2017.08.03

ボトムズファインダー

見てみた、重田敦司監督によるOVA。2010年発表。

ある惑星にある深い崖下の「ボトムズ」で、頭上の土地に憧れて暮らす青年アキ。彼はある日崖の上「トプ」から来たレッシングという男から、誘拐された議員令嬢捜索の為の協力を依頼される。地下迷宮を進み令嬢を発見したと思いきや、彼を連れ去ったと思しきロボット・Atから攻撃を受ける。ところが…という内容。

本作もCase;IRVINEと同じく、「ボトムズ・フェスティバル」と銘打ったイベントで上映された作品。…内容的には更に攻めた感じで、IRVINEがガンダムで言う宇宙世紀外伝なら本作はアナザーとでも言うか。登場するロボットもAt(アルトロ)と呼ばれるATとは異なる物で、ボトムズの意味するところも本編とは全く違う。

仲々野心的で可能性を感じる内容ながら、IRVINE同様その後に続かなかった。ATより高度な操縦性を感じさせるAtのアクションは見応えあって、サンライズの3DCGロボはこの方向性で発展していったらいいんじゃないかと思う程。
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2017.08.02

装甲騎兵ボトムズ Case;IRVINE(そうこうきへいぼとむず けーすあーびん)

見てみた、五十嵐紫樟監督によるOVA。2010年発表。

AT同士による賭博戦闘・バトリングで、残虐なファイトを行っていたペイガンを圧倒しながら、アービンは八百長の負け役に甘んじていた。彼の腕を見込んだイシュルーナにより再び銃火を交える両者。だがペイガンの暴走で周囲は焦土と化す。アービンは過去、実際の戦場で真の地獄を目撃しており…という内容。

「装甲騎兵ボトムズ」の世界観を基にしたスピンオフ作品。本作ではキャラデザの久行宏和を始めとする「舞-HiME」等のスタッフが担当しており、ボトムズシリーズに新風を吹き込む目的で製作された。…と思うのだけれど、その後の展開が特に無かったのは残念。実際賛否両論あるのも、致し方ない内容ではあるが。

作風面の「軽さ」に違和感があるのは否定しようがないし、余り受けなかった?のもまあ仕方ない。それでも意欲は買うし、結局キリコありきでしか成立しない作品として落ち着くには勿体ない、魅力的な世界観だって事も再確認出来たな。
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2017.07.31

サイボーグ009 VS デビルマン

見てみた、川越淳監督によるOVA全3話。2015年発表。

人間支配を目論む「黒い幽霊」と戦う、009を始めとするサイボーグ戦士。地上侵略に乗り出した「デーモン一族」と戦う、不動明ことデビルマン。それぞれが敵を追う中で、互いの大きな力への警戒の為に両者は激突してしまう。その一方で敵側は協力関係を築き、新たなる脅威が誕生しようとしていた…という内容。

石ノ森章太郎「サイボーグ009」と、永井豪の「デビルマン」とのクロスオーバー作品。2週間限定で劇場イベント公開もされた本作は仲々突飛な顔合わせだが、永井が009原作の作画にアシスタントとして参加していたという事で成程と。

内容的にどうやって馴染ませるんだという2作を、「真」以降のゲッターロボアニメを多く手掛けた川越監督が強引にシャッフルして見せた。最後まで何かの間違いだろこれという違和感が残るまま終わる辺り、むしろ絶妙な匙加減と言えるのかも。マジンガーZとよりは遙かにきちんと対決してたし、いいんじゃない?
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2017.07.19

シュガー・ラッシュ

観てみた、リッチ・ムーア監督による3DCGアニメ映画。2012年公開。

電子ゲームのキャラ達が互いに交流する世界。あるゲームの悪役・ラルフは、同じゲームのキャラ達から疎んじられる事に不満が爆発する。彼は仲間を見返す為に、戦闘ゲームに忍び込んでメダルを手に入れた。だが彼は凶暴な敵キャラと一緒に、「シュガー・ラッシュ」というゲームに迷い込んでしまい…という内容。

本作はトイ・ストーリーやレゴ・ムービーのアーケードゲーム版(…ディズニーの製作らしく「トロン」っぽいネタでもあるな)といった感じの内容だが、ストUを始めとする日本のゲームのキャラがゲストで出演している事からも話題になった。

そうした辺りから?オタク受けの良い印象だが、個人的な好みだと今一つ琴線には触れなかったかなあ。勿論大変よく練られたストーリーなので、高評価に異を唱える気もないけれど…多分キャラ描写が総じて刺々しいからだろうと。ラルフはこれ嫌われても仕方ないわって感じだし。でもまあ、ヴァネロペは可愛いね。
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2017.04.27

プロジェクトA子

観てみた、西島克彦監督によるアニメーション映画。1986年公開。

隕石墜落から16年過ぎた世界で、怪力少女・摩神英子と寿詩子はある高校に転入する。だがそこに待ち受けていたのが大富豪のお嬢様・大徳寺美子。B子はC子を自分のものにせんと、A子に盛んにちょっかいを出して来た。一方宇宙空間から謎の宇宙船が現れC子を拐かす。一体彼らの目的とは…という内容。

本作も元々は「くりいむレモン」の1本として企画されたものだが、創映新社製作の独立した一般アニメとして公開(因みに同時上映は「旅立ち 亜美・終章」)。そうした経緯やキャラデザの担当がもりやまゆうじという事から、「POP CHASER」の後続として期待された作品でもある。…その後OVAとして続編も製作された。

宮崎監督との確執等もあって当時はかなり話題になったと思うけど、現在はすっかり忘れられた作品。とは言えパロディ満載の馬鹿馬鹿しさと共に(マクロス風の)過剰なメカ描写等、今も続く日本アニメのある種の典型ではあるな。
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2017.04.26

くりいむレモン PART.4 「POP CHASER」

見てみた、佐倉大(北久保弘之)監督によるOVA。1985年発売。

エアバイクを駆り女ガンマンのリオが辿り着いた砂漠の町、ネオカンザスシティ。だがその町は無法者ザックの一味に狙われていた。娼館の娘マイと成り行きで関係を持ったリオは、一味に連れ去られた少女達を追うのだが…という内容。

18禁OVAとして一世を風靡した「くりいむレモン」シリーズ。4作目となる本作は、今回初監督である北久保が脚本や絵コンテ等を担当した上、当時頭角を現して来た若手アニメーターが多数参加した事で注目された。もりやまゆうじや庵野秀明が変名で原画を描いており、今現在見ても相当に力が入っていて驚く。

まあエアバイクと高足ロボのバトルとは時代を感じるが、内容の方も当時の「うる星やつら」の影響力の程が窺える感じ。個人的にうる星は原作派だったので、本作の様な派生作品に余り興味が湧かなかったというのが正直なところ(意識高い系オタクが妙に騒いでたし)…でも今更見るというのも案外面白かったよ。
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2017.04.13

アナと雪の女王

観てみた、クリス・バック監督他による3DCGアニメ映画。2013年公開。

全ての物を凍らせる力を持つ王女エルサ。彼女は幼い日に妹アナを傷付けた為に、姉妹は常に距離を取って成長した。エルサが女王となったその日、妹が出逢ったばかりの他国の王子との婚約を告げた事で、彼女の感情が爆発する。国中を凍り付かせ、山奥に引きこもったエルサを追ってアナは…という内容。

童話「雪の女王」を原案とするディズニー製CGアニメ。劇中で歌われる「Let It Go」等のヒット曲を生み出し、世界中の劇場に多くの観客が詰めかけた。…昨日のヒックとは逆で、まさに「オンナノコ」心をくすぐったという事なんだろうな。

とは言え、お話自体はそこまで優れている訳でもないのだが…本作は堂々たる「ミュージカル」映画でもあるので、まずはそこから評価するのが筋。ディズニーアニメでミュージカル演出は定番なのに子供は退屈だったりするんだけど…本作の音楽から得られる「高揚感」は格別で、成程その点だけでもすごいわな。
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2017.04.12

ヒックとドラゴン

観てみた、ディーン・デュボア監督他による3DCGアニメ映画。2010年公開。

長年に渡りドラゴンと戦い続けるバイキングの島で、族長の息子でありながらヒックは弱虫と蔑まれていた。だがある夜彼は、鍛冶屋見習いとしての腕で開発した道具を使ってドラゴンを撃ち落とす。ところが止めを刺す事の出来なかったヒックは、傷付いたドラゴンに「トゥース」と名前を付けて世話を始め…という内容。

クレシッダ・コーウェルの児童小説が原作の、ドリームワークス製CGアニメ。この手のにしてはやけに「オトコノコ」心をくすぐる内容だが、何でか続編の日本公開が見送られてしまった。…少々不遇ながら宮崎アニメから影響を受けたという飛行シーンの爽快感と共に、和解や友情等のテーマが織り込まれている名作。

なんだけど、ラストでドラゴンを「ペット」と言っている事が批判されてたりする。…これは冒頭の「有害動物」と対比させた言葉だし、(トゥースの事を言ったのでもなく)観光案内風ナレーションだから即物的・説明的表現になったんだと思うよ。
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2017.04.10

RWBY Volume.1(るびー う゛ぉりゅーむわん)

見てみた、モンティ・オウム監督による3DCGアニメ。2013年配信開始。

グリムと呼ばれる脅威に対し、人間はダストなる超能力を手に入れた。少女ルビー・ローズはその力を見出され、姉のヤンと共にグリムハンターの養成機関「ビーコン・アカデミー」に入学する。ダストを測る為の様々な試練を乗り越え、ルビーをリーダーとするチーム・RWBYが結成されるのだが…という内容。

本作は米国のRooster Teeth社製作によるWebアニメだが、日本のアニメに強い影響を受けている事で話題になった。2015年より日本語吹替ソフトのリリースと共に、日本では劇場上映も行われている。…内容自体は見た感じ、ソウルイーターみたいだなと。いや巨大な鎌だけでなく、特殊能力育成学校とかがさ。

本作は正直映像面で絶賛は出来ないものの、こと戦闘の描写や演出に限っては本当に圧倒される(それこそソウルイーターでの中村豊担当カットに匹敵しそう)。お陰で話が頭に入って来なかったんだけど…まあイジメとか別にいいか。
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2017.04.09

龍の歯医者

見てみた、鶴巻和哉監督によるスペシャルTVアニメ。2017年放映。

巨大な龍が実在する世界。だが強大な龍も弱点の歯に異状を来すと力が発揮できない。そこで龍の体表上で暮らし歯の治療を行う、「龍の歯医者」という職能集団が存在していた。ある日新米歯医者の野ノ子は、龍の歯の中から敵軍の少年ベルを救い出す。だが彼は既に命を失い「黄泉返った」者で…という内容。

元々「日本アニメ(ーター)見本市」の短編として発表されたものを、1時間半程の前後編として再構成しNHK-BSで放映したのが本作。すごく大雑把に言えば東洋風ファンタジー世界の退魔物だが…戦う相手が虫歯菌だったり、世界観的に第一次〜二次大戦風の戦闘描写が採り入れられている辺り、独自の雰囲気。

殊に独特なのはその死生観というか、宗教(?)観なのだが…本作のヒロイン・野ノ子を演じた清水富美加というのが、例の幸福の科学に出家した人。そう考えるとまるで、天に愛されたかの如くに奇跡的な配役とでも言うか。何と言うか。
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2017.04.07

ひるね姫 -知らないワタシの物語-

観てみた、神山健治監督によるアニメーション映画。2017年公開。

女子高生の森川ココネは、機械国の王女エンシェンとして活躍する夢を繰り返し見ていた。幼い頃母を亡くし、自動車整備士の父親と岡山で2人暮らしの彼女。だがある日父が警察に逮捕され、更に彼から託されたタブレットを狙う何者かに追われる事に。ココネは現実そして夢の中で困難に立ち向かい…という内容。

女子高生の冒険物語に異世界ファンタジー、更に今話題の自動車の完全自動運転やロボット物要素を加えるという、神山監督らしい盛り沢山な内容。…なんだけど要は(貴種流離譚を経て)修復する家族を描いたシンプルなストーリーであって、アニメアニメした表面的描写なんかサービスみたいなもんじゃないか。

個人的には「東のエデン」との共通点が窺えるのが興味深い。社会変革ゲームというSF的課題を主人公の出生話にすり替えちゃったそちらと違い、最初からココネの「ルーツ探索」を描いた本作は、同テーマの完成形と言ってよいかと。
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2017.04.06

モーレツ宇宙海賊 ABYSS OF HYPERSPACE -亜空の深淵-(もーれつぱいれーつ あびすおぶはいぱーすぺーす あくうのしんえん)

観てみた、佐藤竜雄監督によるアニメーション映画。2014年公開。

私掠船免状を持つ「宇宙海賊」である女子高生、加藤茉莉香。彼女が今回受けた仕事は、謎の集団から追われる無限彼方という少年の保護。彼は宇宙の深淵とも言うべき亜空間航路の研究で知られる、無限博士の息子だった。父親に複雑な感情を抱く彼方も、茉莉香達にやがて心を開いていくのだが…という内容。

笹本祐一の小説「ミニスカ宇宙海賊」を原作とする、TVアニメの劇場版である本作。時系列上では続編だけど、内容は外伝的なものとなっている。女子高生であり海賊だという辺りが売りのシリーズだが、今回は女子高生要素が強めと言うか…弁天丸の戦闘は殆ど無いと言っていい感じで、少々拍子抜けかも。

その代わりに謎解き要素や、亜空間を深海潜行に準えた展開が見せ場なのだけれど…どうもTV版と較べると今一つSF的な感性をくすぐってくれんな。とは言え近年のアニメでは希少なスペオペ作品だけに、次の展開もあったらいいな。
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2017.04.05

ガールズ&パンツァー 劇場版

観てみた、水島努監督によるアニメーション映画。2015年公開。

戦車道全国大会の優勝で、母校の廃校を回避した西住みほら大洗女子学園の生徒達。だがエキシビションマッチを終えた彼女達に届いたのは、口約束を反古にする廃校通告だった。失意の中転校手続きの為実家に戻ったみほは、姉のまほと再会する。そして学園に再び、廃校撤回のチャンスが訪れて…という内容。

TVアニメシリーズの続編である本作、何だかプリキュアのオールスター映画を連想させるファンムービーといった感じ。観ていてガルパンってこんなローテンションなアニメだっけ?、という感想なんだけど…多数のキャラや戦車に満遍なく台詞や出番を割り振ったお陰で、単調な上に緩急のない内容になってしまった。

とは言え更に新作も決まった今では、それこそ純粋なファンムービーとして楽しめばいい。センチュリオンやM26といったWW2後発組の投入もあって、劇場版に名前負けはしてないけれど…続編の方に出す車輛残ってたかなと、ちと心配。
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2017.04.04

GAMBA ガンバと仲間たち

観てみた、河村友宏監督他による3DCGアニメーション映画。2015年公開。

海に憧れる町ネズミのガンバは、幼馴染みのマンプクと共に旅立つ。辿り着いた港で、夢見が島から来た忠太と出逢うガンバ。彼の故郷は恐るべき白イタチ・ノロイの襲撃を受けて甚大な被害が出たというのだ。島を救うべくガンバはヨイショやガクシャを始め、頼れる仲間と共に大海ヘ船出するのだが…という内容。

原作は斎藤惇夫の小説。出崎統監督によるTVアニメの印象も強いが…筆者もそちらと較べない訳にはいかなかったな。とは言え名作の誉れ高いTV版には流石に及ばないものの、原作の優れた要素は汲み取っており意外と楽しめた。

ただ(最近Eテレでやっていた、ピクサースタッフのTEDプレゼンを見たせいで)CGアニメにおける照明や、光線に対する配慮の欠如が気になってしまってどうも。あとネズミなのに毛のフワフワ感が無くて、ボディスーツみたいなのが気色悪くてなあ。データ量とかの都合かもしれないけれど、致命的に可愛くないのが…
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2017.01.20

超神伝説うろつき童子

見てみた、高山秀樹監督によるオリジナル・アニメーション・ビデオ。

3000年に一度出現するという「超神」を求めて、人間界にやって来た獣人・天邪鬼。彼は恐るべき霊力を発揮する少年・南雲辰夫を見出すのだが、その振る舞いは余りにも邪悪で伝説の内容と反していた。やがて南雲は…という内容。

前田俊夫の漫画を原作にアダルト作品として製作されたOVA。近年でも派生作が作られている長期シリーズだが、本項は1987年から1989年にかけて発売された「初期三部作」に関して触れる。同作は容赦無いエロス&バイオレンス描写で大変なセールスを上げると共に、海外でも高く評価された事で知られる。

筆者は当時2巻まで見てふーんって感じだったんだけど…今回改めて最後まで見て、確かに大変な名作だって納得したわ。スペクタクル場面での破格な作画や何でか消しの甘いエロ描写(LD-BOXで見たから)等だけでなく、結末における宇宙的視野の終末展開と、一縷の希望を託す天邪鬼の叫びに心震わされた。
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2017.01.19

DETONATORオーガン

見てみた。大張正己監督によるオリジナル・ビデオ・アニメーション。

西暦2292年。外宇宙から送られて来た通信データを元に作成されたマシンは、戦士「オーガン」の肉体だった。彼と一体化した地球の青年・真道トモルは、宇宙からやって来る破壊者イバリューダーと戦う事になるのだが…という内容。

1991年から1992年にかけて全3巻で発売されたOVAの本作、凄腕メカアニメーターとして注目されていた大張が手掛けた初の単独監督作でもある。…「アンドロメダのA」等のSF作品からの影響が興味深いが、本作は元々テッカマンのリメイク企画だったそうで、「〜ブレード」との共通点が散見される辺りも面白い。

個人的には以前1巻だけ見てそれきりだった。バリ全開の戦闘等今見ても流石ながら、当時はそこまで突出した作品ではなかった気もするが…時代の変化もあって実に楽しめる。時間経過と言えばオタ界隈で急に知名度を増した平沢進の音楽も貴重で、この劇伴あって生れる独特の存在感に関しては唯一無二かも。
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2017.01.07

屍者の帝国

観てみた、牧原亮太郎監督によるアニメーション映画。2015年公開。

19世紀末。フランケンシュタイン博士の開発した蘇生術により、屍者を様々な労働に使役する時代が到来していた。英国の医学生ワトソンは無許可で蘇生した屍者・フライデーと共に、諜報活動に従事する事に。彼らが探し求めるのは博士が残した「手記」。果たしてそこに書かれた恐るべき内容とは…という内容。

夭折の作家・伊藤計劃の絶筆原稿を、友人である円城塔が遺族の許可を得て完成させたというスチームパンクSF。そうした経緯が失われた手記を探索する本作の物語とシンクロしているが…内容の方も実在の人物や創作の有名キャラが入り乱れつつ進行する、メタ的な入れ子構造を採り入れたものとなっている。

フランケンシュタインやホームズ等は、筆者も読んでいるので割と楽しめたけれど…表面的な印象自体は「有名人大集合物」と「ゾンビ物」を合体させた、近年では手垢付きまくりなものに見えてしまうのが、ちょっと勿体なかったかな。
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2016.11.14

この世界の片隅に

観てみた、片渕須直監督によるアニメーション映画。2016年公開。

夢見がちで絵の得意な少女・すず。広島の江波で暮らしていた彼女は、面識の無い青年・北條周作の住む呉へと嫁いでいく。米国との戦争が激しさを増し物資が欠乏するする中、やりくりと工夫を重ねて義父母や夫と共に難局を乗り越えていく。だが実家に戻っていた義姉の娘が、すずと外出した際に…という内容。

(いい加減しつこい表現で申し訳ないけれど)「女の一代記物」映画。…原作はこうの史代の漫画で、過去にはTVドラマ化もされた。本作アニメ版は、クラウドファンディングによる資金を元にした製作。内容的には戦争の前後における広島での暮らし振りを、一女性の目を通して時に軽妙に、時に緊張の中で描いている。

アニメならではの婉曲表現を得て、俯瞰的にあの時代を描いた事に意義を感じる。勿論2016年の今だから持ち得た視点でもある訳だが…丘の上から世界を見晴るかすあの場所だからこそ、「片隅」であり「中心」にもなり得たのだろう。
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2016.10.26

ドラえもん のび太とふしぎ風使い

観てみた、芝山努監督によるアニメーション映画。2003年公開。

ある日のび太は不思議な台風の子供と出逢い、「フー子」と名付けて可愛がる。ドラえもん達と共に遊びに出掛けた際彼らは洞窟の中に吸い込まれ、風使いの民が暮らす村へと辿り着いた。その一方封印を解かれた古代の怪物・マフーガがスネ夫の身体を乗っ取り、嵐の民を従えて風使いの村を襲い…という内容。

旧ドラえもん劇場版シリーズの第24作で、同時上映は「Pa-Pa-Pa ザ★ムービー パーマン」。そちらでは90式戦車が登場し、発射したAPFSDSの弾芯が空中に静止するという、結構興味深いミリタリー描写があるんだけど知ってるかな? …いや何の話って、本当はそっちを見たかったのだけれど。同時収録されてる筈のDVDをレンタルしたら、届いたのは何故か本作単品のものだったのだよ。

まあ仕方ない。本作では明瞭に宮崎作品を意識しているのが窺える辺り興味深いが…名エピソード「台風のフー子」をこんな形で持ち出されるのはちとな。
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2016.10.22

THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!

観てみた、錦織敦史監督によるアニメーション映画。2014年公開。

天海春香を始めとする765プロのアイドル達が、新たに取り組む事になったのはアリーナでのライブだった。そこで新人バックダンサーを加え合宿に臨むのだが、その際長年彼女達を支えたプロデューサーの海外留学が判明し動揺が走る。更に新人の1人である矢吹可奈が、練習に欠席がちになって…という内容。

人気ゲームのアニメ化であるTVシリーズからの続編映画。TV版は基本的に困難や障害こそあっても常に上昇を続ける物語だったのに対し、映画版ではアイドルとしての苦悩や葛藤による沈降が描かれる比較的シリアスな内容なのが特徴。…要するにこれって、その後に作られた「アニデレ」と同じ傾向なんだよな。

本作とアニデレとでは監督が違うので、共通する脚本家の意向かなと(いや犯人捜しではないよ)。個人的に本作は、「特殊職業としてのアイドル」の一端が窺えたのが面白かったのだけれど…まあアイドルをアニメで描く方も大変そうだ。
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