2018.01.14

それぞれのシネマ

観てみた、カンヌ映画祭60回に合わせ製作された記念映画。2007年公開。

本作は「映画館」というテーマの下に、同映画祭受賞者や関わりの深い各国の映画監督36名を集めて製作されたオムニバス(共同監督を含むので本数は34、またコーエン兄弟は権利関係から上映で外される事が多い)…という内容。

各作品に与えられたのはおよそ3分前後の為、ストーリーを語るのに足りないのは仕方ない。どれもフワッと始まってフワッと終わる印象だが…面白いのは各短編の後に担当作家の名前が出ると、「あー」という感じでそれがオチになっている辺り。各監督の普段の作風を知っていると、より楽しめる作品じゃないかな。

だから各監督の名前を挙げると、それがネタバレになってしまうのでこの場では黙っておこう。…でも触れない訳にいかないのが、日本から唯一参加した北野武監督。内容としてはひょうきん族のコントみたいで、北野と言うよりはビート監督寄りだという。まあこの人の場合一瞬で判ってしまうので、言っても大丈夫。
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2018.01.13

ニンフォマニアック

観てみた。ラース・フォン・トリアー脚本、監督映画。2013年公開。

ある寒い冬の夜セリグマンは、大怪我を負って路上にうずくまる女を見つけた。彼はジョーと名乗った女を自宅に上げて、手当をしてやる。彼女はセリグマンに、現在の状況に至るまでの経緯を語って聞かせる。それは幼い頃から彼女自身を苦しめた、「色情狂(ニンフォマニアック)」としての人生だった…という内容。

「Vol.1」「Vol.2」として分割公開された作品だけど、話は連続しているので本項では1本の映画として扱う。内容は女が数多くの男性と交わった状況を老人に告白するという体裁で進むが、過激なセックス描写があるのは毎度のトリアー。本作では2人の知的な様な噛み合ってない様な、凸凹なやりとりがユーモラス。

言ってしまえばやりまくってるだけのストーリーながら、4時間も続けて見せつけられると流石に尋常じゃない感覚に襲われる(成程この長さは必要だったんだな)。でもええ話風にまとまるのかと思ったら…ひどいオチで、やっぱりトリアー。
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2018.01.11

花様年華

観てみた。ウォン・カーウァイ脚本、監督映画。2000年公開。

1962年の香港。あるアパートに新聞記者のチャウ、隣室にはチャンが同じ日に引っ越して来た。共に妻や夫のいる身だったが、互いの伴侶が不実の関係にある事を知り、2人は親密になっていく。密会を重ね深い結びつきを感じながらも、決して一線を越えなかったチャウとチャン。やがて彼らの関係は…という内容。

なぜか今日も引き続いて不倫の映画。トニー・レオンのカンヌ映画祭における主演男優賞獲得をはじめ、高く評価された作品だが…「ブエノスアイレス」が同性愛で今回が不倫というのは、(前作でも主演した)レオンいじめか何かかね。

とは言え60年代香港を再現した映像は魅力的で、毎度の同監督らしく華美に過ぎるという批判もあるがこれはこれで(雰囲気を盛り上げる音楽は、何故か鈴木清順監督「夢二」のテーマ曲だとの事)。…個人的には主人公の書く小説の場面を演じる劇中劇という形を取った感情表現は、なかなか上手い趣向だと思った。
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2018.01.10

恋人たち

観てみた。ジャンヌ・モロー主演、ルイ・マル監督映画。1958年公開。

フランスの田舎に邸宅を構えるアンリの妻であるジャンヌ。娘も1人ありながら彼女は毎週の様にパリの友人を訪ね、浮世を流す生活を送っていた。そんなある日彼女の車が故障し、そこに通りかかったベルナールという男性に助けてもらう。ジャンヌは彼を自宅のパーティに招待するのだが、その夜…という内容。

世界に衝撃を与えた「死刑台のエレベーター」に続く、マル監督による長編劇映画第2作。なんと弱冠26歳の作品という事だが…倦怠感漂う有閑夫人のパリでの放蕩生活やその後の瑞々しい出逢い、更に一夜の夢から覚める事を恐れながらの出発という、男女の恋愛に関して重層的で含蓄のある内容となっている。

特に淡い光線に照らされた月夜の逢瀬の場面は語り草で、彼の手際で引き出された女優ジャンヌ・モローの魅力と共に、よくこんな映画が20代で撮れたなという気がする。…まあでも本当、同監督の初期作は神がかっていたと改めて。
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2018.01.08

1936年の日々

観てみた、テオ・アンゲロプロス監督映画。1972年公開。

1936年ギリシャ。集会の演説に立った政治家が、何者かの銃撃で暗殺される。ヨノゴス・ソフィアノスという男が逮捕されるのだが、彼は犯行を否認していた。その後彼が収監された監獄に面会するべくやって来たクリエジス議員が、ソフィアノスの弟の手引きで持ち込まれた拳銃により人質にされてしまい…という内容。

アンゲロプロスの長編第2作にして「ギリシャ現代史三部作」を成す映画。題名通り1936年のギリシャで誕生した、メタクサスによる独裁政権(その日付から「八月四日体制」と呼ばれる)を描いている。まあ正直筆者は始めて聞く話だが。

同監督にしては直球の政治的内容と言えるものの、特定の思想に傾倒したと言うよりも淡々とした描写にアイロニーを忍ばせたかの様な作品。ただ普遍性を余り持たない分、個人的にはどう飲み込むべきか困ったけれど…映像面ではアンゲロプロスらしいフレーミングや人物配置が、早くも散見されるのが興味深い。
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2018.01.07

ZOO

観てみた。ピーター・グリーナウェイ脚本、監督映画。1985年公開。

オズワルドとオリヴァーの兄弟が勤める「動物園」の前で自動車事故が発生し、2人の妻が同時に死亡する。兄弟は消沈するのだが事故をきっかけに、動物や植物が腐敗していく映像を撮影する事に取り憑かれた様になる。一方その事故で一命を取り留めながらも片脚を失った女、アルバと交流を深め…という内容。

グリーナウェイ監督の長編第2弾にして代表作。身体の欠損や性器の露出、動物の死体が腐敗する早回しカット等のアナーキーな映像が含まれる作品だが…よく言われる様に癒合性双生児から始まって「進化と腐敗」「撮影と上映」等といった「対称性」のモチーフを全面に配した、徹底して秩序的な内容となっている。

本作のお話自体はかなり難解な印象だけど…場面ごとに26種の光源を用意したという話からも、同監督が作品制作上「ルール」を課す事に楽しみを見出すタイプなのだ(「数に溺れて」なんか顕著)と判ると、一気に明快になる作品かも。
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2018.01.05

彼女について私が知っている二、三の事柄

観てみた。ジャン=リュック・ゴダール脚本、監督映画。1967年公開。

1966年のパリ。郊外で現在も建設が続いている、巨大な公団住宅の団地で暮らす主婦のジュリエット・ジャンソンは、夫・ロベールの仕事中に2人の子供を託児所に預けて売春を行っていた。当時の週刊誌に掲載された実話記事を元に、ゴダールが脚本を執筆して製作されたセミドキュメンタリー的作品…という内容。

ただお話らしいお話は存在せず、素人と思しき出演者にインタビューするシネマヴェリテ演出や、(何故か)囁き声での政治的内容のナレーション。更にコラージュ的文字挿入の手法等と…まあその当時のゴダールではお馴染みの感じ。

とは言え本作で独自性を感じるのは「巨大な新興団地」の存在で、無機物そのものという佇まいに当時のフランスの行きすぎた進歩や、非人間性に対する批判を見出す事も出来るだろう。今改めて観て、映画として楽しめるかどうかと言われると正直微妙な線だが…まあこれはこれで(あ、タイトルは実に秀逸だね)。
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2018.01.04

ボヴァリー夫人

観てみた、アレクサンドル・ソクーロフ監督映画。1989年公開。

フランスのトスト。町医者のシャルル・ボヴァリーと結婚したエマは、田舎での退屈な暮らしに塞ぎがちになる。そんな彼女を見て夫は、別の町への転居を決めた。それでも満たされないエマは、様々な男性との情事に耽る様になる。夫に対する反感が募る中、彼女は破滅へと続く転落の道を進んで行き…という内容。

原作はギュスターヴ・フローベールの有名な小説。フランス人作家により書かれた本を映像化するに際しロシア人の同監督は、主人公に仏語をそれ以外の人物には露語を喋らせるという趣向で臨んだ。主人公の孤独を際立たせる演出と言われるが…どっちも日本語字幕で読んだ筆者は、言われるまで判らんかったな。

概要だけ言うと昼ドラみたいな話ながら、随所に織り込まれた生々しい裸体(主人公は素人の言語学者)や交接シーンにより、感情に直接訴えかけてくる。…尚今回観たのは2009年の再編集版だけど、40分も短くなってるんだってさ。
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2018.01.02

フルスタリョフ、車を!

観てみた、アレクセイ・ゲルマン監督映画。1999年公開。

1953年のソ連。ユダヤ系一家の主人・クレンスキーは大病院の医師であると共に、赤軍少将の地位にもあった。だが時の権力者スターリンが行ったユダヤ人医師迫害、いわゆる「医師団陰謀事件」の為に、クレンスキーもまた投獄されてしまう。ところが何故か突然釈放された彼が、接見した相手とは…という内容。

現在では同監督の代表作とされる映画だが、カンヌ映画祭では賛否両論だったとの事。実際話が把握しづらく、猥雑な集団描写やフェリーニを連想させる喜劇演出等、少々困惑させられるのも確か。…でもこの手法って次作「神々のたそがれ」でもそのまま用いられているので、同監督としても自信を持ったのだろう。

本作の内容はソ連〜ロシアの歴史的事件を扱ったもので、知識が無い分日本人の筆者には正直馴染みにくかった。「神々のたそがれ」に対して日本でも大きな反響があったのは、SF的設定が逆に普遍性を持ち得たのかもしれないなと。
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2017.12.24

イワン雷帝

観てみた、セルゲイ・M・エイゼンシュテイン監督映画。1944年公開。

16世紀のロシア。イワンは全土統一を成し遂げ、皇帝となるべく戴冠式に臨んだ。だがそれに対し周辺国、更に彼の伯母・エフロシニアを始め国内の貴族達は反感を抱き、イワンを亡き者にせんと画策する。病床に伏し一旦は死の淵に立った彼だが、奇跡の様に復活する。しかし后のアナスタシアが…という内容。

同監督最後の映画である本作。ところが本来は3部作の予定で製作を開始したもののの、第2部の内容が時の権力者スターリンの逆鱗に触れ、第3部は完成を見る事なく終わった。…それでも充分、名作の名に値する映画じゃないかな。

ありがちな言葉を用いるなら「映像叙事詩」とでも言うべき歴史大作だけど、個人的にはシェイクスピア作品みたいな宮廷闘争劇なんだなと。そういう視点からだと、割と第二部で話はまとまっている気もする訳でな。…まあ同監督本人は日本の歌舞伎からの影響を公言していたそうで、言われみるとそれも成る程なと。
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2017.12.22

ぼくら、20世紀の子供たち

観てみた、v・カネフスキー監督によるドキュメンタリー映画。1993年公開。

1991年にソ連が崩壊した直後のロシア。街頭に溢れた、或いは犯罪に手を染めて収監された「子供」達にマイクを向け、ありのままの「言葉」を集めたインタビュー形式によるドキュメンタリー作品。その中で彼らが語る事とは…という内容。

まだあどけなさの残る子供達が、淡々と自らの犯罪について語るのが衝撃的(特にその場に集まったほぼ全員が殺人者というのが)。犯罪グループのリーダー少年の語る言葉に、意外な程の知性が感じられたのも何やら皮肉な感じだが…本作で愕然とするのは、同監督の作品で主演した少年まで投獄されていた事。

と言うかむしろこの主役少年の現状から逆算的に、こうした題材のドキュメンタリーを作る事にしたんじゃないかな(ある意味同監督の続編3作目として観る事が出来るし)。…本作では少年達が犯罪を語るそれらの「言葉」と対比する形で、彼らの内心を象徴するであろう「歌」を収めているのが、哀しくも印象深い。
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2017.12.15

カサンドラ・クロス

観てみた、ジョルジ・パン・コスマトス監督映画。1976年公開。

スイスの国際保健機構に侵入したテロリストが、米軍の細菌兵器に感染した。生き残り1名が大陸横断特急に逃げ込み、乗客達に感染の危機が迫る。米陸軍大佐の指示で行き先をポーランドに変更し、内部は完全隔離が図られた。列車は「カサンドラ・クロス」という老朽化した鉄橋を目指すのだが…という内容。

1970年代盛んに作られた、豪華キャストによるパニック映画の1本。まあ実際「ポセイドン・アドベンチャー」(1972年)の舞台を「オリエント急行殺人事件」(1974年)に変えて、「アンドロメダ…」(1972年)の要素を加えたら本作が出来上がる感じ。それだけならまだいいんだけど、本作の内容は穴だらけで無茶苦茶。

軍の暴走や細菌兵器への警鐘等、案外真面目な題材を扱っている様な気もするけれど、クライマックスの鉄橋破壊シーンの映像がミニチュア丸出しでなあ。それでも垂直になった列車内とかは「タイタニック」を先取った…のかもしれん。
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2017.12.13

トゥモローランド

観てみた。ジョージ・クルーニー主演、B・バード監督映画。2015年公開。

女子高生ケイシーはピンバッジに触れる事で、未来都市「トゥモローランド」へと足を踏み入れる。そのバッジをケイシーに託したのは少女型ロボットのアテナ。かつて彼女はフランクという発明少年もランドに誘っていた。だがケイシーは悪漢に追われる事になり、大人になったフランクと共にランドを目指し…という内容。

ディズニー・ピクチャーズ製作による映画で、本作はディズニーランドにある「トゥモローランド」というコーナーを基に、作品化したものだとの事。そう言われると成る程、バトルや冒険にスペクタクルが満載のアトラクション感覚の映画だな。

だから、悪漢共による世界の危機を少女の頑張りで救うという割と単純な話…なのに、回想形式の語り口や設定が込み入っていて、どうも今一つ入り込めない。これって昨日の(同じくディズニー製作による)「ローン・レンジャー」と同様の問題を生じている気がする。とは言え、映像的なアイデアの数々は見事なもの。
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2017.12.12

ローン・レンジャー

観てみた、ゴア・ヴァービンスキー監督映画。2013年公開。

博物館の展示スペースで米先住民の老人・トントが少年に語ったのは、覆面を着けたヒーロー「ローン・レンジャー」との日々だった。かつて悪人に兄を殺された事から正義に燃える検事のジョン・リードは、彼もまた瀕死の状態に陥ってしまう。ところがトントの目の前で、白馬・シルバーと精霊の導きで甦り…という内容。

1930年代にまずラジオドラマとして製作され、その後TVドラマや映画も作られた人気西部劇のリメイク劇場版である本作。紆余曲折を経て「パイレーツオブカリビアン」スタッフの手で完成されたものの、良い評価は得られなかった模様。

トント役を演じたジョニー・デップが、ジャック・スパローまんまだというのが専らの評判。それ以上に(回想として語られる)ストーリー運びが込み入ってる上に尺自体が長く、何かどうも入り込めない。まあそれでもクライマックスの列車アクションになると、やっとエンジンがかかって楽しめる。これくらい単純でいいのに。
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2017.12.11

スペシャル・フォース

観てみた、ステファン・リボジャ監督映画。2011年公開。

アフガニスタン国内でフランスの女性ジャーナリスト・エルサが、タリバン系武装組織に拉致されてしまった。仏政府はコバックスを隊長とする戦闘員数名を選抜し、救出部隊を編成する。チームはパラシュート降下で敵アジトを急襲、エルサの奪回に成功したのだが、帰還ヘリとの邂逅に失敗してしまい…という内容。

2001年の米同時多発テロを契機に行われた、アフガニスタンへの多国籍軍による軍事介入。本作はそちらに参加したフランスが製作した映画だけど、実際起きた話という訳でもなさそう。それでも近年の中東情勢を見ると、よく聞く様な話ではあるのだが…実際はこんな救出作戦は、仲々行われる事は無いだろうな。

救出チームが孤立無援の中、一人また一人と仲間が斃れていく…ってこれ「ワイルドギース」だ。まあ要は戦争映画/冒険小説として王道の展開なので、正直結構グッと来た。臨場感のある映像をはじめ、拾い物という印象の戦争映画。
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2017.12.02

アポロ18

観てみた、ゴンサーロ・ロペス=ガイェゴ監督映画。2011年公開。

かつてアメリカが行った月面着陸ミッション・アポロ計画。17号をもって終了した同計画には、極秘とされた「18号」があったという映像が発見された。軍事目的の為に無人を装ったアポロ18号が無事に着陸を成功させ、2名の宇宙飛行士が月面へと降り立った。しかし彼らが異星の地で遭遇したものとは…という内容。

実際の記録映像を織り交ぜた月面の再現が結構雰囲気出ている、POV撮影によるフェイク・ドキュメンタリーSF。…同傾向の作品には「エウロパ」(2014年)があるけれど、そちらと較べると正直無理を感じるな。当時の映像記録は殆どフィルムだった筈だし、アポロ宇宙船のあちこちに、あんなにカメラがあるかいなと。

とは言え個人的には、劇中テープレコーダーから流れるYesの「And You And I」におおと。17号が72年12月なので、同年発表された「Close to the Edge」収録のその曲は、(多分翌年の18号に)丁度いいタイミングではあるな。
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2017.11.30

ピノキオ√964

観てみた。鈴木はぢ主演、福居ショウジン監督映画。1991年公開。

ある企業が提供する、ロボトミー手術を施したダッチハズバンド。SEXプレイ中に壊れてしまった「ピノキオ√964」は街を彷徨ううちに、記憶を無くした女・ヒミコと出逢う。2人で共同生活を始めたものの、ピノキオは苦しみ出して身体中から液体を噴き出させる。それを見たヒミコは発狂してピノキオを虐待し…という内容。

その昔筆者がライブハウス通いをしていた頃、演奏後の会場外で手渡されたチラシで本作を知った…DVD化なんかされてたんだな。福居監督は本作で劇場にPA機材を持ち込み、近年話題の「爆音上映」の先駆けとなる様な事を行った。

内容的には(よく引き合いに出される通り)「鉄男」や石井聰亙の初期作を思わせる、速度感のあるインディーズムービー。それもその筈、同監督はどちらにもスタッフとして参加していたのね。話自体はあって無い様なもので、無茶苦茶なテンションの映像をひたすら眺めるしか無いのだが…まあ確かに凄いは凄い。
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2017.11.29

あ、春

観てみた。佐藤浩市主演、相米慎二監督映画。1998年公開。

エリートサラリーマンとしての道を歩み、今は妻子のいる家庭を持つ韮崎紘。だが幼い頃母から父とは死別したと聞かされていた彼の前に、突然父・笹一が現れる。彼の碌でなし振りに愛想を尽かした母は、笹一をいないものとしていたのだ。それ以来紘の家に居着いた笹一は、自由気儘に振る舞って…という内容。

村上政彦の小説を原作とする本作は同年、キネ旬ベストテンで1位に輝いた。アウトサイダー的闖入者が家庭に入り込み掻き回した後、息を引き取ってしんみり…という内容は、喜劇映画には割と定番の展開かもしれない。個人的には山田洋次監督「おとうと」を連想したけれど、TV版「男はつらいよ」からしてそうだな。

そういう訳で相米監督にしては、余り尖った所の無い作品だとは思う(…山田喜劇が引き合いに出されてる時点でな)。それでも生と死の相を織り交ぜ、ふとした場面の何気ない描写にほっとしたりしみじみしたり出来る映画じゃないかな。
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2017.11.27

陽炎座

観てみた。松田優作主演、鈴木清順監督映画。1981年公開。

1926年の東京。劇作家の松崎春狐はある日、病院へ行く途中鬼灯売りの老婆を恐がり行けないという女・品子と出逢う。彼女とはその後も偶然の再会を重ね、その事をパトロンの玉脇に話して聞かせる。ところが彼女との逢瀬に使った部屋は、玉脇邸の一室にそっくりだった。松崎は夢現の境を彷徨って…という内容。

原作は泉鏡花の短編小説。本作は「ツィゴイネルワイゼン」の成功を受けて製作されたもので、後の「夢二」と共に「大正浪漫三部作」を成す。という事もあって印象はそれらと大体一緒。以前ツィゴイネル〜を観たのに内容全然覚えてない…と思ったら、そりゃストーリーは頭に残らないわという感じの幻想の様な作品。

日活時代の作風と較べたら突飛さ自体は影を潜め、ぼんやりした大正趣味の様なものを画面に定着させている辺り成程受けそうな感じはある。…個人的には月岡芳年「英名二十八衆句」辺りからの、無残絵の引用は興味深かった。
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2017.11.25

野良猫ロック / 暴走集団'71

観てみた。梶芽衣子主演、藤田敏八監督映画。1971年公開。

隆明がバイカーを刺殺してしまった。彼は有力者の父親に家へと連れ戻され、その代わりに罪を被って収監されたのは恋人の振り子だった。数年後鑑別所から脱走し街へと戻った振り子。仲間のフーテン集団と共に隆明に再会しようとするのだが、彼は父親の言いなりの上に振り子まで監禁されてしまい…という内容。

梶芽衣子主演によるシリーズ、第5作にして最終作。本作ではどちらかと言うと、フーテン集団のリーダー格である原田芳雄が目立っている上に、鈴木ヒロミツ率いるモップスが登場して「御意見無用」なる曲を披露しているのが面白い。

バイカーを手下にする有力者の父親というのが典型的な悪党だというのに、フーテン共の振る舞いが無茶苦茶にアナーキーで引けを取らない。クライマックスは爆死者続出のダイナマイト投げ合いというのがとんでもないんだけれど…後に残った寂寥感がアメリカン・ニューシネマを連想させて、仲々に興味深い。
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