示す。

「エデンの[東]」とは、再び罪を犯した人間に神が下した「罰」の謂である。…まあそんな押井もどきの戯言はともかく、神山監督はやっぱり現実とのリンクのさせ方が下品にならずに上手いわ(ミサイル問題はタイムリーすぎてやられたなあ)。
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2009.05.24

グイン・サーガ

7話目まで見た。…なにこれ、すげえおもしろい。

原作は言わずと知れた、栗本薫作の超・大長編ヒロイックファンタジー。1979年の開始より刊行点数は当初予定とされた100巻を優に超え、今なお続行中という驚異的作品。…作者は別に本作のみにかかりっきりという訳でもないし、まず出版社が初っ端の大言壮語にしか思えない構想を受け入れた時点で、破格な存在だ。

筆者は恥ずかしながら全くの未読だが、昔読んだSF雑誌で「豹頭の仮面」におけるハンセン氏病云々の騒動に関する記事を目にしていたので、妙な先入観は長年持っていたかも。…でも今回アニメ版を見て、それが吹き飛ばされてしまった。

作品の内容自体は(別に古いとは言わないけれど)極々正調のファンタジー作品だけに、突飛な要素はあまり目には出来ない。であるからこそ、正道を邁進するグインのキャラクターが素晴らしい。べらぼうに強い上に知将にも互する知性があって、「仮面」という神秘的なカリスマがあるとか…なにこれ、すげえかっこいい。
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2009.05.21

秒速5センチメートル

観てみた、新海誠監督による連作アニメーション映画。07年公開。

想いに結ばれつつ、離れて暮らす主人公の少年と少女。少年の再度の転居を前に再会する事になったのだが、大雪が彼らを阻む(第1話)。転居先で高校生になった少年。そこには彼を慕い、その想いに悩む少女がいた(第2話)。更に数年が過ぎ、主人公は東京へと戻る。成長しても尚彼の想いは(第3話)…という内容。

何か大成建設のCMみたい(逆だ)。…まあいかにも新海作品って印象は確かなので、やはり過去作における「SF要素」ってのはそう重要でもなかったんだな。内容的にも「遠距離恋愛」というモチーフが再話される訳で、そういう意味でもか。

印象としては「ポエムの添えられた写真集」、さらに物語要素に薄みが増した。かと言って映像的に今更驚く事もできないので(相変わらず人工着色の観光絵葉書風で、好きな人には堪らんのだろう)評価に難しい。…「引き出し」がどうのとか、大きなお世話で言うべき事でもないから、このまま突き進めばいいんじゃないかな。
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2009.05.07

忘念のザムド

4話目まで見た。…なんか、宮崎/ジブリ作品みたいな感じなのね。

本作はボンズアニメとしては、「エウレカセブン」の作風を引き継いだ雰囲気。そちらのキャラデザ担当である吉田健一氏が元々ジブリ出身であって、本作でもそのイメージがそのままスライドして備わっていると言う事なのだろう。更に完全ファンタジー世界の割に現代日本的な風景も多い辺りで、ジブリっぽさが強調される。

その肝心のファンタジー要素自体が、結構な割合で宮崎成分の配合だったりして(この敵蟲使いみたいだとか、右腕になんか埋まってるのってアシタカだなあ…とか)なかなか興味深い。アニメ業界的にはあの作風を積極的に真似しようって気風が案外無いのも、逆に不思議だったもんで(まあ、バルテュスとかあったか)。

じゃあ単純にモノマネなのかと言うと、これはこれで独自の良さがあって惹き付けられる。…ただどうやらPS3配信で見た人らの評判だと、どうもオチで評価を落としているらしい。でも現段階では実に面白い。うーむ、期待と不安が半々な気分。
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2009.04.30

こんにちは アン〜Before Green Gables

4話目まで見た。

本作は「赤毛のアン」刊行100周年を記念して別の作者により書かれた、アンがグリーンゲイブルズにやって来る以前の物語。今年2009年は、アニメ版赤毛のアンの放映30周年にも当たる記念作品。…あと、復活世界名作劇場としては3作目。

筆者「赤毛のアン」はアニメも小説も好きなので、「こんにちはアン」原作は事前に買っていた。まあ例によって積んでる訳だけど。赤毛〜で間接的に触れられるアンの幼い頃の体験は暗いものばかりで、本作もどんなもんなのかなあと不安に思っていたのだが…環境は多少違っても、アンって人物はアンのままなんだなと。

成長後のブライス夫人としてのアンだって、やっぱりアンだし。ちょっと安心した。ただ本作における彼女の立場はシビアな「社会的弱者」のそれで、見ていて正直辛い。それでも人の「善意」とは、どんなちっぽけで些細に過ぎなくてもあちこちに偏在するのだ、と思うとほっとする。…ブラウニング詩集の件りとか、いいよね。
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